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ネパールで人気の高い乾燥チーズが犬の大好物に

カテゴリー: 南アジア, インド, ネパール, ブータン, 健康, 先住民, 市民メディア, 意見, 経済・ビジネス, 食

ネパール東部イラーム郡の店先につるされているチュルピ 筆者撮影 掲載許可済み

ネパール東部イラーム郡 [1]、霧深いカニャム [2]の茶畑を通りすがると、どの店先にも軒並み乾燥チーズの束がつり下げられている光景が目に入る。

産地ではチュルピ [3]と呼ばれているこの乾燥チーズは、ナク(雌のヤク)、乳牛、およびチャウリ(ヤクと野生乳牛の交配種)のミルクを混ぜ合わせた原料 [4]から作られている。ヒマラヤ山脈を構成するチベット、ダージリンとシッキム、およびブータンに住む人たちは、この優れたタンパク源であり歯ごたえのあるチーズを好んで食べている。

しかし、チュルピは、今や米国やヨーロッパで犬の好物として愛用されている。

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ネパール政府所管の通商輸出センター [7]によると、ネパールの2017および18会計年度におけるチュルピ輸出額は8億ネパール・ルピー(700万米ドル、7億4400万円) [8]を上回っているという。また、地元経営者の話によると、米国とヨーロッパへ犬用噛み棒として輸出した チュルピのうち、おおよそ60ないし70パーセント [9]はイラーム郡内で製造したものだという。

みんな、小さく刻んだチェルビを食べるのが大好きだ 著者撮影 掲載許可済み

チーズの種類はどれも大抵は柔らかである。どのようにして硬いチーズを作るのか? まず、ミルクを沸騰させ脂肪分を除去する。次に、ミルクからチュルピの素となる固形物を分離し、それを麻袋に詰め水分を絞り出す。そして、それを日光にさらすか、火の上につるすかして乾燥させる。

ゴダワリ国際非公開有限責任株式会社は、チュルピを犬用の噛み棒としてインド、日本、台湾、カナダ、および米国へ輸出 [10]している企業であるが、その綿密な製造工程 [11]を下記のように説明している。

[…] Once the milk has cooled down, it is treated with 10 ml of lime juice and 10 mg salt for about 100 gallons of milk. The sour of the mild acid coagulates the milk and the salt speeds up the process. The solids are then separated using a burlap sac [sic], which is washed several times using warm water to remove the whey, and any hints of salt and lime juice.

The solids in the burlap sack are then subjected to squeezing for about 3 weeks when the cake obtained contains at most 5% moisture. The cakes are pressed using weights to remove the excess moisture.

The cake is then cut to size and prepared for cooking [sic] under the sun and smoke[d] for 2-3 months. […]

[…]ミルクが冷却したら、約100ガロンのミルクに10ミリリットルの食塩を加える。すると、弱酸性の酸味によりミルクが固まり、食塩によりその進行が加速される。すると、弱酸性の酸味によりミルクが凝固する。また、食塩によりその進行が加速される。次に、麻袋を用いて凝固物を分離する。麻袋を温水で数回洗い、乳清、さらに塩分やライム果汁の風味を除去する。

次に、水分が5パーセントを切るまで、麻袋の中の凝固物を3週間ほど圧搾する。余分な水分は、凝固物に重りを載せて圧搾し除去する。

凝固物は、太陽の下で2~3か月間燻製された後、適切なサイズに裁断され食料用のチーズとなる。[…]

ネパールの高原牧草地に憩う2頭のチャウリ。チュルピは、ヤク、乳牛およびチャウリのミルクから作られる。筆者撮影 使用許可済み

チュルピをドッグフードとして市場に出そうと考えたのは、シュレスタ家のスマンとスジャン兄弟だった。この2人は、2003年にニッシュ・シュレスタと共同でヒマラヤドッグチュー [12]という会社を創立した。犬がチュルピに噛みついているのを片方の兄弟が見たときに この考えが浮かんだ [13]。2007年に、ワシントン州ベリンハムで開催されたペットフェアで同社製のチュルピを発売した。それ以来同社は大きな発展を遂げている。今や、ネパール国内最大のヒマラヤ産チーズ輸出企業 [14]となり、9,000人以上の従業員を抱えている。この3人は、すでに年間500万米ドルを超える売り上げ [15]を誇るネパールの起業家であったが、2015年にアメリカの人気番組、シャーク・タンク [16]というテレビ番組に登場した。

他の多くの企業が、彼らの成功例を追っている。しかし、ヒマラヤドッグチュー社は、単品製品重視の企業からペット関連製品全般を供給する企業へと展開してきたが、引き続き多角化を図っている。同社は自社のウエブサイト [17]で、ワシントン州の第3世代酪農場と提携を結んでいることを強調している。 この農場は月1000万ポンド、年1億2400万ポンドのミルクを全てヒマラヤンペットサプライ社のために生産している

この乾燥チーズは、カナダ、ドイツ、香港、インド、イスラエル、日本、韓国、マレーシア、ロシア、シンガポール、台湾、タイ、アラブ首長国連邦、英国、および米国など多くの国 [8]へ輸出され、ネパールの地方農家の安定した収入源となっている。

しかし、生産業者も輸出業者もこの業界で生き残っていくために、常に製法の再構築と多様化に気を配り続ける必要がある。

愛犬の歯が数本抜けそうです。ヤク乳から作ったヒマラヤンペット製 [18]の噛み棒が一因です。このようなものを与えてしまったせいで、この子の歯を傷つけ痛い思いをさてしまったと心を痛めています。この噛み棒は愛犬の歯を傷つける危険が有り、どう見ても問題有りの製品だということを知っておいてください。特に老犬には気をつけてあげてください。

ヒマラヤンペットサプライ社は注意書きで、噛み棒は、窒息、消化不良、喉の閉鎖、および歯の損傷を引き起こす可能性があるので、愛犬が本製品を噛んでいる間は、常に見守るように呼びかけている [21]

校正:Sae Shiragami [22]