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かつてホメロスが賞賛したトルコのカズ山 いまや木々が伐採され山肌もあらわに

カズ山の森林 写真:CC 3.0 licenseの下に使用

トルコ政府は 大規模鉱山開発を急速に拡大する政策を進めている。これに伴うカナダ企業の広範な森林伐採に対して、抗議運動が燃え上がった。抗議運動に携わる人たちは森林保護の関心を高めるために、トルコの著名なアーチストたちの協力を取り付けた。しかし、 約20万本の木を切り倒したことで、政府はさらなる鉱業権の割り当てを思いとどまることができるのだろうか。

筆者が作成したインフォグラフィック

トルコ政府 海外企業の大規模鉱山開発に門戸を開く 

鉱業部門の拡充に力を入れているトルコ政府は、海外からの投資を積極的に受け入れる政策を展開している。政府は国内の鉱山に対して戦略的経済優先順位を設定し、鉱山開発を推進するために、海外企業に特別条項を適用している。2000年に鉱物資源調査局と エネルギー・天然資源省 は、鉱床分布図の作成を開始した。また、2004年に政府は鉱業法を改正し、採鉱企業に対し探鉱免許を与えるとともに、減税や改正前は保護地域とされていた地域における操業を許可する措置を執った。そして、ついに2010年には探鉱免許を操業免許へ転換する措置に着手した。

トルコの市場に籍を置く海外企業の一つに、トロントのアラモス・ゴールド社がある。同社は2010年から採掘場所を探していたが、同社のウエブサイトによると2010年1月6日に9000万米ドルを一括払いして、カナダのフロンティア・ディベロップメント社とテック・リソース社から複数の採掘権を買収したという。また、2019年3月にはエネルギー・天然資源省から操業許可を取得している。

市内環境や市民生活にさらなる危害が及ぶ可能性があるので操業を停止すべきとするチャナッカレ市からの要請が度々あったにもかかわらず、同社は操業許可が下りると、時を待たずに操業を開始した。

シアン化物に対する懸念から、オンライン上および現地で森林伐採に対する抗議運動が巻き起こっている

金鉱会社が従来から用いている精錬法は堆積浸出(シアン化物の作用により金を鉱石から溶出させて抽出する方法)である。市民はもちろん環境活動家は、アラモス・ゴールド社が2万トンものシアン化物を使用するのではないかと懸念を示している。この化学物質は、もし漏出すれば周辺動植物の生命を奪いかねない、極めて危険な物質である。そして、この化学物質が実際に漏出した場合は、チャナッカレ市が管理するダムを汚染することとなる。このダムは、18万人を超える市民の上水源であり、また、5千ヘクタールを超える土地を灌漑するための水源となっている。

#KazdanaDokunma(カズ山に手を出すな)および #KazDalarHepimizin (カズ山は我々皆のもの)というハッシュタグの下に大勢の活動家、政治家、NGOの代表たちがソーシャル・メディア・プラットフォーム上でそれぞれが持つ懸念について嵐のような議論を展開した。また、7月26日には大規模な抗議運動の組織作りを開始した。その結果、現在は精錬施設建設工事現場の近くに24時間監視キャンプが設営され、この記事に見られるような「水と良心の監視」が続けられている。

エネルギー天然資源省は声明でシアン化物は使われていないはずだと述べているが、同省の声明は、アラモス社のウエブサイトに記されている内容とは異なる。

A dilute cyanide solution will be applied to the crushed ore over a 90 day leaching cycle with the pregnant solution collected and processed through the adsorption-desorption-recovery (“ADR”) plant where gold and silver doré bars will be produced.

シアン化物希釈溶液が、金または銀メッキ製品を製造する吸脱着回収(「ADR」)プラントから収集処理される貴液とともに、90日以上の周期で粉砕鉱石からの浸出工程に用いられている。

ロイター通信社とのインタビューでアラモス社CEOのジョン・マクラクシーは、批判をことごとくはねつけ、採掘区域は、森林復興計画が想定している6カ年が経過すれば元の状態の戻るはずだと言及した。「6年半以内に、全対象区域を再植林する計画です。そして、この区域は10年ないしもう少しの歳月の内に再び森林の様相を呈するはずです」と、彼は語った。また、マクラクシーは、伐採を行ったのはアラモス社ではなくトルコ政府だと語った。しかし、専門家が指摘するように、人間の手によって植林され、その後は自然の摂理に委ねられる森が成熟するには、100年もの歳月が必要である。

樹木伐採を阻止するために音楽を

アルモス社は、CEOマクラクシーの主張に反して、下請けのドグ・ミンガ・マイニング社を使って伐採を実際に行っていると、8月にビアネット(地域の独立系オンライン通信プラットフォーム)は伝えている。事実、ビアネットのニュースサイトには、アルモス社が2017年から伐採を行っているという記事が掲載されている。500エーカー(訳注:約200ヘクタール)の土地が整地され、自然生息地が全て破壊されてしまった今、伐採問題の焦点は、もはや誰が伐採をしたかということではなく、いかにして伐採の再開を阻止するかということである。

これまでのところ、政府は周囲からの申し立ての検討については頑な態度をとっている。トルコ最大野党の共和人民党(CHP)の26人の議員から議会に提出された採掘場建設工事調査に対する動議は、与党の公正発展党(AKP)および連立与党の民族主義者行動党(MHP)により否決された。

自然生息地保護に取り組むトルコの主要組織の一つであるTEMA(森林再生のための土壌浸食防止および自然生息地の保護を目的とするトルコ財団法人)は、#altindaolumvar(金に死あり)および#KazDaglariHepimizin (カズ山は我々皆のもの)という今話題になっている2つのハッシュタグをつけたビデオを公開した。

また、TEMAは採掘作業を停止すべきとする 請願活動を開始した。この記事の執筆時点で、この活動に賛同する署名が50万以上集まっている。

また、抗議運動に携わる人たちは、トルコの何人かの著名な芸術家および作家から協力を取り付けた。「我が世界遺産に対する侮辱」という文は、トルコの著名な作家であり音楽家であるズルフ・リヴァネリがユネスコに宛てた公開文書であり、カズ山の危機を訴えたものである。前ユネスコ親善大使のリヴァネリは、ユネスコに「歴史的に重要なトルコのカズ山に対する恐ろしい破壊行為およびカズ山周辺の住民に与える重大な危害に関して国際的な社会認識を喚起する」よう支援を要請した。

もう一人の文化的著名人であるピアニストのファジル・ザイは、去る8月に抗議運動の会場でコンサートを開いた。

チャナッカレ市長のウルグル・ゴカンは、ビアネットとのインタビューで、この地域におけるさらなる採鉱契約が締結されていると語った。そして、実際に採鉱が実施されれば、さらなる破壊が続くことになるとも付け加えた。

カナダ政府はこの問題に目を向けるべきだと、ソーシャルメディア上で訴える者も出ている。

親愛なるトルドー様、カナダの鉱山会社アラモス・ゴールドがカズ山の樹木を痛めつけています。あなたの援助が必要です。

カズ山は我が国および地域の心臓です。カズ山地域には素晴らしい生態系が存在しています。我が国の森林が痛めつけられているのに、黙って見ているのですか。#Kazdanadokunmaこの国は我々のものです。

我々は、カズ山に留まります。

新鮮な空気を呼吸できるように立ち上がろう。

自治体当局は過去に環境問題に関心を寄せ、注意を払うと断言したが、断言通りに実行している様子はうかがえない。トルコでは、 法の支配は、しばしば政府の利害関係と密接に関連する傾向がある。各人が銘々カズ山の所有を主張するが、ホメロスがかつて語ったように、カズ山はまず第一に自然界に属し、神聖なものである。

校正:Eiko Iwama

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