セントビンセント島のスフリエール山で「爆発的噴火」

この記事の原文は2021年4月9日に公開されました。

セントビンセント島のスフリエール山 西インド諸島大学地震研究センターのフェイスブックに投稿された写真

セントビンセント及びグレナディーン諸島にあるスフリエール山のゴボゴボという音や噴出音は噴火の前兆であるとする火山専門家の予測は的中した。

現地時間4月9日午前8時52分に、セントビンセント及びグレナディーン諸島緊急災害対策本部(NEMO)は、わずか次の3語でツイートした。「Explosive eruption confirmed(爆発的 噴火 確認)」。このツイートは続いてすぐに次のように更新された。

スフリエール山は噴火に至った。噴煙は8キロメートルの高さに到達した。火山灰は5分以内に落ちてくる可能性あり。

政府は4月8日午後の災害対策会議の後、セントビンセント島北部のスフリエール山近傍に居住する約2万の島民を避難させる措置をとった。この数値は、同国全人口の約18%に相当する。

4月9日午前6時現在、NEMOは「レッドゾーンから安全地帯への避難」が継続中であると発表した避難は、避難民の受け入れを申し出たセントルシアやバルバドスを含むカリブ諸国の協力を得て陸路及び海路を利用して行われている

西インド諸島大学地震研究センターは昨日、日没前の夕闇が迫る山頂の写真を公表した。

@VincieRichieが日没前に山頂カメラで写した写真は、赤々と光る溶岩ドームの様子を示している。その高さは、南側の火口壁を上回ると推定される。さらなる情報が必要な方はこのツイッターか @NEMOSVG をフォローしてください。

明け方の写真を見ると、火山活動がさらに活発化したことがわかる。

一日の始まりだ。ベルモント観測所の火山地震研究官ロデリック・スチュワートが、今朝早く撮影した長時間露出写真。新しくできた溶岩ドームから出る光がはっきりと見える。@NEMOSVGとセンターは、監視を続け最新情報を提供します。

スフリエール山山頂の最新映像。シャトーブレールの埠頭から溶岩ドームが見える。
写真提供:西インド諸島大学地震研究センター

スフリエール山から19.2㎞ほども離れたところにあるアーガイル国際空港でも降灰が観測された

多くのソーシャルメディアユーザーが、噴火の写真や動画をシェアし安全な場所へ避難するよう促した。

たった今、セントビンセント島のスフリエール山の動画を公開しました。至急安全な場所へ避難してください。

数分前にスフリエール山が噴火した。その前にみなレッドゾーンから避難しただろうか。ただただ恐ろしい。

セントビンセント島の住民から写真が公開された。

セントビンセント島から見たもう一つの動画。

あるツイッターユーザーは、今回の噴火は前回の噴火から42年目の3日前に起こったと述べている。

ああ大変! お父さんに電話しなくちゃ。今日はお父さんの82歳の誕生日だわ。電話がうまくつながらない。みんな大慌て。スフリエール山は1979年4月12日に噴火したのよ。今回の噴火は、あの4月12日のちょっと前だわ。あの頃私はまだ、よちよち歩きの子供だった。神様、ご慈悲を。

スフリエール山が恐ろしい光を放って噴火した。クワバラ、クワバラ。

2021年4月9日午前8時43分頃、セントビンセント及びグレナディーン諸島のスフリエール山が大噴火した。

ソーシャルメディア上では、セントビンセント及びグレナディーン諸島の国民に対する祈りがささげられているが、ネット市民の中にはスフリエール山の噴火が周辺地域に影響を及ぼすのではないかと懸念を示す者もいる。 @uwiseismicは、ツイッターで次のような疑問を投げかけている。

火山性地震によりセントルシアやキックエムジェニーなどの他の地域で地震が誘発する懸念はないのだろうか。

火山性地震が、火山周辺地域に影響を及ぼすことは知られている。しかし、その震源は浅くマグニチュードは小さい。よって、影響は遠方まで及ばない。東カリブ地域の火山は互いにつながりを持っていない。全て、独立したマグマ溜まりを持っている。よって、一つの火山が噴火したからといって、他の火山の噴火を誘発するといったことはあり得ない。

火砕流の流路を予測しようとする人もいる。

もし、スフリエール山で側噴火が起これば、火砕流はまっすぐ南の斜面を下るよりも南西側の斜面を下ると思う。とはいうものの、正確に予測するのはいまのところ不可能だ。

ツイッター上に定期的に地震情報をシェアし注目されている地震学者ジャズミン・スカーレット博士は、セントビンセントの過酷な歴史が彼女の職業選択を決定づけたと語った。1902年に起こったスフリエール山の噴火で、多くのブラック・カリブ人が犠牲になった。彼らは、イギリスの植民地政府により、スフリエール山北側のサンディ湾地区に強制移住を強いられそこで生活していた。

私は火山学者になってセントビンセントにいる家族や友人を助けようとしたのだから、その人たちが救われれば、火山学関連の仕事がなくても構わない。セントビンセント島に居住していた祖先が奴隷になった経緯を調べ、また、聞かされもした。正しいことをしようとする私の行動を、誰も絶対に止めることはできない。

今も、セントビンセント島北部の多くの住民は原住民の血を引く人たちである。今回の噴火でつくづく感じたことは、歴史を繰り返したくないということだ。

校正:Eiko Iwama

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