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国交正常化の兆し トルコ・アルメニア間の航空便を再開

カテゴリー: 中央アジア・コーカサス, 中東・北アフリカ, アゼルバイジャン, アルメニア, トルコ, 市民メディア, 戦争・紛争, 政治, 朗報, 歴史, 経済・ビジネス, 行政

上:「ER00002 [1]」写真提供:ハートランドマーチン [2] 使用条件:CC BY-NC-SA 2.0 [3]
下:「ペガサス航空のエアバス A320-251Neo;TC-NBH@ZRH;06.01.201 [4]7」 写真提供:エアロ・イカルス [5] 使用条件:CC BY-NC-SA 2.0 [3]

トルコとアルメニアは、2019年以来運航を停止していた航空便を2022年2月2日か再開する [6]。現在、両国間の直行便は運航されていない。以前は、アトラスジェット社が運航していた [7]が、同社は2019年に 倒産した [8]。再開の発表は、トルコとアルメニアの関係を正常化しようとする動き [9]の中で行われた。

再開 [10]の決定は昨年、まずトルコ外相 メブリュト・チャヴシオールが発表した。発表の直後、両国は相互の利益を目的として特使を任命した。

両国の特使セルダル・クルチ(元在米トルコ大使)とルーベン・ルビニャン(アルメニア国民議会副議長)は、まず1月14日モスクワで会談を行った。この会談 [11]に引き続き両国は共同声明で、トルコのペガサス航空とモルドバのフライワンの両格安航空会社がチャーター便を2月2日から再開すると発表した

ロイター通信は「ペガサス航空は、イスタンブールからエレバンへの初飛行を2月2日に行い、復路の飛行は2月3日に行う。同航空の広報担当者は、この新たな航路で週3回の交互運航が始まると語った」と伝えている [6]

交通・インフラ省の声明 [12]によると、フライワン航空の便はイスタンブール空港に現地時間の19時50分に到着し、同じく同社のエレバンへ向かう便はサビハ・ギョクチェン国際空港を同日の23時35分に発つことになっている。

別の明るいニュースはアルメニアが昨年、トルコとの積極的な正常化の動きを踏まえて同国との通商停止を解禁 [13]したことである。この通商停止は、ナゴルノ・カラバフの領土問題に絡みアルメニアとアゼルバイジャンとの間に起こった44日間の紛争 [14]で、トルコがアゼルバイジャンを支援したことに対する報復として、2020年12月31日にアルメニアがとった措置である。

1月にモスクワで行われた会談で、両国は「通商関係の強化および外交代表団の指名」を中心に話し合ったと、フィナンシャルタイムズは伝えている [15]

2008年に当時のトルコ大統領アブドゥラー・ギュルが、トルコ対アルメニアのワールドカップサッカー予選2試合を観戦するために初めてアルメニアを訪れた [16]。これをきっかけにして、トルコとアルメニアはもう少しで、ある種の合意点を見出せるところまで歩み寄った。翌年、アルメニア大統領セルジ・サルキシャンは、トルコのブルサ市を訪れ、両国のサッカー代表チームの対戦を観戦した。そして、サルキシャン大統領がトルコを訪れこの試合を観戦した後、チューリッヒで、両国の関係を正常化することを目的とした一連の議定書 [17]に署名が行われた。当時、「サッカー外交」 [18]と称されたこの2国間の外交努力は、トルコがアゼルバイジャンから様々な外交圧力を受け、消極姿勢を示したため頓挫した。2018年に、アルメニアは一連の議定書を無効にすると正式に表明した [19]

一方、次回のトルコとアルメニアとの会談の日程はまだ決まっていない。トルコのある報道機関 [20]は、もはや第三国の介入の必要性がなくなったのでトルコかアルメニアで会談が持たれる可能性があると、1月21日に外交筋の話として伝えている。

現在行われている交渉は明るい兆し [21]である。こういった兆しがあったことは、この地域で展開される出来事を見守ってきた多くの識者 [22]によりその都度、取り上げられてきた [23]。しかし、国際危機グループ [24]の国家アナリストは、1月13日に公表した要約版 [25]で次のように述べている。「両国間の信頼関係を取り戻すためには、さらなる対策が必要である。隣国同士の結びつきを確かなものにするための努力が途絶えてしまえば、信頼関係はさらに低下してしまうだろう。こういった努力は、トルコ、アルメニア及び地域全体の関係改善のための良い機会であるにもかかわらず、過去数十年の間にわずか三度行われただけである」。

校正:Motoko Saito [26]