- Global Voices 日本語 - https://jp.globalvoices.org -

バングラデシュの花嫁、処女性からの解放

カテゴリー: 南アジア, バングラデシュ, 人権, 女性/ジェンダー, 市民メディア, 朗報, 法律, 行政, 開発
[1]

ウエディングドレスに身を包む、バングラデシュの花嫁。モハメド・ハシブル・ハクエ・サキブによる画像。フリッカーより。  CC BY NC 2.0

2019年8月25日、バングラデシュ最高裁判所高等裁判所部は、政府当局に対して、婚姻証明書に記載するクマリ(処女という意を含む)という言葉を、オビバヒト(未婚という意を表す)に置き換えることを命じた。5年の歳月をかけた法廷での争い [2]で勝ち取った決定であり、平等の権利を求める活動家たちにとって、歴史に節目を刻む勝利として称賛されている。

南アジアの国バングラデシュでは、ニカ [3](ムスリムの結婚を意味する語)と呼ばれる結婚式の中で婚姻の挙式が行われる。この挙式は、1974年制定の「ムスリムの婚姻および離婚(登録)に関する法律」 [4]に従って、政府に任命された婚姻登録官が執り行い続けてきた。幾度かの法改正 [5]はあったものの、その儀式は長い年月にわたり、似通った同じ方法で行われてきた。

バングラデシュの男女平等……最高裁判所高等裁判所部、日曜日に判決。処女(ベンガル語でクマリ)は「未婚」に置き換えられる予定。書式の残り2つの選択項目、「離婚経験者と未亡人」はそのまま……歓迎すべき判決。

2014年、3つの人権団体が、規定の婚姻登録書式第5項に異議を唱える申し立て [7]を行なった。申し立てを行ったのは、BLAST [8](Bangladesh Legal Aids and Services Trust、バングラデシュ法律扶助サービストラスト)、ナリポッコ [9](Naripokkho、訳注:会員制女性活動家組織)および モヒラ・パリシャッド [10](Bangladesh Mohila Parishad、訳注:バングラデシュ人権保護団体の女性協議会)である。この婚姻登録書式はカビン・ナマとしても知られ、記入式の文書で、2人のムスリムの証人によって署名がなされる。カビン・ナマ [11]は、ムスリム家族法条例(1961制定) [12]の元、新郎新婦の公的な結びつきの法的根拠となるもので、両者の権利と義務が提示されている。書式の第5項では、新婦がクマリであるのか、未亡人であるのか離婚経験者であるのかを明記しなければならない。一方、新郎には同様の記載をすることは要求されない。最高裁判所高等裁判所部に提出された請願書の中で、活動家たちは、その条項が「男女差別を固定化させており、憲法第27条、28条、31条、および32条に違反している」と言明した。

活動家たちはさらに、クマリのオビバヒトという言葉への改正も提起した。古いベンガル語 [13]では、クマリ [14] は未婚であることを現すが、一方で処女であるという意味を内包している。一般的に使用されるオビバヒトは、未婚を特定して指す語である。2014年9月14日、最高裁判所高等裁判所部の裁判官ナイマ・ハイダーおよびモハメド・ジャハンギル・フセインは、政府に対して公式審査を行ない [7]、クマリの使用が女性差別でないとみなすことが適切なのか、また請願書で言及された修正を実施するべきかどうかについて尋ねた。聴聞会の実施後、2019年8月25日付けで最高裁判所高等裁判所部は決定を下した [15]

訴訟を起こすために活動した団体にとって、この決定 [2]は歴史的な節目となる勝利であるとして、称賛された。新法に基づき、新郎もまた自身が未婚であるか、死別または離婚経験者であるか記載しなければならない [16]

決定のあと、BLASTのアイナン・ナハール・シディッカは、ザ・デイリー・スター
(訳注:バングラデシュの日刊英字新聞)に話をした [17]。彼女は、1960年代にパキスタン政権時に考案されたカビン・ナマに、1971年のバングラデシュ独立後でさえ何の変化ももたらされなかったことを語った。

トムソン・ロイター財団との別のインタビュー [18]で、アイナンは、「私たちがこの先、女性たちのために闘ってさらに変化を起こすことができるのだという確信を、この裁定は与えてくれました」と述べた。

ネット上では、この最新の決定に対するコメントがソーシャルメディアに寄せられた。ブログ『ウィメン・チャプター』で、ラハト・ムスタフィは、一部のバングラデシュ男性に共通する、処女との結婚願望について次のように書いて [19]いる。

বর্তমানে কিছুটা শিক্ষার আলো পাওয়া বাঙালি মুসলমান এখন সাদা কাপড় বিছিয়ে রক্তের পরীক্ষা নিতে শরম পায়, কিন্তু মনে মনে আশা করে অল্প বয়সী কুমারী, যার যোনি পর্দা নিশ্ছিদ্র ও অটুট আছে। এবং যে তরুণীর ভেতর আর কোনো পুরুষ প্রবেশ করেনি। মূলত এই টাইপের চরম আধিপত্যবাদী পুরুষতান্ত্রিক রাজনৈতিক সেন্স ও কনশাসনেস থেকে আমাদের মেলশোভিনিস্ট আইনপ্রণেতারা “কুমারী” শব্দটা কাবিননামায় অপরিহার্য করে তুলেছিলেন।

昨今の、教育を受けたベンガル人のムスリムの男性は、(かつてのように)白い布を用いて花嫁が処女であるかどうかをあえてテストしたり [20]などしませんが、密かに自分の花嫁には、処女膜が無傷の若い処女であることを望んでいるのです。主としてこの男性優越主義的な感覚と意識の結果、われわれの家父長制度支配の立法者たちは、「クマリ」という言葉をカビン・ナマにおいて不可欠なものとしたのです。

サミナ・アンワー [21]は、Facebookに預言者ムハンマド [22]の例を載せている。

(in those days) Prophet Muhammad (SAW) did not go after “virgins”. He was after rescuing (widowed) women and taking care of them. This was how broad-minded Prophet Muhammad (SAW) was.

How many Muslim men these days would marry a widow or a divorcee? If one is to follow the real sunnah – are men not supposed to follow what Prophet Muhammad (SAW) practised?

(当時)ムハンマドは、「処女」を追い求めませんでした。ムハンマドは(夫を亡くした)女性たちを救済し、さらにその生活を保護していたのです。ムハンマドはこのように寛大でした。

今日、どれくらいのムスリム男性が、未亡人や離婚歴のある女性と結婚しようとするでしょうか。もし、われわれが文字通りにスンナに従うとべきというのなら、男性はムハンマドの行いに従わなくてもよいのでしょうか?

人によっては、カビン・ナマにおいては、クマリは一般的にただ未婚であるという古い意味 [23]を持っているだけだとして、法改正は必要だったのかと問題を提起する人もいた。

首都ダッカのムスリム婚姻登録官である、モハメド・アリ・アカバ・サカは、メディア [24]に対して次のように語った。

I have conducted many marriages in Dhaka and I have often been asked why men have the liberty to not disclose their status but women don't. I always told them this wasn't in my hands. I guess I won't be asked that question anymore.

私は、ダッカでこれまで多くの結婚を挙行してきました。そして何故男性には自分の現況を開示しなくてもよいという自由があるのに、女性にはその自由がないのかと、よく尋ねられてきました。私はいつも、これは私の思いのままになることではな
いと伝えていました。でも、これからはもう、そんなことも尋ねられなくなることでしょう。

修正は、10月中旬から発効される予定である。

校正:Minako Enomoto [25]