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アルメニアとアゼルバイジャン ソチでの首脳会談で両国間の関係正常化を申し合わせ

カテゴリー: 中央アジア・コーカサス, 東・中央ヨーロッパ, アゼルバイジャン, アルメニア, ロシア, 国際関係, 市民メディア, 戦争・紛争, 政治, 歴史

訳注:この記事の原文は2021年12月1日に掲載されました。

11月26日アゼルバイジャンとアルメニアの両首脳がロシアのソチで会見し、2国間の関係について話し合った。旧ソビエト連邦に属していたコーカサス地方のこの2国は、昨年紛争を起こし [2]、アゼルバイジャンが勝利した。その後、停戦後最悪といえる紛争 [3]が去る11月に再び起こった。この会見はその紛争の約2週間後にロシアのプーチン大統領が仲介して実現したものである。

プーチン・ロシア大統領は、この会談を論評して、両国首脳はいくつかの重要事項 [4]合意に達した [1]、また、会談は全体的に前向きだったと述べた。

会談後に出された共同声明 [4]で、アゼルバイジャン大統領アリエフ氏とアルメニア首相パシニャン氏は、国境画定に関する二国間委員会の設置 [5]に合意したことを明らかにした。

ロシアが仲介してソチで行われたこの会談で、アゼルバイジャンとアルメニアの首脳は、国境画定関連事項を話し合うための二国間委員設置の可能性を検討することに合意した。以前これが議論されたときはロシアは仲介しなかった。

両首脳は、ロシア大統領に感謝の意を表すると同時に、昨年の紛争以来現地に駐留したロシア平和維持軍の果たした役割にも感謝の意を表わした。

アリエフ大統領は声明の中で次のように述べた。

Today we have had a very detailed and I would say sincere talk on all these issues. We openly discussed our plans that cause concern of both parties, and I think the key is that the decisions we made regarding settling arguments and disputes will contribute to making the situation in the South Caucasus safer and more predictable.

今日、両国は全ての課題に関して非常に詳細にわたり誠実に話し合いを持つことができたと申し上げたい。両国の間にわだかまる懸案の決着について率直に意見を交わしました。特に申し上げたいことは、紛争の元になっている論争の解決に向けて我々が下した決断により、南コーカサスの情勢が安定し予測可能になったということです。

パシニャン首相も、ロシアがナゴルノ・カラバフの安定化に貢献したことに対して、ロシア大統領に感謝の意を表し、次のように語った

I think that if our talks gain momentum based on this meeting, we can expect real results.

I reaffirm the readiness of Armenia and the Government of Armenia, which got its mandate from the people of Armenia, to usher in the era of peaceful development for our country and for our region. We are committed to that and today’s meeting clearly contributed to the implementation of this agenda.

この会談で行われた協議により両国間の安定化に勢いがつくなら、目に見える成果が期待できます。

アルメニア及びアルメニア政府の心構えを再確認します。アルメニア政府は、わが国及びわが地域の平和的発展の時代の到来を告げるために国民から負託を得ています。わが国は平和促進に全力を注ぎます。今日の会談は、我々に課せられた課題の実現に寄与したことは間違いありません。

今回の会談で決定された項目の一覧 [11]は、モスクワで行われるロシア、アルメニア、そしてアゼルバイジャンの副首相の間で行われる会議の後、12月初旬に公表される。

アリエフ大統領とパシニャン首相は、12月15日にブリュッセルで開かれるEU・東方パートナーシップ [12]サミットの合間に再度会談することになっている。欧州理事会 [13]が行った記者発表 [14]によると、アルメニアとアゼルバイジャンの両首脳は、「南コーカサスの繁栄と安定に必要な、両国間の緊張を打破するために、その手法と地域情勢について話し合うこと」に合意したということである。EUはこの合意を支持している。

OCメディアとのインタビュー [5]で、政治アナリストでリージョナル・スタディ・センターのディレクターであるリチャード・ジラゴシアンは、「具体的な言質がとれなかった」としても、ソチで行われた会談は「有意義」であったと述べた。

The meeting between the Armenian and Azerbaijani leaders offered an essential return to diplomacy over force of arms.

アルメニアとアゼルバイジャンの両首脳の会談により、武器の使用停止に是非とも必要な外交折衝を再開しようする機運が生まれた

ジラゴシアンは、近くブリュッセルで行われるサミットの前というタイミングで、ロシアの紛争調停役としての重要性を強調した。「プーチン大統領は、ロシアが介入して2020年の紛争を停戦に持ち込んだときの主唱者あるいは執行者としての役割をより明確にするためにソチで二国の会談を開催しEUを出し抜こうとしたのだ」。

校正:Atsuko Yamada [15]