訳注:この記事の原文は2020年12月23日に掲載されました。
世界最高峰エベレストの真の標高については、10年以上にわたり論争が続いていたが、このたび従来の数値に86センチ加算されて8,848.86メートルが公式の標高ということになった。
今回発表された測定値は、ネパールと中国の国境線上にあるエベレストに接する2カ国が、12月8日に合同で行ったリモートの記者会見で公表された。測量は両国の測量隊が実施した。
地質学者は、2015年のネパール地震でエベレストの標高が低くなった可能性
3月以来、新型コロナウイルス感染症の世界的流行によりネパールへの観光のための入国は閉ざされていた。しかし、ネパールが観光客への門戸を徐々に開こうとしているこのタイミングで、エベレストの標高に関する最新情報が公表されたことは時宜を得たことといえる。
世界の標高トップテンに入る山のうち8座が ネパール国内にあるので、当然のことながら同国にやって来る観光客のうち16パーセント以上は登山客である。
山岳の標高測定
ネパールと中国の測量当局は、
このたび両国が協力して行った測量事業に先立ち、イタリア、 ニュージーランド、インドおよび米国を含むその他の国々の測量隊がエベレストの標高
今回の公表はネパールにとって誇りに足る瞬間だった。
Mount Everest’s new height is 8848.86 meters, announced by the authorities. May the aspiration of every Nepali grow to excel as the height of the majestic Everest! pic.twitter.com/Eb6c32j9Li
— muksam labung (@Muksam1) December 10, 2020
エベレストの新しい標高は8848.86メートルだ。政府が公表した。全ネパール人の望みが、偉大なエベレストの標高のように抜きん出るように祈る!
カトマンズで教師をしているツイッターユーザーのラブ・
My. Everest New-height is 8848.86 meters. Now we need to increase the height of Nepal and her people. pic.twitter.com/fvzgjPwmqE
— Love Joshi (@love_joshi25) December 9, 2020
すごい。エベレストの新しい標高は8848.86メートルになった。次は、ネパールの国と国民のレベルアップだ。
イタリア在住のネパール人ディーペンドラ・シャーは、
Person who climb the Mount Everest will be climbing new height at 8848.46m breaking old record at 8848m.
— Deependra Shah (@Adinfinitumz) December 9, 2020
これからのエベレスト登山者は、以前の8848メートルを破り8848.86メートルの新記録を作れるぞ。
ネパールと中国の関係はどうなるのだろうか
今回の提携は中国とネパールの結びつきを 強化した。
ネパールはインドと中国の両国と国境を接している。そのため、多くのソーシャル・メディアユーザーが以前からネパールと中印両国との関係に関心を寄せている。両国との関係は戦略上重要な意味を持っていると考えられているからである。
過去数年の間、インドのネパールに対する干渉に対して批判が広まっていた。両国の見解の違いは、
最近、インドは和解に向けていくつかの行動をとった。
あるツイッターユーザーは記している。
The geopolitical significance of Everest’s change in height
China & Nepal ended a dispute and bolstered ties by adding 86cm to the height of the world’s highest peak
But India is unlikely to be happy about Beijing cozying up to another of its neighbors https://t.co/FlQmFZsMII
— Saul of United (@Viatcheslavsos3) December 13, 2020
エベレストの標高改訂には、地政学的な意味が込められている。
世界最高峰の標高に86センチ加算することで、中国 とネパールは論争をやめると同時に結びつきを増強した。
しかしインドは、中国がネパールに近づこうとするのを快く思っていないだろう。
パンデミックの中で観光産業が再開
ネパールでは、ヒマラヤトレッキングから文化的な観光スポットまで、観光客がワクワクする体験ができる場所が幅広く存在する。
2019年には117万もの観光客が、
野外活動を控えたり旅行を取りやめたりする人がでたため、
ネパール政府は観光産業の活性化をはかるため、観光客を呼び込む方向へと再度、政策を変更した。しかし、ネパール政府はいくつかの旅行制限を緩和したものの、国境検問所は閉鎖されたままである。国外からの旅行者は有効なビザを所有しなければならない、入国前72時間以内に取得した新型コロナウイルス陰性証明書を提出しなければならない、また、政府が勧告する健康保証手続きを踏まなければならないといった制限がある。
とはいうものの、旅行業者は政策転換を歓迎している。
8 Everest Mountain flight today. #hopeful #nepaltourism
— Aroma Nepal Treks (@AromaNepalTreks) December 19, 2020
今日は、エベレストへ8回のフライトがある。
観光客が再び増加することを期待して、
エベレスト・トゥデイのブログはツイートしている。
Remember that viral picture of Mt Everest during lockdown? Once again, today, crystal clear sky makes Everest visible from Kathmandu. More: https://t.co/Bku12KOA8S pic.twitter.com/EjsOWZrL4n
— Everest Today (@EverestToday) October 30, 2020
覚えていますか、皆さんご存じのロックダウン中のエベレストの写真です。今日もまたカトマンズから、澄んだ空気の向こうにエベレストが見えます。
観光客の増加が見込まれる中で、ネパール経済は活況を取り戻すと期待されている。また、観光客増加への期待感は、新型ウイルス感染症大流行の影響を受けて萎縮したネパール経済を蘇らせる効果があると考えられている。標高が86センチ加算されたことにより、エベレストは、一生のうちに一度は行ってみたい旅行先のトップにリストアップされるであろう。