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「記録されなければ、無かったことになる」: イスラエル、任務中の兵士の撮影禁止へ

(訳注:原文の掲載は2018年6月18日です)

法案が通れば、任務中のイスラエル兵士の動画や写真の撮影は禁じられる。写真 Flicker ユーザー、タル・キング(CC BY-NC 2.0)

7月4日、イスラエル警察がパレスチナの村カーン・アル・アマールをブルドーザーで 破壊した時 、村人200人の小さなコミュニティは黙ってはいなかった。

村人や活動家がブルドーザーに よじ登り、ブロックする 写真や動画がネット上で拡散された。それに対して、イスラエル軍は抗議者を暴行、逮捕し、35人の負傷者を出し、11人を拘束した。

ネット上で拡散された 動画の中には、イスラエルの軍人たちが抗議する女性を殴りながらヘッドスカーフをはぎ取り、そして地面に押し倒し、連れ去る様子が映し出されている。

こういったイスラエル軍や治安部隊との激しい争いは、イスラエル占領下のパレスチナ自治区では長い間ありふれた光景だった。このような暴力行為を記録して非難することはこれまでも可能だったが、スマートフォンの出現で10年前に比べとても簡単になった。

しかしそれも間もなく、より困難に、そして違法にさえなるかもしれない。イスラエルの国会議員は、イスラエル占領下のパレスチナ自治区における 占領政策に批判的な 活動家やジャーナリストの発言を、より厳しく規制できる二法案を通過させようとしている。

第一の法案は、イスラエル国防軍(IDF) の動画や写真の撮影を制限するもので、「国防軍の兵士やイスラエル住人の士気を低下させる意図を持って、任務中の兵士の動画、写真撮影、または録音をする行為」で有罪判決を受けた者は、5年の懲役刑を 科す というものだ。もし裁判で撮影者の意図が「イスラエル国家の安全を害する」と裁定した場合、懲役はさらに10年延ばされる。

この「国防軍兵士の動画、写真撮影の禁止」法案は、ソーシャルメディアや主要メディアが写真やビデオを拡散させることをも犯罪に問おうとしている。

第二の法案は、政府職員がソーシャルメディアプラットフォームに「暴力への扇動」とみなしたコンテンツの削除要求する際のプロセスを簡略化するものだ。イスラエル国会クネセトで承認される見込みだ

国会議員のロバート・イラトフは 一番目の法案 を、ガザとイスラエルの境界で「左翼活動家」がイスラエルの兵士に行っている「嫌がらせ」に対抗するものだと説明する。その境界では国防軍兵士が抗議者を激しく追い散らしていたのだが。

2018年3月30日より、包囲されたガザ地区に住む何千ものパレスチナ人が「帰還の大行進」の抗議行動のため、イスラエルとの境界に集合した。「帰還の大行進」は、イスラエル建国のために 70万人ものパレスチナ人が難民を余儀なくされた、アラビア語でNakba (ナクバ、大惨事と訳される)と呼ばれる出来事から70年を迎えて行われた。

パレスチナの人々が要求するのは、11年に渡るガザ地区の封鎖の終結とともに、国を追われた人々とその子孫が帰還する権利である。抗議行動が始まった2018年3月末から、イスラエル軍によって少なくとも 138人が殺害され、負傷者は数千を数えた。

ガザ地区境界で、イスラエルから攻撃の標的にされるジャーナリスト

イスラエル国防軍(IDF)の発砲により、「帰還の大行進」取材中のジャーナリスト2人が死亡し、他数名が負傷した。

4月6日、独立系通信社 アイン・メディア(Ain Media)  の創業者の一人ヤセル・ムルタジャがイスラエル軍の銃撃を受け、傷を負ったその夜に亡くなった。 「撃たれた時、彼は『Press(報道) 』と書かれたベストを着ていた。ジャーナリストだとはっきり分かっていたはずだ」国境なき記者団のメンバーは そう語る

ガザ拠点のボイス・オブ・ザ・ピープル・ラジオで働いていた、パレスチナ人カメラマンのアフメド・アブ・フセインは、4月13日抗議行動を取材中にイスラエル軍の銃弾を腹部に受け、4月25日に亡くなった。 6月 8日には、AFP通信のカメラマン、モハメド・アル・ババが抗議行動取材中に膝下を 銃撃 された。他にも多くのジャーナリストが同じ様な状況で負傷した。

5月15日の 声明で、国境なき記者団(RSF)は、ガザ地区での「帰還の大行進」抗議行動の期間中、IDFの狙撃兵がパレスチナ人ジャーナリスト20人あまりを直接狙って発砲した事件の審査を求めて、国際刑事裁判所に提訴すると発表した。

なぜ兵士を社会の監視の目から遠ざけるのか?

法案の 注記によると、この法案では、パレスチナ人を違法に撮影している非政府組織よって「イスラエル兵が撮影されるのは憂慮すべき事態だ」とまで言及している。

そうした非政府組織のひとつに、イスラエル・インフォメーション・センター・フォー・ヒューマンライツ・イン・オキュパイド・テリトリーズ(The Israeli Information Center for Human Rights in the Occupied Territories)、通称 ベツェレム(B’Tselem)という組織がある。7月4日には、ベツェレムの現地調査責任者カリーム・ジュブランが、カーン・アル・アマーのコミュニティー強制移住の準備の様子を撮影中に 逮捕され 、その日のうちに釈放された。

「組織のメンバーとして、私たちは殴打され、嫌がらせを受け、逮捕されてきました」とベツェレムの広報アミット・ギルッツはグローバル・ボイスに語った。ギルッツは法案を政府主導のキャンペーンの一環と見ている。すなわち、「ヨルダン川と地中海の間に住むすべての人々の人権を擁護する者は『反逆者』である」としているのだ。

「イスラエルが実際の出来事の記録を、変えてしまうのではなく、隠そうとしているのは明らかだ。この状況はとにもかくにも続いていくだろう」とジュブランは語る。 

その上、法案が可決されれば、占領地区でイスラエルが行う政策とその運用を、活動家や人権団体が撮影できなくなるかもしれない。とりわけパレスチナのコミュニティや活動家に与える影響は深刻だろう。

アラブセンター・フォー・アドバンスメント・ソーシャルメディア事務局長のナディム・ナシフはグローバル・ボイスに次のように語った。 

This bill aims solely for censorship of commonplace Israeli forces’ human rights violations under the motto of “if it isn’t recorded, it didn’t happen.” If passed, it will dangerously increase the impunity of Israeli soldiers and further endanger Palestinians that have already been stripped of almost all means to protect themselves and advocate for their basic human rights.

この法案の目的は、「記録されなければ、無かったことになる」の方針のもとに、もっぱら通常のイスラエル軍の人権侵害を検閲することにあります。もし法案が通れば、刑事罰を免れるイスラエル兵が危険なほど増加する一方で、もうすでに自身を守るすべを全部奪われ、基本的人権を主張するしかないパレスチナ人をますます危険にさらすことになるのです。

占領に抵抗するパレスチナ人はもうすでに、暴力、行政拘禁、投獄、圧政的な法律を含む、無数の脅しや制限に直面している。そういった人々はソーシャルメディアに目を向け、人権侵害やイスラエルの占領政策を批判したり、 扇動の容疑で逮捕、起訴されたりする占領の日々の現実をありのままに見せてくれている。

「ソーシャルメディア上のテロ誘発コンテンツ削除」法案

そして第二の法案である。ソーシャルメディア上のテロ誘発コンテンツ削除法案は、イスラエル政府が「個人、公共、あるいは国の安全が脅かされる」とみなしたコンテンツや、「イスラエルの経済やインフラに深刻なダメージを与える可能性がある」発言を犯罪化するものだ、と地元のメディアは 伝えている

これにより、ネット上の発言で起訴される人々や、テロを誘発する恐れがあるコンテンツの削除を指示されるソーシャルメディアが既存の摘発より倍加するだろう。暴力の扇動は、イスラエルの1977年の刑法と1945年の緊急法の下ではすでに違法 である。

#FBCensorsPalestine

2016年の9月、パレスチナの活動家が、パレスチナのジャーナリスト個人のFacebookアカウントやメディアページが 多数停止 されているのを報告した。パレスチアン・シハブ・ニュースエージェンシーの編集者4名と、アル・クッド・ニュースネットワークのジャーナリスト3名の個人アカウントも停止されていた。ちなみに2社とも百万単位のフォロワーがいる。サポーターたちが反応し、ハッシュタグ#FBCensorsPalestineを使ってネット上で抗議した。Facebookは後になってアカウント停止を 謝罪し、 間違いだったと言った。

この法案は表現の自由を侵害する恐れがあると批判する人もいる。イスラエル民主主義研究所( the Israel Democracy Institute ) による 最新の報告では、法案は「危険な判例」を生み、「危険な国家の検閲の扉を開く」ものだと断定している。

この報告をまとめたテヒラ・シュワルツ・アルトラーとレイチェル・アリドール=ハーシェコビッツは次のように語る。

The use of administrative law ex parte, with no admissible evidence to determine whether a criminal act has been committed, is an unprecedented international juridical act.

犯罪行為が行われたかどうか判断する法的証拠もなく、一方的に行政法を適用するのは国際的にも前代未聞の法律行為です。

ソーシャルメディアの会社、特にFacebookは、すでにパレスチナサイドの発言を検閲する 「共犯者」と非難されている。法案創立者のひとり司法大臣のアイレッド・シェイクドは、Facebookは 「ほぼ国が求める扇動的なコンテンツの削除」に応じていると 公表 している。

「ソーシャルメディアの会社は、ネット上の表現の自由を守るのではなく、イスラエル政府の削除の要請にほぼ盲目的に従っている」とナシフは語っている。

 

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