地名などの呼び方は元の記事に従いました
1950年代ミャンマーには中国国民党を支持して、中国から逃れてきた人たちが多数住んでいた。台湾とミャンマーの結びつきは、現代史に翻弄されるように始まったが、両国はともに、国境線の向こうから中国の影響をたえず受けていることでも結びついている。
1949年、国共内戦に敗れた国民党軍の兵士たちは、大陸本土から船で台湾に逃れた。しかし、多くの軍勢が結集していた中国南西部では、長い陸路をたどり、最終的には安全が確保できるミャンマー領内に退却する部隊もあった。国民党の残留軍はミャンマー国内に基地を設けて10年以上とどまり[英], [日]、当初はアメリカの支援を受けながら中国への反攻の機会を伺った。一方ミャンマー政府は台湾の中華民国とは外交関係を維持せず北京の支持に努めたが、ミャンマー内戦期間中からすでに北部国境越しに中国から強い影響[英]を受けていた。
グローバル・ボイスでは、台湾を拠点にしながらミャンマーを定期的に訪問している楊智強(ウィル・ヤン)に台湾とミャンマーの複雑な関係を語ってもらった。楊はミャンマー情勢に詳しい経験豊富な台湾人ジャーナリスト[華]だ。台湾の視点から人権、海外からの移住者の人権、国際関係について広くレポートしている。
インタビューは台北で直接面談後、メールを使って中国語で行われた。
フィリップ・ヌーベル(以下FN): 2015年からジャーナリストとして定期的にミャンマーを訪問されています。この10年間でミャンマーはどのように変わりましたか?
楊智強: 從2015年至今,緬甸經歷了民主化跟軍事政變,這世代的年輕人體驗到了民主的百花齊放以及國家無限可能,到現在緬甸陷於戰火中。這近10年裡的改變,讓不少緬甸人民從充滿 希望與期待到失落與瀕臨絕望。始作俑者是軍政府的獨裁者,放任其持續凌虐國家的是周邊國家的冷淡與國際社會的漠視。
好像什麼都沒有改變,但在短暫自由民主的幾年裡,迎來了西方的科技與資本,讓反抗軍的思維跟過往1988的革命世代有所不同。參與反抗的年輕人因為接觸過各種不同的思維薰陶,反抗的信念也更有理念基礎、更為堅定。我認為,緬甸從外表看起來是在重蹈過往幾十年的覆轍。但許多人的內心,已經有了很大的變化。這也是緬甸軍政府至今都沒有辦法完全消滅反抗勢力的重要原因之一。
楊智強(WY):2015年以降ミャンマーは民主化の進展と軍事クーデターの両方を経験した。若い世代の人たちは民主主義が開花し、ミャンマーの発展に無限の可能性を感じていた。けれどもミャンマーはいま戦火の中だ。この10年間で希望と期待に胸を膨らましていたミャンマーの多くの人たちは、喪失と絶望のどん底に突き落とされてしまった。こうなった原因はすべて、国富を常に独り占めしようとする軍事独裁政権と、それをたしなめない近隣諸国や国際社会の無関心にある。
何も変わっていないように見えるが、民主化進展の時代には西洋の資本と技術が流入して、軍事政権に抵抗しようとする人々の心境には大きな変化が起こった。そこが88民主化運動の世代とは全く異なる点だ。抵抗運動に加わる若者たちは、自分とは違った考え方に接した結果、抽象的にものを考えられるようになり、抵抗運動への自信も深まっている。外からだと、ミャンマーは過去の世代が歩いたのと同じ道を歩んでいるように見える。けれども人々は完全に変わってしまったのだ。今もって軍事政権が抵抗勢力を完全に除去できない理由もそこにある。
FN: 台湾とミャンマーの歴史には大変興味深いものがあります。その一つは国民党の台湾を支持する中国系の人々の存在です。この人たちの歴史と、現在のミャンマーと台湾間での位置付けについて教えてください。
楊智強: 因為國民政府曾在二次世界大戰時,跟同盟軍在緬北協同作戰,當時有不少國民黨軍人與後裔留在緬北。另外,國共內戰末期,一支俗稱為「孤軍」的軍隊從雲南撤退到泰緬邊境金三角地區,並且長期駐紮在那,在當地落地生根。因為意識形態的關係,國民黨軍隊後裔從緬北以及泰緬邊境離開後,許多選擇來台定居。所以在中和「緬甸街」的聚落,大多是緬甸華僑為主。只有較少數在1988緬甸學運後,來到台灣的移民是緬族。另外,還有因應蔡政府新南向政策的關係,來台讀書的年輕緬甸人族群(華裔、緬族都有)。
有不少這些緬甸相關的人們來到台灣後落地生根,有的人當了導演、企業家、文學家等,在台灣的各行各業有長足的發展。台灣商人也看中緬甸許多發展潛力,前往緬甸開業,讓兩邊除了歷史上的連結之外,有了更多未來的發展可能性。
WY: 第二次世界大戦中、国民党政府は連合軍とミャンマー北部で協力関係にあったため、当時ミャンマー北部には多数の国民党軍兵士とその末裔がすんでいた。さらに国共内戦が終結すると、中国南西部の雲南省から撤退した孤軍[英], [日1], [日2]と呼ばれる勢力が、タイとミャンマーの国境に広がる黄金の三角地帯に移動して長期間滞在して活動の拠点とした。
思想的な理由から国民党軍兵士の末裔の多くはミャンマー北部やタイとミャンマーの国境から退いたのち、台湾に移り住む道を選んだ。新北市中和区にある「緬甸街[英], [日]」にミャンマーから来た中国人[英], [日]が多数住んでいるのはこのような理由からだ。1988年の民主化運動以降は少数ながらビルマ人[英]も移り住むようになった。さらに蔡政権の新南向政策[英], [日]の結果、中国系、ビルマ系を問わずビルマの少数民族が台湾に留学しに来るようになった。
[訳註:ビルマ(ミャンマー)は漢字では緬甸(めんでん)と書きます]ミャンマーと関係の深いこれらの人たちの多くはすでに台湾社会に溶け込んでいる。監督、起業家、作家とさまざまな分野で成功を収めている。台湾の事業家も将来性を見込んで、ミャンマーで事業を始めている。歴史的な結びつきだけではなく、両者はビジネスの分野でも結びつき[英]を深める機会がある。
FN: ミャンマーから見ると、中国はとても大きな存在だと思いますが、台湾とミャンマーの現在の政治的、経済的関係はどうでしょうか?
楊智強: 台灣2016年在仰光設立了「駐緬甸台北經濟文化辦事處」,2021年緬甸政變爆發後,該館處並沒有被撤裁,仍持續運行。目前台灣跟緬甸並沒有官方外交關係,但開始有台商進駐緬甸。
但在緬甸內戰部分,軍政府完全支持中國的一中政策,而跟台灣民間保持友好關係的NUG政府,在今年農曆年過後對外宣布,支持中國對台灣的政策,企圖拉攏中國對NUG反抗勢力的支持。
有鑒於中國對於東南亞地緣政治介入已深,因此台灣政府在該地區的影響力捉襟見肘。但在經濟、商業、文化與教育等方面,雙方仍可以有不少交流的機會。台灣政府在緬甸扮演著支持這些民間力量發展的後盾,盡量不涉及政治,推展台灣在緬甸社會的影響力。
WY: 台湾は2016年にヤンゴンに「台北駐緬経済文化弁事処[英]」を設立した。2021年のクーデター後も事務所は閉鎖されず、運営している。台湾は現在ミャンマーと正式な外交関係はないが、台湾の事業家は同国を積極的に訪れている。
ミャンマーの内戦期、軍事政権は北京の「一つの中国」政策を全面的に認めていたので、台湾を外交的に承認することはなかった。一方で2021年のクーデター以降に軍事政権に反対する人たちが作った国民統一政府(NUG) は台湾の人々と良好な関係にある。しかしながら、北京の支持を獲得するために、2024年の1月1日には台湾を国家として認めない[英]という中国の方針を支持することを明らかにした。
中国は地理的な関心から、東南アジアの政治に深く長く関与してきたので、台湾の政府的影響力など知れている。だが経済、商業、文化、教育の分野に目を広げれば両国間での交流のチャンスはいくらでもある。そんなこともあって台湾政府は政治問題には関与しないと述べつつも、ミャンマーの市民勢力の発展を支えることによって、ミャンマー社会内で台湾の存在感をゆるやかに高めようと努めている。
FN: 現在製作中のドキュメンタリー映画について話してください。
楊智強: 我跟紀錄片攝影師蘇威銘在今年獲得台灣「公共電視」邀請,將花兩年時間製作一部關於緬甸武裝抗爭的紀錄長片。內容會聚焦在,緬甸人民面對軍事獨裁的壓迫時,做出不同選擇的心路歷程以及痛苦掙扎。
為了拍攝這部紀錄片,我們結合了目前流亡在泰緬邊境的攝影師、藝術家與記者們,一起多次進出戰地拍攝。我們希望透過影像的力量,除了讓世界知道緬甸反抗軍事獨裁的運動仍在持續之外,也想讓世界知道,世界上任何國家在面對軍事強權的壓迫時,相對弱勢的一邊,社會中可能會出現的分歧與每個人心中可能面臨的糾結。目前這支紀錄片已經開始拍攝,預計在2026年2月1日緬甸政變5週年播出。
WY: 報道写真家の蘇維明(スー・ウェイ・ミン)[華・英]と私は今年、台湾公共テレビ[華・英]の要請でミャンマーの武装抵抗運動を取材し、2年間をかけて長編ドキュメンタリーを制作中だ。番組では軍事独裁政権の抑圧に直面して、今までとは異なる選択をしたミャンマーの人々が、困難な戦いを通して、考え方を変えていく過程を中心に報道予定だ。
ドキュメンタリー制作には現在タイ・ミャンマー国境地帯に亡命中の写真家、デザイナー、記者が加わった。戦場での取材も数回敢行済みだ。軍事独裁政権に対してミャンマーの人たちの抵抗が続いていることを、世界の多くの人たちに知ってほしい。脆弱で分断された社会が、弾圧に立ち向かう姿を、映像の力を借りて多くの人に伝えたい。撮影はすでに始まっており、ドキュメンタリー番組としてミャンマークーデターから5周年になる2026年2月1日に放映予定だ。
(ご紹介)
英語版グローバルボイスではミャンマー(ビルマ)関係の記事を多数公開しています。
Myanmar (Burma)
Myanmar's Spring Revolution
日本語版グローバルボイスでもインタビュー、社会情勢、人びとの暮らしなどビルマ社会を伝える記事を中心に翻訳していく予定です。ご期待ください。
(今後の翻訳予定)
A documentary showcases why some Taiwanese consider Southeast Asia a land of opportunity
台湾人ビジネスマンがミャンマーのラカイン州で興した海老養殖事業への取材を通して、台湾人がミャンマーや南東アジアをどのように見ているか紹介します。
The single mother exposing Myanmar junta atrocities while keeping her kids close
クーデター後もビデオジャーナリストとしてタイのメソートで活動を続ける女性とのインタビュー
How Myanmar journalists can help build a federal democracy
連邦制ビルマの理想忘れずに追求するシャン州の通信社とのインタビュー