セント・ビンセント島の住民 スフリエール山の噴火に備え避難準備

原文記事の掲載日は2021年4月8日です。

活動休止中のスフリエール山の噴火口 セントビンセント及びグレナディーン諸島 撮影:デイブ・ブラウン  CC BY-NC-ND 2.0.

スフリエール山の活動が活発化したため、セントビンセント及びグレナディーン諸島に災害警報が出されたスフリエール山は、セントビンセント島北部にある島内最高峰の火山である。

活火山に分類される円錐形のスフリエール山は、固結した溶岩が幾重にも重なり形成された山である。現在、同山の噴火警戒レベルはオレンジ色(4段階のレベルの上から2番目)に引き上げられ、住民に向けて「避難の可能性あり」の警告が発令された。オレンジ色の警戒レベルとは、地震活動が活発になりそれに伴い24時間経過しないうちに噴火の可能性があることを警告するものである。

政府はスフリエール山噴火で生じる災害に備えるための対策を打ち出した。それに伴い​緊急災害対策本部の動きが急になってきた。警戒レベルはオレンジ色のままだが、避難指示が出された場合に備えて準備が必要だ。

スフリエール山直近の地域では、火山活動の影響が感じられるようになった。

スフリエール山の火山活動に伴​い地殻変動に起因する群発地震が、午前7時前から生じている。そのうちのいくつかはスフリエール山周辺住民に感じられるほどの強度だった。ファンシーアンドサンディ湾で揺れを感じたとの情報もいくつかある。

トリニダード・トバゴに本拠を置き、この地域で広く活動するウエスリー・ギビングスはツイッターで以下の情報を共有した。

セントビンセント島のスフリエール山近傍の住民は、現状が悪化した場合の「急な避難通告」に備えるよう要請されている。これまでに多数の「群発」地震が発生している。今日は「噴煙」が目立つようになった。

西インド諸島大学地震研究センターおよびセントビンセント​緊急災害対策本部(NEMO)は、閲覧者の多い短文投稿プラットフォームを通して定期的に噴火に関する情報を投稿してきた。

災害の可能性は現実味を帯びてきた。首相がレベル3を発出した。セントビンセント 緊急災害対策本部長は、「避難準備」をするように通告。

@uwiseismicやその他の当局筋が、スフリエール山の鳴動の様子を写真や動画に収録してソーシャルメディアに投稿している。

ベルモント観測所から見たスフリエール山の早朝の様子( @VincieRichie提供)。スフリエール山を覆う低く垂れこめた白い雲。一部は海面にまで広がっている。これは、火口から、噴煙が長時間噴出したために生じたものである。風に流され西方にたなびいている。

スフリエール・ヒルズの火山が鳴動し噴煙が立ち昇​っている。カリブのセントビンセント及びグレナディーン諸島の兄弟姉妹に祈りを捧げます。

この記事を投稿した時点では、まだ避難指示は出されていない。しかし、火山活動の監視は入念に続けられている。カリブ共同体(CARICOM) に所属する近隣諸国は、噴火が起きた時は援助することをすでに誓約している噴火が生じた場合は2万もの人が即座に避難しなければならないとされている。

スフリエール山は、過去に何回も噴火したことがある。最も顕著なのは1902年の噴火で、この噴火により多くの先住カリブ人が命を失った。彼らは英国の植民地政府により原住地から追い払われ、スフリエール山麓のサンディ湾周辺に住んでいた人たちである。現代のセントビンセント島北部に居住する住民は原住民からのルーツを持った人たちで、カリナゴ族またはガリフナとされている。

直近の噴火は1979年4月に起こった。この時は政府が十分な情報を出していたので死者は出なかった。2020年11月、噴火口で新たな動きが 観察されたこれに伴い、同年12月に地震動が観測された。この地震動は、火山内部に新たな溶岩ドームが形成された結果生じたものと考えられる。12月27日、NASAの人工衛星が火口内にホットスポットがあるのを確認した

最新情報セントビンセントおよびグレナディーン諸島の首相ラルフ・ゴンサルベス博士は、今日の午後にスフリエール山周辺およびセントビンセント島北東部と北西部のレッドゾーンに指定された地域内の全ての家屋に対して避難指示を出した。ゴンサルベス首相は緊急記者会見で、今回の避難指示は火山学者リチャード・ロバートソン教授の勧告に基づき決定したが、同教授によると状況は著しく悪化している、と述べた。

校正:Eiko Iwama

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