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中央アメリカの黒人と先住民にとってのブラック・ライブズ・マター運動とは?

カテゴリー: ラテンアメリカ, エルサルバドル, グアテマラ, コスタリカ, ニカラグア, パナマ, ホンデュラス, デジタル・アクティビズム, 健康, 国際関係, 市民メディア, 抗議, 民族/人種

(訳注:原文の掲載日は2020年6月5日です)

「あなたの内なる差別を問う」ニカラグアのアーティスト、ベロ・ガラバトスのFacebook [1]より。使用許可済み。

中央アメリカの先住民と黒人は、アメリカのミネソタ州で4人の警官に殺害されたジョージ・フロイドさん [2]の事件に対し、連帯をネット上で表明した。中米諸国のアフリカ系黒人や先住民のコミュニティは、この事件をきっかけに、人種差別と暴力的な国家権力から被った受難をより強く意識するようになった。特に白人やメスティーソ [3](白人と先住民の混血)人口の多いグアテマラ、ホンジュラス、ニカラグアといった国々ではなおさらだ。

中米諸国の黒人は、主にガリフナ [4]クレオール [5]のコミュニティに属し、ほとんどがカリブ海沿岸地域に住んでいる。しかし歴史家 [6]によると、何世紀にもわたって中米諸国に溶け込めた黒人は、排他的では無いとしてもごく少数に限られていた。例えばエルサルバドルでは1933年から80年代まで、法律で黒人は移り住むことができなかった [7]

ポール・ジョセフ・ロペス・オーロは、テキサス大学アフリカ及びアフリカ系移民研究の博士課程で学ぶ大学院生だ。彼の主張 [8]によると、白人と先住民の混血の子孫「メスティーソ [3]」が今でも望ましいとされる中米諸国では、黒人は疎外されていると言う。

今日まで先住民や黒人は、しばしば環境安全保障 [9]の最前線に立たされ、自分たちの土地を奪われたり、嫌がらせを受けたり、殺される [10]こともある。こうした犯罪も処罰されないことが横行している。

国内でも国外でも正義を求める声が上がる

コスタリカの副大統領エプシ・キャンベル・バーは、5月30日 [11]にジョージ・フロイド殺害事件を非難し、国連人種差別撤廃委員会に特別報告を作成するよう求めた。あらゆる形態の人種主義 [12]、すなわち人種差別、外国人嫌悪、黒人嫌悪やそれに類するアフリカ系アメリカ人への不寛容などについての報告である。副大統領は米国のブラック・ライブズ・マター運動を支援するツイートを続けている。

私たちにできるのは、不正義や残虐行為や苦痛を強いる者に加担するか沈黙し続けるかのどちらかでした。私は正義、平等、愛の理想を掲げて行進するすべての人々に心からの称賛を表明します。#BlackLivesMatter [13] #BlackLivesMatterCR [14] 🇨🇷#GeorgeFloyd [15]

またコスタリカでは、アフリカ系コスタリカ人フェミニストによる反人種差別団体CostaRica Afro [18]が、世界中の人種差別に反対するズームミーティングを開催した。

コスタリカでは、500人以上の人々が世界中の人種差別に反対するデモにネット上で参加しました。企画推進 @CostaRicaAfro #BlackLivesMatter [13] #BlackOutTuesday [20]

反乱鎮圧作戦が行われた1968年から1996年にかけて、グアテマラの先住民コミュニティは国軍による大虐殺 [23]の被害にあっている。先住民の権利に関する特別報告者のビクトリア・タウリ・コルプーズは、グアテマラは先住民に対する構造的差別と排斥の問題を抱えていると報告 [24]している。先住民コミュニティはすぐさま米国で起こっている運動に連帯を表明し、人々がグアテマラ国内の人種差別の実態を考えるきっかけを作った。

コラムニストで人類学者のサンドラ・バッツ [25]は、マヤのカクチケル族 [26]のグアテマラ人だが、早くも5月27日にジョージ・フロイド事件についてツイートしている。

ジョージ・フロイドさんが殺されました。人種差別が引き起こした犯罪です。
この人種差別国家では、私たち非白人は虐待されてもその加害者は処罰されることはありません。国家は私たちの命に背を向け、決して守ろうとはしません。

数日後、バッツは「人種差別が人を殺す」で始まる意見記事 [28]を発表し、次のように述べた [29]

Es más fácil percibir el racismo ajeno, el que se ejerce en otros países, que el propio, que el que se practica como nación en contra de una población mayoritariamente nativa, a quienes se les desprecia y asesina, sí, se asesina,

他人が受けている人種差別に気づくのは簡単だ。よその国で起きていることだ。しかし、国家が多数派の先住民に行っている差別、自分自身が被っている差別には容易に気づかない。先住民たちは嫌悪され殺されている。そう、命を奪われているのだ。

イラストレーターの サスリー・プルック [30]は、マヤのキチェ族 [31]カクチケル族 [26]の血を引く先住民だ。彼女は今回の人種差別抗議運動の効果が長く続き、一時的なネット上のトレンドとならないことを願うと表明した。

Posted by Sucely Puluc [32] on Wednesday, June 3, 2020 [33]

私たちは生まれたときからずっと人種差別を非難してきた。ただの#トレンドなんかじゃない。

マヤのキチェ族 [31]で人権活動家のアンドレア・ [34]イクチェ [34] は、ブラック・ライブズ・マター [35]運動連帯ポスターを作成した。 

ポスター制作アンドレア・イクチェ。使用許可済み。

ガリフナ権利擁護団体OFRANEH [36]によると、ホンジュラスのガリフナ [4]の人々はアフリカ人と南米アラワク族 [37]の混血で、しばしば攻撃されながら生きてきたという。Central American News は次のようにデータを集めた [38]

1In Honduras alone, 105 violent acts [39] were committed against the Garifuna people between 2008 and 2019, including murders, judicial threats, forced displacement, sexual violence and disappearances, according to OFRANEH. That makes for nearly one violent occurrence per month (0.8) in a community of 43,111 people [40].

OFRANEHによると、2018年から2019年にかけてホンジュラスだけでも、ガリフナの人々は105件の暴力行為 [39]の犠牲となっている。その内訳は殺人、裁判沙汰の脅迫、強制退去、性暴力、失踪などである。住民43,111人 [40]のコミュニティで毎月ほぼ1件(0.8)の割合で暴力が発生していることになる。

ミリアム・ミランダが率いるOFRANEHは、長年にわたってガリフナの人々の殺害に 終止符を打つよう求めてきた [41]。ミランダもまた米国の運動に関してツイートした。

若者たちが声を上げることによって、米国では「民主主義」の悪しき実例といえる黒人への野蛮な行為は止みました。人種差別、略奪、殺人が横行するこの国のシステムは、世界で一番暮らしやすい場所として広く世界中に売り込まれてきたのです。

校正:Yasuhisa Miyata [45]