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エベレスト山頂付近の混雑の様子を撮った登山家、8000メートル峰全てのスピード登頂に挑む   

カテゴリー: 南アジア, ネパール, スポーツ, 市民メディア, 旅行, 環境
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7か月で標高8,000メートル以上の14座登頂に取り組むニーマル・プルヤ(別名ニムス) 写真:プロジェクト・ポシブルのフェイスブックページから転載 使用許可済み

大英帝国五等勲爵士ニーマル・プルヤ [2](別名ニムス)は、8000メートル峰( エイトサウザンダー [3])とよばれる標高8,000メートル以上の14座を7か月で登頂するという世界記録に挑戦している。

ニムスは、退役インド・グルガ兵 [4]の子供であり、本人もグルガ旅団に所属した。また、精鋭で構成された英国特殊部隊にも所属した。退役後は登山に没頭し、最近4週間足らずの間にエイトサウザンダーの内の6座に登頂した。

ニムスが撮影し、世間で話題を呼んだエベレスト山頂付近の写真 [5]が示すように、ますます多くの登山者が高い登山料を払い長い列を作りながら世界最高峰を目指している。しかし、ニムス自身はプロジェクト・ポシブル [6]の第二段階を開始するための資金がいまだ不足している。

グローバル・ボイスのサンジブ・ショーダリーはニムスと面談し、短期間で登頂達成を試みようとするようになった動機について尋ねた。

グローバル・ボイス(GV):プロジェクト・ポシブルに取り組もうとするようになった動機は何ですか。あなたが取り組んでいるプロジェクトについて教えてください。

Nirmal Purja (NP): There are only 14 mountains on earth higher than 8,000m (Eight-thousander [7]) and they are all located in the Himalayas. The current world record for one individual climbing all 14 peaks is nearly 8 years. I aim to climb all 14 peaks in just 7 months. For me, this project is about pushing myself to see what is possible within human endurance. How far can humans go, can we go beyond what others think is possible?

ニーマル・プルヤ(NP):地球上で8,000メートル以上の山(エイトサウザンダー [3])は、わずか14座です。そしてそれらの山はすべてヒマラヤ山脈にあります。現在のところ、一人の人間がこの14座を登り切るのに要した期間の世界記録は、およそ8年です。私は、この14座全てを7か月で登り切ろうとしています。このプロジェクトによって、人間の忍耐力の限界を自分自身で見極めようとしているのです。人間は何処まで耐えられるのだろうか。誰もが考えている限界の範囲を超えられるのだろうかといったことを確かめたいのです。

GV:あなたは、最近4週間のうちに6座の登頂を達成しました。6座のうち最も登頂が困難だったのはどの山ですか。その理由は何ですか。

NP: Without doubt that would be Dhaulagiri [8] due to the weather. We were climbing in winds in excess of 70-75 mph. We could only climb when the wind speed decreased for a bit and when it went up again we would embrace because we couldn’t move and if we did, we would have blown away.

NP: それは紛れもなく ダウラギリ [9]です。天候のせいです。時速70から75マイルを超える風の中を登っていきました。風がほんのわずかの間、弱まったときだけしか登ることができませんでした。風が、また強くなると互いにしがみつき合っていました。その間は、動くことができませんでした。そんな中で動いていたら、吹き飛ばされていたかもしれません。

GV:エベレストのキャンプ4 [10]より上部やその他のエイトサウザンダーでは、だれも同行の登山者のことを気にかけないと言われています。空気は薄いし、風は強い。そして、気温は極めて低い中で山頂を目指している途中、手助けが必要な人に出会ったら、あなたはどうしますか。

NP: What would I do or what did I do? In 2016, during the descent from summiting Everest, I rescued a female climber who had been left for dead just below the Balcony at 8,380 m. I brought her down on my own and handed her care over to the Everest Air Rescue Team at the South Col. I would do the same every time.

NP:何をするかですか。私はこんなことをしたことがあります。2016年、エベレスト山頂から下山中、8,380メートルのバルコニー直下で、死んだものとして見捨てられていた女性登山家を救出しました。私は自分で彼女を下山させ、サウスコルでエベレストヘリコプター救助隊に彼女を委ねました。これからもこれと同じようにするでしょう。

GV:あなたは過去にもエイトサウザンダーの山々に登ったことがあります。今回、登ってみて何か変化を感じましたか。山中で気候変動の影響を何か目にしましたか。 

NP: I have climbed some of those phase mountains before and I did see changes. A lot less snow, glacier melting. It is a pretty stark and obvious change. We had to carry water where we previously melted snow.

NP:変化の兆候が感じられるいくつかの山に以前、登ったことがあります。そして今回の登頂では確かに変化を目にしました。降雪が少なくなっていますし、氷河が溶け出しています。誰が見ても明らかな変化です。以前は雪を溶かして利用していた地点まで、今は水を運ばなければなりません。

GV:次の計画は何ですか。いつどの山頂を目指す計画ですか。資金調達の情況はどうですか。やる気を維持する元は何ですか。

NP: Phase two is delayed for around two more weeks while I get funding and I am currently £150k short. I am motivated as much now as I have ever been, my mind is still positive. I get so much inspiration and motivation from my followers on Instagram and Twitter that drives me.

NP:第二段階の取り組みは、約2週間以上遅れています。資金調達をしていますが、今、資金は15万ポンド不足しています。これまでと同様、今はやる気満々です。積極的な気持ちを維持しています。インスタグラムやツイッターのフォロワーから沢山の刺激とやる気をもらっています。それでやる気をかき立てられています。

GV:このプロジェクトを完遂した後、どんなことを念頭に描いているのですか。将来の計画はどのようなものですか。

NP: For now, I am 100% focused on Project Possible. After — who knows? All I know is I want to continue raising money for the charities I am working with.

NP:今は、プロジェクト・ポシブルに全力を注いでいます。その後のことは分かりません。分かっていることは、今私が関わっている慈善事業のために資金調達を続けたいということです。

GV:最後の質問になりますが、並の人にとってはエイトサウザンダーに登ることは容易なことではありません。これに登るには何が必要でしょうか。生まれつきの才能でしょうか。訓練でしょうか。それとも意志力でしょうか。エイトサウザンダーを目指している登山家にアドバイスをお願いします。

NP: You need to have both physical and mental endurance to climb any mountain, especially eight-thousanders. I believe I have a good physiology developed from being born and raised at high altitudes. I also have the mental approach from my years in the Special Forces. This combination gives me a unique skill set. Take your time, climb 5000, 6000, 7000 meter peaks, learn how your body reacts to altitude. Take it slow, build your experience and enjoy the journey. Don’t rush for an 8000 meter peak.

NP:どんな山に登るにも肉体的忍耐力と精神的忍耐力の両方が必要です。エイトサウザンダーに登る場合は、特にそういえます。私は、高所に生まれ育ったおかげで登山に必要な生理機能が身についたと思います。また、英国特殊部隊で何年か過ごしたおかげで精神力も身につきました。こういったことが複合して、私に特殊な能力が備わりました。時間を見つけて、5,000メートル、6,000メートル、7,000メートルの山に登るのがよいでしょう。そして、高度に対して身体がどのように順応するかを知る必要があります。ゆっくりと経験を積み重ね、登山を楽しんでください。8,000メートルの山頂征服を焦ってはいけません。

校正:Akane Sato [11]