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「世界一孤独なゾウ」、自由が目前に

カテゴリー: 南アジア, パキスタン, 人道支援, 市民メディア, 環境
An Elephant in a Pakistan Zoo. Image via Wikipedia by Mfawadazhar. CC BY-SA 4.0 [1]

パキスタンのとある動物園にいるゾウ。画像提供 [1] Wikipedia、Mfawadazhar撮影。CC BY-SA 4.0 [2]

パキスタンで唯一のアジアゾウであるカーバン [3]は、イスラマバードのマーガザー動物園に30年以上も閉じ込められてきた。

動物愛護活動家らは長いこと、カーバンが劣悪な環境下で飼育されていることに抗議してきた。2015年 [4]には同動物園からカーバンの救出を呼び掛けるキャンペーンが、米歌手シェール [5]さんの支援を受けて始まった。 2020年5月、イスラマバード高等裁判所は、カーバンをイスタンブールの動物園から生息に適した野生動物保護区へ移送することを認める判決 [6]を下した。

1985年、スリランカ政府は、2国間の関係強化を目的として当時まだ幼かったカバーンをパキスタンへ寄贈 [7]した。 1990年、カーバン は、バングラデッシュから連れてこられたサヘリという名のゾウと一緒に過ごすこととなった。しかしサヘリは2012年に死亡し、カーバンは「一人ぼっち [8]」になってしまった。 すると、カーバンは気力を失い、やがてストレスからくる凶暴性を示すようになった。そのため飼育係はカーバンを鎖でつないでしまった。

カシム・アッバシ記者のツイート:

カーバンがガーディアン紙上で「世界一孤独なゾウ」と紹介された。

カーバンの自由をめぐる長い苦闘

2015年に、学生のサマール・カーンがカーバンの惨めな状態と孤独な環境に焦点を当て、カーバンを鎖から解放するためにオンラインで署名を募った [11]。また、カーンはカーバンの苦境に関する情報を共有するため「ゾウのカーバンに自由を [12]」と題したフェイスブックページを作成した。

囚われの身になった野生動物の保護を目的とする動物保護団体「フリー・ザ・ワイルド」の共同創設者であるシェール [13]は、団体を通じてカーバンの救出を訴え続け [14]ている。

2020年7月、イスラマバード野生管理委員会(IWMB)で行われた緊急会議にて、パキスタン政府はカーバンを [15]イスラマバードからカンボジアの野生動物保護地区 [16]へ移送させることを提案した。 そこではカーバンは80頭以上いる厚皮動物の仲間入りをして、野生動物専門家の世話を受けることになる。

移送は、 これまでにパキスタンの動物園から30頭以上の動物の救出支援をした実績のあるオーストリアの国際的な動物保護団体 [17]「フォー・ポーズ・インターナショナル(FPI)」 [18]が請け負うこととなる。 [17]

カーバンをカンボジアへ運ぶコンテナは [19] 、「フリー・ザ・ワイルド」の支援の下すでに完成しており、伝統的な絵柄があしらわれている。

紳士淑女の皆さん! カーバンのコンテナです!

マーガザー動物園のほかの動物たちにも希望が

5月22日、イスラマバード高等裁判所(IHC)は、IWMBに対し、カーバン [44]を含むマーガザー動物園のすべての動物たちを野生動物保護地区へ移送させる [8]ことを命じた。

高等裁判所が、園内全ての動物800頭をそれぞれの保護区へ移送することを命じた。イスラマバード動物園から管理者に指名されたIWMBの、捕獲あるいは移送中の不手際により、雄ライオン、雌ライオン、ダチョウ、ニルガイ、シマウマなどその他多くの動物の命が奪われてしまった。

同動物園で飼育されていた動物917匹のうち513匹が移送中に行方不明になった [48]ほか、飼育係がおびき出そうとして点火した煙を吸って死んだライオン2頭を含む10頭が死亡している [49]。IWMBは残った動物たちを無事に移送させた。

バブロとスージーはやっとヨルダンへ行くことになった。輸出許可証が発行される。

2020年8月、フォー・ポーズ・インターナショナルの調査団が、パキスタンへ派遣された。それ以降、同団体のディレクターでエジプト人アミール・カーリル博士がカーバンを訓練したり、歌を歌ったり、遊んだりして一緒に時間を過ごしてきた [56]。マーガザー動物園の飼育条件を精査した結果、動物たちのおかれている飼育環境は危険な状況にある [57]と判断したカーリル博士は、動物たちの移送キャンペーン [58]を率先して行ってきた。

カンボジアが移送許可証を発行。カーバンの救済は目前に。?カーバンは1ヵ月以内にカンボジアの野生動物保護地区へ移送される。カンボジア政府は金曜、イスラマバードの動物園からカンボジア国内の動物保護地区へカーバンを受け入れる許可証を発行した。

パキスタンの動物愛護活動家たちは長いこと、動物園の動物たちによりよい飼育状況をつくるために働きかけており、狂犬病の予防や頭数増加の抑止策として行われる犬の殺りく [62]その他の残虐行為をやめるように活動している。 イスラマバード出身の動物愛護活動家であるファリアル・ハックさんは、グローバル・ボイスの取材に下記のように話した。

カーバンが再び生きるチャンスを与えられたのはフォー・ポーズ・インターナショナルとアミール・カーリル博士の努力のたまものです。カーバンと博士はとても仲良くなりました。しかしイスラマバードの動物園での動物たちの飼育状況は悲惨なものでした。こうした動物園を廃止し、デジタル動物園にむけて働きかけ、動物たちを自然な環境で生活させるべき時期が来ています。

校正: Masato Kaneko [63]