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ブラジルの森林伐採拡大の影響で、アマゾンの大火災が地球規模の危機に

(原文掲載日は2019年8月24日)

イラスト:@byleylaali 許可を得て使用

2017年12月、ブラジル政府から名誉勲章を授与された時、ブラジル先住民カヤポ族の首長であるカシケ・ラオニ(訳注:「カシケ」は部族の首長を表す称号)は、「私たちは結束しなくてはならない。なぜなら、彼らは私たちの土地を破壊しようとしているのだ」と語った。ラオニ・メートゥックテールが国際的に知られるようになったのは30年前のことだ。当時、イギリスのミュージシャン、スティングのツアーに同行し、17カ国で、世界最大の熱帯雨林における森林伐採を非難した。ラオニはブラジル中西部に位置するマットグロッソ州に生まれた。そこでは、この1週間、アマゾンの森林が広範囲にわたって燃え続けている。

マットグロッソ州にあるシャパダ・ドス・ギマランイス国立公園の山火事は、8月19日に火災の延焼をくい止めるまで10日間猛威をふるった。フォーリャ・ジ・サンパウロ紙によると、2019年だけで、国立公園の12%が山火事により焼失した。今年ブラジルの山火事の発生件数は過去最高に達し、マットグロッソ州はブラジルの中でも、最も高い火災発生件数を記録している。

マットグロッソ州はブラジルの主要な農業州で、ボリビアとの国境に接しており、山火事はおよそサッカー場74万5,000個分に相当する面積に及んだ。ヘリコプターからこの地域を視察した後、ブラジルの環境大臣リカルド・サレスは、この状況を招いたのは、監視業務の予算削減によるのではなく、乾燥した気候と犯罪によるものだと、証拠を示すことなく批判した。

上述の出来事は、ブラジルの現在の状況を捉えており、目下世界中の注目を集めている。この2日間、ツイッターでは#PrayForTheAmazon (アマゾンのために祈ろう) #ActfortheAmazon (アマゾンのために行動しよう)というハッシュタグがトレンド入りしている。活動家たちは、牛の牧場や農地を拡大するために、森林伐採を行い、ブラジルの環境を損なってきた政府の罪をこれまで長年非難してきた。乾季の影響に加えて、問題に対処しない州、責任を回避する政府により、アマゾン地域はこの状況を呈している。

#AmazonRainforest(アマゾン熱帯雨林)の山火事による煙は、ブラジルのいくつかの州に広がっている。この自然色画像は、スオミNPP気象衛星に搭載した@NASAEarthが捉えたもの。ブラジルでは火災が多く発生する時期ではあるものの、火災発生件数の最高記録を更新するだろう。

今週ブラジルの報道機関が報じた多くの専門家のインタビューによると、火災の原因はひとつではないという。ニュースサイトUOLが集めた談話の中には「伐採、季節ごとの焼き畑、資金や調査の不足」が挙げられている。

ジャイール・ボルソナーロ大統領が、証拠を示すことなく火災のことでNGOを非難したことは一度だけではない。彼は、NGOなどのグループが政府や大統領の海外へのイメージを悪くすることを目的に火を放ったのではないかと、ほのめかす発言をした。ボルソナーロ大統領はNGO向け予算をすでに40%カットしたことを発表している

Entao, pode estar havendo, sim, pode, nao estou afirmando, acao criminosa desses ‘ongueiros’ para chamar a atencao contra a minha pessoa, contra o governo do Brasil. Essa e a guerra que nos enfrentamos.

断言はしないが、おそらくNGO関係者が私やブラジル政府に抗議するために犯罪行為を起こし、それによって、世界の注目を集めようとしているのだ。これは、ブラジル政府が直面している戦いである。

ドイツとノルウェーはアマゾン地域の復旧プロジェクトや森林伐採の監視などの財源であるアマゾン基金への助成金を凍結させた。基金の最大の援助国である両国は、ボルソナーロ政権以降の急激な伐採の増加を理由に、助成金凍結の決定を正当としている

現在の危機的状況において、アマゾン基金は、延焼を食い止めるための放水車や消防士の装備の費用を補う、主要な資金源である

ボルソナーロ政権下のアマゾン

ブラジル国立宇宙研究所(Inpe)のデータによると、2019年1月から8月19日の間、ブラジルでは7万2,843件の火災が発生しており、2018年の同時期と比較して83%の増加がみられる。エル・パイスが引用したアマゾン環境研究所(Ipam)の報告書によると、火災の60%は私有地の中で発生し、16%は先住民の土地で、そして1%は保護地域で起こっているという。

両研究所によると、火災の発生件数が最も高いアマゾン地域の10の町は、伐採の割合が最も高い地区に一致しており、加えてアマゾンで今年発生した火災の52%がブラジルで起こった、としている。Nasaも、この火災は「森林伐採の行われたとみられる場所で発生している」と指摘している

#AmazonRainforest(アマゾンの熱帯雨林)に火災の季節が到来した。
NASAの人工衛星アクアに搭載したモディス装置が捉えたこの画像は、2019年8月11日、ブラジルのロンドニア州、アマゾナス州、パラー州、マッド・グロッソ州で火災が起こっていることを示している。

今年(2019年)7月、ブラジル国立宇宙研究所(Inpe)がアマゾンの森林伐採が加速していると公表したことに対し、政府は抗議した。ブラジルのリカルド・サレス環境大臣はそのデータは不正確であり、別の業者を雇ってこれとは異なる数字を提示すると述べた。防衛制度相であるアウグスト・エレーノ長官は、データは「操作された」と語った。さらにボルソナーロ大統領も、Inpeの所長は、あるNGOと共謀していると示唆し、次のように語った。

Com toda a devastacao que voces nos acusam de estar fazendo e de ter feito no passado, a Amazonia ja teria se extinguido.

君たちが政府を非難するような、現在や過去のすべての森林破壊が真実なら、アマゾンはすでに消滅しているだろう。

結局、8月に政府は、森林伐採のデータを公表したことでInpeのリカルド・ガルバオ所長を解任した

アマゾンはボルソナーロの非難材料としてたびたび話題になる。大統領選挙の期間中、彼は頻繁に、この地域で鉱物資源採掘を進めることを主張した。彼はアマゾンが諸外国に支配されないためにも、開発を通して「統合」されるべきというブラジルの軍事独裁政権時代にさかのぼる見解を繰り返してきた。ジャーナリストのルーベンス・ヴァレントは次のように記す。

Em resumo, ela afirma que ONGs e indigenas pretendem, em conluio com paises estrangeiros, dividir a regiao por meio da independencia de algumas de suas areas. Os ataques externos “ao Brasil”, ou seja, ao governo brasileiro, esconderiam um plano secreto internacional para tomar essas porcoes de terra exuberantes e ricas.

A partir dos anos 1980, essas ideias passaram a ser difundidas com mais intensidade em circulos militares (…)

Tal ficcao encontra solo fertil no governo do presidente Jair Bolsonaro, capitao reformado, e tem pautado a relacao do governo brasileiro com a Amazonia e paises estrangeiros que incentivam projetos de preservacao da regiao.

要するに、この理論はNGOや先住民族が諸外国と共謀し、一部の地域を独立させ土地を分断することを意図しているというものだ。「ブラジルに対する」外部からの攻撃、つまりブラジル政府への攻撃が意味するのは、この土地の肥沃で豊かな恵みを奪おうとする、密かな国際的な画策を隠すのが目的だとしている。

1980年代から、このような考えは、軍事関係者の中にさらに深く広がり始めた。(中略)

元軍人ジャイール・ボルソナーロ新政権内には、このような架空の話が再燃する土壌があった。ブラジル政府とアマゾン地域、さらにこの地域の保護を唱える海外の国々との間には様々な思惑がからんだ関係がある。

ボルソナーロ政権のサレス環境大臣は、アマゾン問題の解決は、商業開発のために土地を切り開くことにより、アマゾンを「収益化」することだと主張する。サレス大臣の下で、植物相に反する犯罪に課す罰金は23%減少している

ネット上で燃え上がる

ファビオ・マリーニ教授が8月22日に発表した概算では、わずか14時間で、火災についてのツイートは250万件を超えた。英語で94万9,445件、スペイン語で69万8,943件、ポルトガル語で59万3,873件だった。

ブラジルのアマゾンについてのツイートは、この7日間で1,020万件となり、昨日1日だけで430万件となった。この数値は、ツイート数の多さでみると大きなテロ事件に匹敵する。これらのツイートに対し、ブラジル時間の昨夜7時までの14時間に、210万件のリツイートがあった。

多くの有名人が、古い画像や、アマゾンではない画像まで用いて支援を表明している。その中にはブラジルのスーパーモデル、ジゼル・ブンチェンや、フランス大統領エマニュエル・マクロンがいて、2人はアマゾン問題に言及する時、1990年代の画像を投稿した。

今年(2019年)カシケ・ラオニと会ったマクロン大統領は、G7サミットでアマゾン問題を討論すると発表した。ボルソナーロ大統領はこれに対し、フランス大統領は自国での政治的支持を上げるために、ブラジルの国内問題を利用していると反論した。

マクロン大統領がブラジルや他のアマゾン地域の国内問題を、自分の政治的利益を得るための材料として利用しようとしていることは残念だ。アマゾンについて言及する彼の派手な口調(しかも間違った写真を出して)では、何らこの問題の解決にはならない。

ブラジル政府は、客観的なデータと相互尊重に基づき対話に応じるつもりだ。フランス大統領は、アマゾン地域の代表が参加しないG7で、アマゾンの問題を討論することを提案しているが、これは21世紀の植民地主義を想起させる振る舞いと言える。

しかし、批判により効果が生まれているとも言える。たとえば、自由主義寄りのノボ党は、党員の中でも目立つ存在のサレス大臣と距離を取ろうとしている。また、EUでは、特定のブラジル製品に対して経済制裁を求める声が強まっている。ブラジル政府に対する世界中の抗議を受け、ボルソナーロ大統領は消火活動のために軍隊を送ることを決定し、国営放送やラジオでその声明を伝えた。声明が流れる間、一部の都市では人々は鍋や釜を打ち鳴らし、リオデジャネイロ、ブラジリアやサンパウロの通りでは抗議活動が起きた。

また、国家先住民人権擁護委員会のジョエニア・ヴァピシャナ会長と同じ政党の議員たちは、環境大臣の責任を追及し、正式に弾劾を求めた

2019年8月、アマゾンでは活発な火災の季節が続いており、この地域は広範囲にわたり集中的に燃えている。先週、@NASA人工衛星は、南アメリカで激しく燃える火災を観測し、立ち上る煙の姿を捉えた。

校正:Sumiyo Roland

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