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カリブのハイキングを楽しもう。絶景スポットを写真で紹介

カテゴリー: カリブ, ガイアナ, ジャマイカ, ドミニカ国, トリニダード・トバゴ, バルバドス, 写真, 市民メディア, 環境

ジャマイカ ブルーマウンテンのハイキングコースを眺めるハイカー 写真:ジュニア・カルソン 使用許可済

アメリカ合衆国はハイキングが盛んであり、11月17日をハイキングの日 [1]の祝日としている。カリブのハイキングコースは、合衆国ご自慢の6万マイル(訳注:約9万7000km、地球一周は約4万km)ものコースには足元にも及ばないが多くのハイカーを引き付けている。その眺望は息をのむほど美しい。新型コロナ [2]の猛威に加え気候変動危機が迫りくる中で、多くの島嶼(とうしょ)国家は存続が危ぶまれている [3]。そのような時こそ、自然との触れ合いがこれまで以上に重要な意味を持つのではないだろうか。

そんな気持ちで、カリブ諸国の各地から写真をピックアップしてみた。きっと登山靴を磨きハイキングに出かけたくなるだろう。

うっそうとした竹藪

トリニダード島内シャガラマスのバンブー・カテドラル入り口 写真:ジャニーン・メンデス=フランコ 使用許可済

トリニダード島シャガラマス国立公園のタッカー・バレイにあるバンブー・カテドラルは、背の高い竹がハイキングコースを縁取るように生い茂り聖堂のアーチのような形をしている。そのためこの名が付けられた。19世紀トリニダードの偉大な画家ミシェル=ジャン・カザボン [4]は、このハイキングコースの光景から受けた印象 [5]を数々の水彩画に残している。150年経た今もその光景は当時とほとんど変わっていない。

夕刻時、人工衛星追跡基地へ続く道路から見た海の景色 写真:ジャニーン・メンデス=フランコ 使用許可済

このハイキングコースからはマックライプ湾 [6]と北海岸の素晴らしい眺めを望むことができる。そしてこのコースを上り詰め人工衛星追跡基地まで到達する [7]と、冷戦時代に設置された [5]巨大なパラボラアンテナが周囲の景色を圧倒するようにそびえている。トリニダード島西方の半島にあるこのシャガラマスは、第二次世界大戦中に米国の軍事基地としても使用されていた。

今はもう使われていない人工衛星追跡基地のバラボラアンテナ トリニダード島シャガラマス 写真:ジャニーン・メンデス=フランコ 使用許可済

きらめく海辺

ジャマイカ セント・アンドリュー教区のハーバー・ビューからセント・トーマスのボブ・マーリー ビーチまでの沿岸をハイクする家族 写真:ポーラ=アン・ポーター・ジョーンズ 使用許可済

カリブのハイキングコースの特色は、コースをたどると多くは浜辺に到達するということである。例えばジャマイカの首都のあるキングストン教区内セント・アンドリューを始点とし、ジャマイカ島南岸をたどり、隣接するセント・トーマス教区内の同島南東側の岬へ通じる写真のようなコースがある。

トリニダード島北東海岸沿線の浜辺 写真:ジャニーン・メンデス=フランコ 使用許可済

トリニダード島の北岸沿いには多くのハイキングコースがある。その一つがリオ・セコ [8]のコースであり、シャーク川 [9]の滝に通じている。また、地元の人は、うねうねとしたこの川に沿った名もない軽快なトレッキングコースをよく訪れる。このコースをたどるとやがてこの美しい小石の浜辺に出る。

見応えのある滝の数々

ジャマイカのセント・エリザベス内マゴッティーにあるブレッドナット・バレイ・エステイト 写真:マエル・ジョンストン 使用許可済

さすがジャマイカは「森と水の大地」と言われるだけのことはある。島内には思わず息をのむような場所がいくつかある。ブレッドナット・バレイ・エステイト [10]にあるこの滝もその一つである。踏み跡のついたコースからは外れているが、訪ねてみる値打ちはある。

トリニダード島北西部の半島シャガラマスにあるエディス滝と同島北部沿岸にあるブランチッセウセ付近のアボカト滝 写真:ジャニーン・メンデス=フランコ 使用許可済

トリニダード島のエディス滝へのコースは、上流の岩場に着くまでは比較的短く容易である。しかし、岩場からは多少の登りがある。この滝の流水は、幅の広い岩肌を滑り落ちるので、まさに水の壁のようにみえる。特に雨期に見るこの滝の姿は壮観である。 アボカト滝 [11]へはエディス滝方面からアプローチできる。大部分が普通のハイキングコースだが、一部はマリアン川をさかのぼらなければならない。

ドミニカのトラファルガー滝 写真:ジャニーン・メンデス=フランコ 使用許可済

ドミニカの目を見張るようなトラファルガ-滝 [12]へは10分から15分程度の快適なハイキングコースを進む。この滝に到達する前に小休止したくなったら、途中の硫黄温泉で一浴びできる。身が軽い人なら、もう少し上まで登り滝つぼで泳ぐこともできる。

樹下を進む

ブルーマウンテンのハイキングコースを進む 写真:スーザン・オツオコン/ジャマイカ環境保全開発トラスト 使用許可済

カリブでハイキングするときの醍醐味は、その瑞々しい緑に触れることである。乾期は過ごしにくいが、それでも青々とした葉が茂るハイキングコースに一歩踏み込めば、そこは全くの別世界である。

ジャマイカ島、クラレンドンのブル・ヘッド山へのハイキングコースとトリニダード島の聖カタリナ山へのハイキングコース 写真:ポーラ=アン・ポーター・ジョーンズおよびジャニーン・メンデス=フランコ 使用許可済

ジャマイカでは、家族そろってよくハイキングに出かける。上の写真はクラレンドンのブル・ヘッド山への登山者を写したもの。このコースは、トリニダード島の聖カタリナ山への登りより傾斜がきく険しい。聖カタリナ山へは、頂上のザ・ボール [13]と呼ばれる民間航空局のレーダー基地まで、全ての路面が舗装されている。

保護林の後方ににそびえる山 の姿。 ドミニカにはこのように素晴らしいハイキングコースがいくつもある。写真:ジャニーン・メンデス=フランコ 使用許可済

ドミニカは、カリブ諸島の中でもハイキングに最適の島の一つといえる。緑樹の生い茂った森、幅の広い川、気持ちのよい滝や硫黄泉、そしてもちろん浜辺もある。写真の道は、首都ロゾーの北にある標高500メートルから600メートルにある比較的楽なハイキングコースへと続く。

ガイアナ タートル山山頂からの眺め 写真:スカイ・ヘルナンデス 使用許可済

ガイアナは南アメリカ大陸にあるが、カリブ諸国の一部と見なされている。この国には想像を絶するような景色を堪能できるハイキングコースがいくつかある。その一つの例が、首都ジョージタウン南方の内陸部にある、カイエトゥール滝 [14]に至る踏み跡のよく残ったルートを含むタートル山一帯のハイキングコースで、標高約300mのタートル山の山頂からはイウォクラマの森 [15]の全景を楽しむことができる。

緑に覆われた山地

ジャマイカ 暁のブルーマウンテン山頂にて 写真:ジュニア・カーソン 使用許可済

ハイキングはどこへ行ってもその行程は厳しいが、目的地に到達したときの達成感はハイキングを体験した者でないと言い表せない。骨折りをしてでも、目の前に広がる景色を楽しむ価値はある。ベテランハイカーほど、直射日光を避けるために、早立ちをして日の出前の冷たい空気の中を歩く。また、この時間帯のほうが、鳥獣が活発に動く様子を観察できる機会に恵まれるし、そんな経験が登山歴に箔を付けるからだ。

トリニダード 聖カタリナ山からの眺め 写真:ジャニーン・メンデス=フランコ 使用許可済

しかし、出発時間にかかわらずカリブのハイキングはいつも冒険心をくすぐる。その例を次に示す。聖カタリナ山へのハイキングコースは往復約10.5マイル(約17km)で、絶え間なく登りの続くコースをたどると標高500mを超える山頂に着く。そこからは、トリニダード島北西沿岸に点在するファイブ・アイランズ [16]を望むことができる。このコースはよく舗装されているので、サイクリストにも手軽なルートとして人気がある。

バルバドス ココ・ヒル・フォレストからの眺め 写真:アンナリー・デイビス 使用許可済

バルバドス島は比較的平坦なので、ハイキングをしてみようという思う人は少ないだろう。しかし、 ココ・ヒル・フォレスト [17]は違う。かつてサトウキビのプランテーションがあった一帯を歩くと、野性味に満ちた青々とした森が広がり、島の他の場所にあるような、華やかで人の手が入った観光地的な雰囲気とは全く違った気分を味わうことができる。

ブリーズ・ヒルからの景観 トリニダード・トバゴの首都ポート・オブ・スペインを望む 写真:ジャニーン・メンデス=フランコ 使用許可済

トリニダード・トバゴの首都ポート・オブ・スペインを見下ろすレディー・チャンセラーロード [18]上部の急坂を登りブリージー・ヒルに到達すると、360度の絶景を見渡すことができる。北側にはマラバル、西側には斜面から見下ろす島々 [19]、南のポート・オブ・スペインの先にはパリア湾がある。この地形に不慣れなハイカーにはこのコースは手強い。一部に危険な箇所があるので、初心者の助けになるよう松の木にロープが括り付けてある。

しかし一度ハイキングの虫になると、次々と挑戦を続けたくなる。その先にはさらに魅力的な場所との出会いが待っている。

校正:Yasuhisa Miyata [20]