- Global Voices 日本語 - https://jp.globalvoices.org -

ネパールで2匹の白ヘビ発見 この種としては世界初

カテゴリー: 南アジア, ネパール, 市民メディア, 朗報, 環境

ネパールで発見された 白変種 のアマガサヘビ 写真提供:デブ・ナラヤン・マンダルとガネーシュ・サー 使用許可済み

2020年10月に発表された研究論文 [1]によると、ネパール南東部の第二州 [2]で行われた蛇の救出活動の際に見つかった2匹の白色アマガサヘビ [3](Bungarus)は、この種の蛇としては初の発見であることが分かった。アマガサヘビはインド亜大陸に生息する毒蛇の中でも最も強い毒を持つ蛇として知られている。

2020年4月25日には、同州ダヌシャ郡 [4]ダヌシャダム [5]村で体色がピンクで目が黒いウオールズアマガサヘビ(Bungarus walli) が見つかった。

発見されたとき、この蛇はの中飼われていました」と爬虫類保護活動家で野生動物写真家のガネーシュ・サーは、電話でグローバル・ボイスに語った。そしてさらに、村民の一人が、サーのことを保護活動家ではなく金儲けのために蛇を探している人と思い込んでいたので「蛇を元の生息地へ戻してやるのを民に納得させるまで、私は彼らを説得しなければなりませんでした」とも付け加えた。

その1か月強の後の6月3日に、サーはダヌシャダム村キシャンプールで発見されたもう一匹の白変種の蛇を保護した。この蛇(Bungarus niger [6])は、一般的には大型黒アマガサヘビと呼ばれ、4月にマチアルバで見つかったものとよく似ている。

色だけで毒蛇を特定してはいけないという見本だ。
ネパールでアマガサヘビの2種の白変種が新たに発見されたというカマール・デブコタのチームによる論文を読んでびっくりした。
名称:クロアマガサヘビ ( B. niger) とウオールズアマガサヘビ(B. walli)
猛毒性(神経毒性)

蛇の先天性色素欠如と白化現象の違い

先天性色素欠如は、遺伝子に関連した現象で、色素が完全に欠如しているか、または一部の色素が欠如している。そのため、よく白化現象と混同される。先天性色素欠如の影響を受けた白変種は体色が白色になるが、目の色は色素欠如の影響は受けない。

一方、白化現象はメラニンの欠如により生ずる現象であり、メラニンは体色や目の色を左右する要素とされている。白化現象の影響を受けた蛇の目の色は、目の血管に流れている血液が透けて見えるのでピンク色にみえる。

今回の論文 [1]の執筆責任者、カマール・デブコタ [12]は、電話による聞き取りで、「先天性色素欠如および白化現象のどちらの現象も、この毒蛇の生存環境を脆弱化させている。どちらの影響を受けた蛇も、よく目立つ外見をしているので天敵の餌食になりやすい。偽装しにくい体色をしているので、食べ物を捕まえるのが難しい。さらに、うまく体温調整ができない [13]ので、動きが鈍くなり、消化もよくできない」と語った。

ネパールの毒蛇

写真付き解説書「ネパールの毒蛇 [15]」によると、ネパールに生息する89種の蛇のうち、6種のアマガサヘビを含む17種の蛇は猛毒を持ち、人に危害を加えるとされている。

ウオールズアマガサヘビ [16](Bungarus walli)の種は、頭部、胴体および尾の色がツヤのある黒色や褐色を帯びた黒色、または灰色で、胴全体の周りに白または黄色の細い輪を巻き付けたような模様がある。この種は、ネパール南東部の低地、インド北部のガンジス川氾濫原およびバングラデシュのデルタ地帯に生息する。

大型黒アマガサヘビ (Bungarus niger)は、頭部、胴体および尾の色がツヤのある黒色や褐色を帯びた黒色、または濃いチョコレート色で、胴体および尾には輪の巻き付いたような模様はない。この蛇はネパールの低地および低山地帯、ブータン、インド、バングラデシュおよびミャンマーに生息する。

アマガサヘビは夜行性であり、これにかまれると、たった24時間以内に間違いなく命取りになる。世界保健機関(WHO)は、ネパールでは毎年 2万人が蛇にかまれ [17]そのうち1000人以上が亡くなっていると推定している。しかし、多くの調査によると、この数値はもっと多いようである。

ネパールに生息するヘビのうち猛毒を持っているのは20パーセント弱であるが、どの蛇も恐れられがちである。 ネズミヘビ [18]は毒を持っていないが、しばしばコブラと間違えられる。また、同様に オオカミヘビ [19]もアマガサヘビと間違えられる。

このように、蛇の種類を間違えることによって、これらの蛇を殺してしまう事例がしばしば見受けられる。しかし、啓発プログラム [20]や蛇類情報センターの設立により、人々の蛇に対する認識は改善されてきた。同時に、蛇類の保護団体や個人が蛇の保護活動や啓発活動 [21]を行ってきたのも事実である。

校正:Sari Uchida [22]