カメルーン マングローブが消えれば魚の価格が上昇

野生生物保護区内のマングローブ林を歩く男性(カメルーン、リトラル州ウウリ河口南部マノーカ島ドゥアラ・エデア野生生物保護区内マノーカ村にて) 写真:Piqselから取得 パブリックドメイン(公有)

カメルーンの住民は、周辺の広大なマングローブ林から多くの恩恵を得ている。彼らは長年にわたり、薪から魚に至るまでの生活必需品を、地元でマタンダの森と呼ばれるマングローブ林から得てきた。

この、低地に広がる防潮効果のある灌木帯は海水中に茂り、南西州だけを見ても、そのほぼ60パーセントを覆っている。しかも、そこだけでなくリオデルレイ、ドウラ地区ウウリ河口、南部ナンにまで広がっていると、環境・自然保護および持続可能な開発機構の南西州代表者エクワディ・ソーンジは語る。

魚の乱獲および樹木の過剰な伐採により、マングローブ林はここ数年深刻な枯渇の危機に瀕している。気候変動による海面上昇もマングローブ林の生態系を脅かしている。そして今、新型コロナウイルス症(COVID-19)によるパンデミックの最中に、魚類の価格急騰は、マングローブ林の枯渇が主な原因だと主張する意見も出ている。

南西州の州都ブエアに住む学生ヨシエン・シイル・キニュイは、パンデミックの間に魚の市場価格は明らかに上昇したと、グローバル・ボイスに語った。「以前は、1キログラムの魚を650フラン(訳注:約120円)で買えたのに、今は750フラン(訳注:約138円)します。時には800フラン(訳注:約148円)になることもあります」と、彼女はいう。

市場に出回っている魚の多くは輸入品である。そのため、価格はより高くなっていると、キニュイは指摘する。 彼女によると、 魚の販売市場を支配している外国の商社が、高額の関税を払っているため魚の値段は高騰しているが、「私の経験では、リンベ海岸で、漁師から魚を買い求めて売っている小売業者から買うとさらに割高になる」とのことである。そしてまた、カメルーン政府は2月に、コロナウイルスの影響で中国から魚の輸入を一時停止する措置を執った。そのため、さらなる高騰が懸念される。

アンダルー通信社によると、2010年時点で、カメルーンのマングローブ林は、ほぼ75パーセントが枯渇していたが、現時点の推定ではさらに高い数値を示している、ということである。

「マングローブ林が消滅したら、カメルーンには魚がいなくなってしまう」と、前出のソーンジは語った。

魚の需要と供給

マングローブ林は、カニ類を含め多くの魚類が繁殖するための良好な環境を生み出し、周辺住民へ数々の便益をもたらしていると、カメルーンで天然資源管理を学ぶ修士課程学生チェチュア・マンゾは言う。また、マングローブ林は多くの渡り鳥の生息地にもなっている。

マングローブの根は、打ち寄せる波の速さを和らげる役割をしている。そのおかげで幼魚は穏やかな水中を回遊し、カニは産卵することができるようになる。2009年には、5000トン以上の魚が、マングローブ地帯から水揚げされたと、ビジネスカメルーンの報告書は伝えている。また、「消費者の求めが最も多いBossu(和名不明)、ニシスズキ、ボラ、 アジといった魚がマングローブ地帯で水揚げされる」とも、伝えている。

今年、魚類の年間国内需要量は約40万トンと推定されているが、国内の漁獲量はそれを下回ると予想されるので、不足分を補うために年間 20万トンの魚を輸入すると、家畜・水産・畜産省は公表した。

何年にもわたり、漁民はマングローブ林に大きな負荷を与えてきた。事実、住民の 80パーセント以上が、魚を燻製して保存するためにマングローブ材を用いている。

「ヨーヨー村(リトラル州サナガ=マリティム県)の道を通ると、伐採されたマングローブがうずたかく積まれているのを目にする。 …そして、そこに住む人たちは、魚を燻製するのにマングローブ材を使うのは…大変便利だと言う」とマンゾは語った。

レジーナ・フォンジア・レケは、サナガ=マリティム県のムアンコでマングローブ林の危機がどのように展開しているかをツイッター上で語った。

カメルーンのムナンコでは、1日に2500立方メートルのマングローブが消失している。マングローブは魚を燻製するために伐採されている。この伐採により、活力のある生態系が急激に活力を失っている。 地元の民間非営利団体CWCSはこの流れを変えようとしている。活動の内容は動画に示す通り。

「マングローブの中で最も影響を受けているのはニッパヤシ(ヤシの一種)である」と、マンゾはグローバル・ボイスに語った。また、カメルーンのリトラル州における大規模な開発行為により、この地域のマングローブ林は深刻な打撃を受け絶滅の危機に瀕しているとも、言っている。

一方、カメルーン森林・野生生物省は、マングローブの消滅した地域で行われている建設工事で、マングローブ材を建設資材として1ドル以下で販売していると、アンダルー通信社は伝えている。

マングローブ林の保存

カメルーン政府は国内のマングローブの生態系を守るために数々の対策を実施してきた。2006年には、ラムサール条約に署名した。この条約は、湿地の保存を目的とした唯一の国際法制である。翌、2007年3月にはカメルーン独自の「湿地に関する国家ラムサール委員会」を 設立した

同時に環境省は、30パーセントの国土をマングローブを含む天然資源として保存する法律を制定した。そして、「この30パーセントは…5つの農業生態学的地区に分類される」と、南西州環境代表ソーンジは語った。

2006年には、政府は食糧農業機関の協力を得て、魚の燻製のためにマングローブを伐採せずにすむような代替手段模索するよう地域住民に働きかけた

こういった努力はさまざまな形で継続している。

国際林業研究センター(CIFOR)に同行してマノカ島を訪ねた。そこでは、カメルーンのチームが地元の婦人団体と協力しながら、マングローブ林を保護するために、より少ない木材で魚を燻製できる効率のよい手法の開発に取り組んでいた。

男性の仕事とされる漁獲と女性の仕事とされる魚の燻製は、マノカ島における唯一の生活手段である。それ故に、CIFORとその協力者は、地域住民が天然資源を良好に管理できるように助成を行っている。

2011年に、政府は森林再生事業に出資した。「しかし、マングローブは、3年もしないうちに切り倒されてしまう。それも、政府の許可を得たうえでの話である」と、マングローブ保存協会会長のランミ・モーゼスはアンダルー通信社に語ったそしてさらに次のように続けた。

By cutting down mangrove trees that have been planted in less than three years and with the government's permission, operators are destroying the mangroves and preventing their regeneration. … We can't reforest all the time when our work is destroyed after two years.

植林してから3年もしないうちにマングローブを伐採すれば、マングローブ林の破壊に繋がり、その再生は望めない。しかも、政府は事もあろうに伐採を認めているのだ。我々の努力が、2年たつと、めちゃめちゃにされてしまうようでは、何年たってもマングローブ林の再生は不可能である。

2013年に、カメルーン政府は3億フラン(訳注:5547万円)すなわち512万3043米ドルをマングローブの保護に費やし、ようやく19万5000ヘクタールを超えるマングローブ林を保存することができた。

しかし、乱伐が依然としてマングローブ林消滅の主因となっていると、カメルーンの森林管理者ジャン・マリー・チュアラ・ワボは語る。

「我が国のマングローブ林は、政府の監視の下に破壊されている」と、彼はアンダルー通信社に語った。

ネット市民のマグダレン・ンゲベは、「行動を起こさなければ、カメルーンのマングローブ林は消滅してしまう」と嘆く。

我が祖国のマングローブは、なんと悲しい現実を背負っていることだろうか。私は以前から我が国のマングローブについて調べてきた。マングローブをめぐる流れを変えるために至急何か対策を講ずる必要があると、私は言いたい。
行動を起こさなければ、カメルーンのマングローブ林は消滅してしまう。

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