
モンテネグロの怠け者選手権優勝者、リディア・マルコヴィッチ(左)とフィリップ・クネジェヴィッチ(右)、選手権主催者ラドニャ・ブラゴイェヴィッチ(中央)とともに。写真提供エトノ・セロ・モンテネグロ 掲載許可済
(原文記事は2023年10月18日に掲載されました)
伝統的な長時間の寝そべりを競う怠け者選手権がブレズナ・エスノ・ビレッジ・モンテネグロで毎年開催されている。モンテネグロのドニャ・ブレズナにある大型宿泊施設で行われた選手権は10月5日に幕を閉じたが、50日間という新記録が打ち立てられた。優勝者は地元の人たちで、ニクシチ在住の美容師リディア・マルコヴィッチとモイコヴァッツ在住のフィリップ・クネジェヴィッチの2人である。
選手権の終了に際し、主催者はInstagramで次のように発表した。
Izležavanje od 50 dana se završilo
U danima “osame” kada se duša sama sa sobom suoči, najdublje se porazmisli o svemu. Bilo je smijeha, plača, molitvi.. Njih dvoje od ukupno dvadesetjedan su ispratili takmičare iz Crne Gore, Rusije, Srbije i Ukrajine. Oboje su odlučili da zajedno stanu na tron i složno uz poruku svim jugoslovenskim narodima i političarima poruče da ljubav i sloga rešavaju sve.
Filip kao dzentlmen prepušta medijsku pobjedu Lidiji.
寛ぎの50日間が過ぎて
誰にも邪魔されずありのままの自分でいられる毎日。自分自身を見つめ何事もじっくりと考えることができる。笑ったり泣いたり祈ったり[略]。21人の参加選手を勝ち抜いたふたりは、モンテネグロやロシアやセルビアやウクライナの選手たちが脱落するのを見送った。ふたりは共に王座につき、ユーゴスラビアの人たちや政治家たち皆に、ひとつのメッセージを送ったのだ。それは愛と調和があれば全ては解決するということだ。
フィリップは紳士らしく、メディア発表では勝者の座をリディアに譲った。
例年8月に始まるこの競技会は今年で第12回目を数え、モンテネグロ人は怠け者だという世評を笑い飛ばした。50日間というのは、2021年に樹立された記録を破る快挙で、約5日間にあたる117時間も記録を伸ばしたのだ。
2021年には優勝賞金は300ユーロ(約353米ドル)だったが、2022年は350ユーロ(370米ドル)になり、2023年にはそれが1000ユーロ(1056米ドル)にまで跳ね上がった。
今年は2人で優勝を分け合ったが、リディア・マルコヴィッチは、賞金は問題ではないと力説したと、クロアチアの新聞ユタルニ・リストは伝えている。
競技開始21日目のビデオ会見で彼女は次のように述べた。
Došla sam da uživam, da odmorim i naravno trudim se da pobjedim… Pozdrav za one koje misle da se ne kupamo, evo losione i kupke za tijelo. Samo neka oni misle i neka malo vode svoj život.
Novac nikako. Eto moji dolaze ovde svaki dan ođe i bukvalno me mole, daće mi hiljadu eura samo da ustanem, ali naravno ja nisam zbog toga tu već da pobjedim. I naravno ovo je psihološka igra tako da – novac nikako.
大いに楽しんでゆっくりするために参加したのよ。もちろん頑張って勝つつもり[略]。風呂にも入らないで、と思っている人たちによろしく伝えて欲しいんだけど、ここではみんなシャンプーやボディ・ローションを使っているの。みんな好きなことを考えて、少しは自分らしく生きようというわけね。
賞金は問題じゃない。両親は毎日私の所へやって来て、棄権して欲しいと頼んだわ。1000ユーロあげようとか言ったりして。でももちろん私はそんなもののために参加したんじゃない。勝つためよ。もちろんこれは心理的なゲームで、だからこそ強く言うけど、賞金のためじゃない。
彼女に言わせると、参加者は共に大いに楽しんでいた。寝っ転がったまま音楽を演奏したり踊ったりして、この競技の予想外の時間の長さに耐えることができたのだ。
アナドル通信社の報道によると、今年の選手権は21人の参加者を得て2023年8月18日の金曜日に始まった。競技ルールでは、参加者は立ち上がることはできないが、睡眠や読書や飲食は許されている。そして8時間ごとにトイレ休憩を取ることもできる。
このただ休んでいるだけの競技会はヨーロッパでは物珍しいもので、モンテネグロ人は怠惰だというバルカン地域に住む人々の風評を笑い物にしている。バルカン・インサイトの記事で、選手権主催者ラドニャ・ブラゴイェヴィッチは「これは非常に心理的な競技だけど、参加者は魅力的で面白い人たちばかりだ」と述べている。つまりこの競技会の間、参加者たちの間に友情が育まれたというのだ。