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ニュージーランド:クライストチャーチの銃乱射事件から浮き彫りになった様々な人間性

NZ Prime Minister Jacinda Ardern

ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相。写真提供:クライストチャーチ市議会ニュースライン/カーク・ハーグリーブス(CC BY 4.0) 原版をトリミングして使用

ニュージーランドのクライストチャーチの2つのモスクで、礼拝中の人々が襲われ50人が死亡した銃乱射事件は、ニュージーランドとオーストラリアの主要メディアとソーシャルメディアの両方に未曽有の反響をもたらした。人々がショック、怒り、悲しみに暮れた後、犯人やこのようなヘイトクライムの原因についての大論争が巻き起こった。

悲しみに暮れるニュージーランド

3月15日金曜日に起きた襲撃事件の後、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相が取った行動は称賛を浴びた。被害者に同情の意を示し、 銃規制について迅速な行動を取ったことで、彼女が求心力のあるリーダーだということを見せつけたのだ。ニュージーランド人ジャーナリストのデヴィッド・ファリアーはTwitterでこう評価した。

銃規制の強化に先陣を切って取り組んだり、被害者への共感と思いやりを示してくれたり、 アーダーン首相(@jacindaardern)の取ったリーダーシップに非常に元気づけられた。ありがとう。

さらに、アーダーン首相は容疑者に対して厳しい態度 を取った。

He is a terrorist. He is a criminal. He is an extremist. But he will, when I speak, be nameless. And to others, I implore you: speak the names of those who were lost rather than the name of the man who took them. He may have sought notoriety but we, in New Zealand, will give nothing — not even his name.

彼はテロリストで、犯罪者で、過激主義者です。しかし、私が話すときにおいては、その名前を呼びません。皆さんにもお願いします。命を奪った者の名前よりも、奪われた者の名前を口にしてください。犯人は悪名を得たかったのでしょうが、ここニュージーランドでは、彼には何も与えません。名前さえも口にしません。

襲撃犯はオーストラリア人だと言われている。

ニュージーランド政府はこの事件に関する調査を指示した。 政府が白人至上主義者のような極右派の台頭を察知し抑えることができないことに、多くのニュージーランド人は疑問を呈している。ニュージーランド保安情報局の極右勢力と戦う計画が未完成である というニュースが報じられたことで、この疑問はさらに強まった。

メディアへの詳細な調査

この恐ろしい事件の前後にも、主要メディアの果たす役割に対する激しい批判があった。主要メディアが、イスラム系移民への恐怖の風潮を助長していると考える人も多くいる。

主要メディアが、出版物、放送、デジタル媒体を介して毎日のように連発するレイシズム関連の報道に対して、我々ができることは何か。収入が多く知名度の高いメディア業界の人の中には、何年にもわたりプロデューサー、編集者から度を越した支持を受け、業界にどっぷりはまってしまった人もいる。

襲撃犯によるライブ配信映像をテレビで放映することや、犯人からのいわゆる声明文を引用することに対して、非難の声が広がった。

襲撃犯によるライブ映像は、フェイスブック上で17分間配信された後にようやく削除された。 フェイスブックのこうした対処の遅れに対して非難が集中している。 Newshub NZの報道によると、Facebookへの広告をボイコットを求める動きもあったという。

New Zealand businesses are pulling advertising from Facebook in the wake of the Christchurch terror attack.

They are calling for global support as pressure mounts on the social media giant to make changes to its livestreaming feature.

ニュージーランド国内では、クライストチャーチのこの事件を受けて、Facebookへの広告を取りやめようとする企業も出ている。

この巨大ソーシャルメディアがライブ配信機能を改善すべきだという圧力が高まる中、これら各企業は世界に向けて支援を求めている。

オーストラリア放送協会はメディアウォッチという番組で、主要メディアとソーシャルメディアの双方が事件の報道の中で演じた役割について批判的な検証 を行った。

言論の自由かヘイトスピーチか

言論の自由についての議論も再燃した。

「言論の自由はすべて平等に与えられるものではない」#メルボルンの何千人もの人が、#クライストチャーチとイスラム教徒コミュニティに愛と支援を与え、一方で、ヘイトスピーチの場を与えているメディアに警鐘を鳴らしている。

オーストラリア政府は、極右主義者のマイロ・ヤノプルスがこの事件について「ぞっとするような」発言をしたことから、彼に対して2回目のビザ発給制限 を行った。しかしこれは、言論の自由を支持する人々からの圧力を受け、すぐに撤回 されてしまった。

南半球からの怒り

右派のフレイザー・アニング上院議員は、この残虐な事件はイスラム系移民のせいだと発言し、波乱を巻き起こした。アニングは、自分の議会用箋を使ってメディアに公表した文書の中で下記のように訴えている。

[…] what it highlights is the growing fear within our community, both in New Zealand and Australia, of the increasing Muslim presence.

[…] the real cause of bloodshed on New Zealand streets is the immigration program […]

[略]この事件が浮き彫りにしたのは、ニュージーランドおよびオーストラリアでイスラム教徒の存在感が増すにつれて増大する両国内の社会不安である。

[略]ニュージーランドの街中で起きた流血の惨事の本当の原因は、移民制度だ。[略]

フレイザー・アニングがイスラム教徒に対して行った、あやふやな神学論に基づく、狂った、非人道的な発言は、再び私の信仰心を呼び覚ました。彼の発言はヘイトスピーチであり、卑劣で狂気じみた発言として非難されるべきだ。彼はリーダーに向いていない。

アニング議員は多くの人々に非難されたが、その翌日曜日に行われた移民反対イベントで、17歳の少年が取った行動が世界的な注目を集めた。エッグボーイとのちに呼ばれる少年(#EggBoyまたは#eggboi)がアニング議員の頭に卵をぶつけたのだ。アニング議員は少年を殴り返し、群衆のなかにいた人が少年の首を絞め、蹴った。少年はすぐさま英雄になり、メルボルン市内では壁画にまで描かれた。

#エッグボーイの壁画。彼はこの辺りでは真の英雄だ。

エッグボーイは世界中の注目を浴びた。

金曜日までは、彼はごく普通のオーストラリアの高校生だった。週明けには、この17歳の少年、ウィル・コノリーは#エッグボーイと名付けられ、世界的なセンセーションを巻き起こし、何千もの派生ネタを生み出すいたずら小僧として扱われた。

しかし、彼の行動を許容できない人もいる。

エッグボーイの行動は、無差別の殺傷行為と何が違うというのだろう。エッグボーイの行動は感心しない。彼はヒーローではない。

彼の訴訟費用のために、クラウドファンディング を通して、総額7万オーストラリアドル(5万米ドル)以上のお金が集まった。彼は集まったお金の大半をクライストチャーチの事件の被害者に寄付するという。

トルコとの論争

一方、トルコのエルドアン大統領の選挙演説での扇動的な発言をめぐって、政治論争 が発生した。ガリポリで行われるオーストラリアとニュージーランドの連合軍ANZACの追悼記念式典に反ムスリム感情を持って参加する人たちは、第一次世界大戦で戦死した先祖たちと同じように、棺に入って帰ってくるだろう、とエルドアン大統領は述べたと伝えられている。

オーストラリアのスコット・モリソン首相は、これに強く反発し、あらゆる外交的措置を検討すると述べた。野党労働党の党首ビル・ショーテンもエルドアン大統領を非難した。ニュージーランド政府はこれに反応する事を控えたが、外務大臣が今後トルコを訪問した際にこの問題を取り上げるだろう。

モリソン首相は国内で支持を得られなかった。下記は、彼がこれまでイスラム過激派を政治利用してきたことを非難するツイートの1つである。

エルドアンは間違っている。しかし、今回のような事件が起こったのは、下記の2つが原因である。
1.首相が長年、隠微な人種差別やイスラム恐怖症を抱え持ったオーストラリア政府を率いてきたこと。
2.首相が、偏狭な信条にもとづいたポピュリズムに力を貸してきたこと。(モリソンもエルドアンも同じだ)

トルコ政府は、エルドアン大統領の発言が文脈を考慮せず取り上げられているとして、撤回しようとしているようだ。

ニュージーランド人が団結力を発揮

オーストラリアで起きた論争とは全く対照的に、ニュージーランドでは、この映像のように、クライストチャーチの学生たちによるハカの踊りが自発的に行われるなど、人々が団結を見せた。

校正:Masato Kaneko

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