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キューバの活動家たちがLGBTIQの人権を守る詳細な指針を発表

カテゴリー: ラテンアメリカ, キューバ, デジタル・アクティビズム, 人権, 同性愛者の権利 (LGBT), 市民メディア, 行政
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「キューバのLGBT旗」(クリエイティブコモンズ 表示ー継承 4.0 国際)

2018年5月11日、多くのキューバの有識者と活動家たちが、国内に住むレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、インターセクシャル、トランスジェンダー、クィア、インターセックスといった人々の権利を守るために作られた包括的な指針 [2]を発表した。この指針の導入部は次の通りである。

Basados en los principios de Yogyakarta [3] sobre la aplicación de la legislación internacional de derechos humanos en relación con la orientación sexual y la identidad de género, en la Declaración de derechos sexuales de la Asociación Mundial para la Salud Sexual (WAS) [4] y en virtud de las próximas reformas constitucionales y jurídicas en Cuba, integrantes de la comunidad LGBTIQ cubana nos hemos reunido para promover esta agenda.

ジョグジャカルタ原則 [5](性的指向と性同一性に関わる国際人権法の適用に関する原則)、および性の健康世界学会(WAS)で提唱された「性の権利宣言」 [6]に基づき、また、国内における憲法その他の法改正が迫る中、キューバのLGBTIQコミュニティーのメンバーたちが、この指針を推し進めるために集まった。

イズベル・ディアス・トッレスは、ハバナタイムズで次のように説明している [7]。「この指針は、性的指向と性同一性は、生まれながらにして人に備わっている尊厳である、という考察から始まっている。その目指すところは、声明をまとめ、整理した文書であることだけでなく、作成者たちが継続してアイデアと提言を提供してゆける提案書である。また、調査と公共政策の発展のきっかけとなりうる具体的な行動指針も提案している」

この指針は、一般市民が編集まで全て行い、LGBTIQの人々の権利に着目したキューバで初めてのものである。そして、指針は2つの大きな節(法的措置、および方針・計画・戦略)に分けられ、63項目もの具体的な要求が記述されている。

キューバの映画監督、ヤイーマ・パルド氏は、LGBTIQの人々の要求が集められたドキュメンタリー映画Causas y Azares 「原因とチャンス(英語字幕)」 [8]で大切な先例を示した。もう一つの先例は、活動家にしてブロガーのアルベルト・ロクエ [9]がつづった文書 [10]である。ドキュメンタリー「原因とチャンス」では、キューバのLGBTIQの権利の現状に関する多数の分析と、権利の行使を完全に保証するために必要な、思想的かつ制度的変革に光を当てている。

ドキュメンタリーに登場する2人の活動家、メルセデス・ガルシヤとヤスミン・シルビア・ポルタルエス・マシャドが明確にしたのは、キューバにおけるLGBTIQの社会を認め、それを守るための背景事情を理解するために何が大切かということである。基本的に、彼らは、何故キューバ政府が性の多様性とその構造の複雑さを認識していないのか、について説明した。ガルシヤは、この点について、キューバという国の欠点を次のように見定めている。
Lamentablemente el proyecto social socialista heredó esa discriminación, esos falsos conceptos, esa ignorancia sobre la sexualidad humana; y en el caso Cuba se ha demorado, para mi gusto, demasiado en enfrentar esa realidad y transformarla

残念なことに、社会主義者の社会事業は、人間の性を無視することにつながる差別などの悪い概念を受け継いでおり、キューバの場合(私個人の意見としては)その現実と向き合い、それを変えていくまでに時間がかかり過ぎたのです。

マシャドはこの論点を掘り下げ、キューバの政治思想が持つ歴史的そして文化的な背景のせいで、国民の多様な生き方がいかに認められにくくなっているかに着目している。
El Marxismo surgió como una filosofía en occidente de un hombre blanco. No reconoce la diversidad de las sexualidades ni de las identidades que las personas cargan como parte de su cultura. No todo es la lucha de clases. Cada clase social está atravesada por un montón de identidades culturales y sexuales… y laborales… y artísticas. Reconocer eso es lo que permite que las políticas [creadas] para emancipar a las personas atiendan verdaderamente a las personas y no a los ideales [que el Estado tiene] de las personas… [es ahí] donde ha fallado hasta ahora el socialismo.

マルクスのマルクス主義は西洋で誕生したものであり、白人によって作り出された哲学的思想でした。それは、人々がその文化の一部として持っている性の多様性や性同一性を認めていません。すべてのことが階級闘争と関連しているわけではありません。どの社会階級にも多くの文化的、性的、仕事上の、そして芸術的な同一性が存在しています。そのことを理解すれば、人々を解放するために「創られた」政策を、真に人々のために役立たせることが可能になるのです。「キューバという国家」が国民に対して抱いている理想のために、ではありません。……(そこが)社会主義が現在のところ道をあやまっている部分なのです。

キューバのLGBTIQの人権を守るための指針 [11]は、人権について広く包括的な討論を促進させるものとなり、さらには人民権力全国会議、閣議、およびキューバ国内で政策、計画、戦略の策定を行う人々が、彼らの要求について考察することを要請している。

校正:Seiji Miyoshi [12]