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水上の教室が洪水に苦しむバングラデシュのコミュニティに教育をもたらす

カテゴリー: 南アジア, バングラデシュ, 市民メディア, 教育, 朗報, 災害
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現地のNPOシドゥライ・スワニバール・サングスタによる水上の教室。画像はGreat Big StoryのYoutube動画から転載。

「教育のボート」を意味するシッカ・トリ [2]は、NGOのBRAC [3]による革新的なプログラムだ。このプログラムによって、バングラデシュの低地で最も洪水が起きやすいいくつかの地域 [4]に暮らす子どもたちが、ボート式の学校で学ぶことが可能となる。

特に北東部に多いが、バングラデシュの国土の3分の1は海抜わずか1メートルだ。現地でハオールと呼ばれるこれらの湿地は、ひとたびモンスーンが来ると一面水浸しになり、1年のうち7-8か月は水が引かない。この期間には道路は冠水し、貧しい家庭の生徒は通常の学校には通うことができなくなる。

しかし、 シドゥライ・スワニバール・サングスタ [5]に続きBRAC [6]といった非営利団体も子どもたちの学びの場としてボート式の学校の導入を開始した。これらのボートは生徒を家から直接送迎する [7]水上バスとしても用いられる。

このボート式の学校のアイデア [8]はシドゥライ・スワニバール・サングスタの代表であるモハメド・レズワンが、幼少期の経験から思いついた。レズワンは洪水の起きやすい地域で育ち、モンスーンの季節には自家用ボートでのみ学校に通うことができた。しかし、友人の多くはレズワンほど恵まれていなかった。

I thought, if the children cannot come to school because of floods, then the school should go to them by boat.

「洪水で子どもたちが学校に来られないのであれば、学校がボートで子どもたちのところに行くべきだと私は思いました。」

グローバル・ファンド・フォー・チルドレンやビル&メリンダ・ゲイツ財団といった団体からの支援のもと、 2002年に最初のボート式学校が運航を開始 [9]した。

バングラデシュで初等教育を受ける生徒 [10]は900万人以上いるにもかかわらず、政府運営、非政府運営の小学校をあわせても11万校程度しかない。バングラデシュの湿地には約2000万人の人々が居住するが、中等教育を修了した人は1%に満たない。

バングラデシュで最大のNGOであるBRACも2012年に教育プロジェクト [11]の一環としてボート式の学校 [12]の運営を開始した。

シドゥライ・スワニバール・サングスタのボート式の学校で学ぶ生徒の数は、プログラムの発足以来、8万人を超え、BRACのボートでは1万4000人以上 [13]に達した。2つの団体によるこれらの取り組みは出席率を引き上げた。

バングラデシュの水上の学校。2002年からすでに約8万人の子どもたちがここでレベル4の教育を受けた。25艘あるこのタイプのボートはパブナ、ナトール、シラジガンジ地方の8つの川においてSSS-シドゥライ・スワニバール・サングスタによって精力的に活動中だ。

ボート式の学校で行う授業は、従来の四方を壁で囲んだ教室で行う授業とは異なるかも知れないが、そこで学ぶ生徒の学力は国内の他の生徒と比べても遜色ない [13]ことが明らかになっている。

BRACのボートには、小型図書館 [6]、科学コーナー、インターネットに接続されたノートパソコンを備えるものもある。また、シドゥライ・スワニバール・サングスタのいくつかのボート [16]は屋上にソーラーパネルを備え、夜間にボートに電力を供給し、働く子どもたちが授業を受けられるように [17]している。

素晴らしいアイデア:洪水が多発するバングラデシュにおいて、シドゥライ・スワニバール・サングスタは現地のコミュニティと協同して水上農場の設立に取り組むと同時に、54艘の水上移動式の学校とクリニックを運営する。

教師たちは現地住民の中から採用され、生徒たちに対して、精神的・肉体的な発達、気候変動による影響、環境を保護するための様々な方法を教えることができるように研修を受ける。

バングラデシュの教師たちは問題を抱えている。限られた予算や時代遅れの教科書といった、他の貧しい国の教師が直面するのと同じような課題だけではない。バングラデシュではモンスーンによる大雨も心配の種だ。洪水が頻発するので、子供たちは学校へ行けなくなることがよくある。
この問題を克服するため、バングラデシュ(#Bangladesh [21])の慈善団体はボート上の学校で生徒たちを教える方式を採ることとした。このボートは、NPOであるシドゥライ・スワニバール・サングスタによって現地で通年運営されている23艘の水上移動式の学校の一つである。

HundrED.orgはこのボート式の学校についての記事をシェアしている。

BRACのボート式学校はシンプルながら大胆なアイデアから生まれた。孤立した地域の生徒たちが学校に通えないのなら、学校が彼らのもとに行くべきだ。@BRACworld [24]は洪水が多発する地域の子どもたちの暮らしを変えている。詳しい情報はこちらから!https://t.co/nqTxkJgA4D [25] pic.twitter.com/Cd9FK4Dmo8 [26]

ボート式学校のコンセプトは現在、 フィリピン [28]カンボジア [29]ナイジェリア [30]ベトナム [31]ザンビア [32]といった発展途上国で取り入れられている。

校正:Misato McMillan [33], Masato Kaneko [34]