世界は美しい ラテンアメリカとカリブ海に射す新年の希望の光
(この記事は2025年1月16日に掲載されたものです)

ベネズエラの首都カラカスはカリブ海から約60km内陸に位置している 写真は国立公園のアビラ山(別名ワライラ・レパノ山)撮影 セサル・カルデナス 掲載許可済
2025年1月、新たな年に入り1週間経った頃、グローバル・ボイスの寄稿者エステファニア・サラザールが私たちのグループ・チャットのひとつに1枚の写真を投稿した。それは登山家でアマチェア写真家の友人、セサル・カルデナスが撮影したもので、カラカスの町とその北方に広がるカリブ海の間にそびえる岩だらけのアビラ山の景観がとらえられている。その写真には鮮やかな青空が画面一杯に広がり、他に見えるのはふんわりとたなびく白い雲だけだ。その雲はまるでこれからの行先を決めかねているかのようだ。
その3日後の1月10日、ニューヨーク・タイムズ紙が「独裁者」と呼んだベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領が連続3期目の就任宣誓を行った。それまでに、昨年7月の緊迫した大統領選挙が広範囲な抗議運動の引き金となり、何千人にも及ぶ政治犯を生み出していた。この国では社会経済上の問題増加が大量の移民流出に拍車をかけたことを背景に、米国、英国、EUによる制裁措置が効果をあげマドゥロ政権への国際的支援が縮小していた。
しかしサラザールがこの写真を投稿した時には、不正選挙の問題が彼女の一番の関心事ではなかった。それよりも祖国の美しさに心を打たれその感動を人々に伝えたいと思ったのだ。目先を変えて、愛するベネズエラの別の姿を人々に見てもらいたい気持ちも少しはあったのだろう。『カラカスの1月の日々』と題し、自分自身が撮った明るい紫色の花を咲かせた低木の写真に、「1月にはカリブ海ではまさに特別な霊光を日々感じるんです」とコメントしている。
カリブ海地方とラテンアメリカでは、特に新年の初めには、どんな光が射すかではなくその光が何を表しているかが重要視される。光が象徴するのはまっさらな白紙、明確な展望、蘇生、前向きに力を合わせることだ。そして希望も。つまり気候変動から犯罪まで、この地域を脅かしている多くの問題に直面しながらも望みを失わないということだ。
ベネズエラからカリブ諸島の端々まで、写真家や寄稿者たちから写真が送られてきた。そこには1月のカリブの魅力的な光の一筋がとらえられている。おそらくその光は希望と喜びに満ち溢れ、我々が今年どんな問題に直面しても元気づけてくれることだろう。それだけではなく、このような希望の光を心の奥底で求め続けているガザやウクライナやスーダンなど世界中の人々の心にも届き、皆に力を与えてくれるだろう。
ベネズエラ

ホセ・マリア・カルタヤ公園 撮影 カルロス・ノボ 使用許可済
カラカス東部のホセ・マリア・カルタヤ公園を自由に飛ぶ鳥の群れをとらえたこの美しい写真は、写真家で環境活動家のカルロス・ノボが撮影したものだ。カルロスによると1月の光線は写真撮影に最適だそうだ。目の前にどんな暗闇が広がっていても、心の奥底にはいつも1月の希望の光が差すだろうということだ。
トリニダード・トバゴ

希望を照らす1月の光の風景 撮影 アクレーマ・アリ 使用許可済
新年になり写真家のアクレーマ・アリは、1月の光は回復と再生を生み出す希望の輝きだと思いはじめた。非常事態宣言下にある祖国の現況を踏まえると特にそう思えてきた。アリはこう語る。「上空から見る雲は無限の可能性と世界の広大さを私たちに思い起こさせます。下界の日常を離れて湧き上がる希望に溢れた光景が見えてくるのです。池の辺りのカモたちを見ると、生きていることの喜びと命の静かな鼓動を感じることができ、私たちを現実に結びつけてくれるのです」。
そしてこう続ける。「静かな湖は歪みなく光を反射させ、清浄さと平静さを表し、それに引きつけられた私たちは立ち止まり、静寂の美しさを心に抱きしめるのです。夕焼けの暖かい色合いを見ると、終わりは新しい始まりだということを思い起こします。地平線の彼方に希望の輝きを放っているのです。このような景色を見ると自然に包まれながら身体も魂も元気づけられます。そして光がもたらす明日への約束をこれからも大切にしようと思うのです」。
バルバドス

バルバドスのウォーシング・ビーチ 撮影 マーガレット・マッケボイ 掲載許可済
写真家マーガレット・マッケボイがバルバドスの美しい風景写真を数点送ってくれた。全て島南部のウォーシング・ビーチで撮影されたものだ。このビーチはグレイム・ホール自然保護区と接していて、そこはバルバドスに現存する最大のマングローブ林だ。今年3月にエコツーリズムと自然保護を優先させようという新たな所有者のもとで再開することになっている。
バルバドスのミア・モトリー首相は、こと地球環境問題に関してカリブ地方では最も舌鋒鋭い人物の一人だ。彼女は発展途上にある小島嶼開発途上国(SIDS)が、気候変動という厳しい現実に対してもっと柔軟に対応できる機構作りを提唱している。
プエルトリコとドミニカ共和国

カリブ海のスペイン語圏に住む様々な鳥たち 撮影 アレクシア・モラーレス 掲載許可済
写真家アレクシア・モラーレスが自然のままの生息地で様々な種の鳥を撮影した。しかも素晴らしい光の下で。上左から時計逆まわりに、ヒスパニオラキヌバネドリ(ドミニカ共和国)、アシナガシギ(グアヤマ、プエルトリコ)、プエルトリコトカゲカッコウ(サバナグランデ、プエルトリコ)。
大西洋にハリケーンの季節が来るたびに、カリブ海地域の鳥の群れは暴風雨の脅威にさらされる。おまけに狩猟が原因でいくつかの生息地では水鳥の個体数が減少している。鳥の保護については、カリブ海一帯は一枚岩とはいかないのだ。プエルトリコとドミニカ共和国はまさに、森林破壊や都市の無秩序な拡大化や巨大な観光産業といったその地特有の問題を抱えている。
バーズ・カリビアン協会の代表アドリアン・トーサスは、マングローブ林保護に関するプエルトリコ政府の方針の変化を指摘した。また国際人権連盟(FIDH)は最近ドミニカ共和国に派遣団を送り、「ドミニカ共和国を苦しめている汚染と汚職」という深刻な問題に引き続き取り組んでいる。
ジャマイカ

ジャマイカ、ウェストモアランド教区 ホワイトハウス 撮影 ハイジ・セブリー
ホワイトハウスはウエストモアランド教区にある小さな集落で、ジャマイカの南西海岸沿いに位置している。漁業で有名でジャマイカ島中の人々に新鮮な魚介類を供給している。
ジャマイカの首都キングストンには国際海底機構(ISA)の本部が置かれている。この機構は海洋法に関する国際連合条約の下で、「海洋環境を深海底関連活動で起こりうる有害な影響からの効果的な保護を確実にするための」権限を与えられている。
世界中の海洋を覆う深海底採掘の脅威に対して、ジャマイカの環境保護活動家たちは採掘反対運動を継続している。カリブ海の国々が気候変動と水産資源の乱獲という二重の脅威に組んでいるまさにこの時に。
いずれにせよ、ひとつひとつ課題を解決していけば、希望と可能性が見えてくるだろう…。

ジャマイカの美しいブルーマウンテンズのグリーンヒルズ地域で撮影したこの写真について、セブリーはこう語っている。「美しい冬の空を見て、私はただ立ち止まっていました。この熱帯地方で経験した神秘的な時間でした」。
エディター謝辞:この記事のために、写真と鑑賞のための視点を寄せていただいたそれぞれの地域の写真家とグローバルボイスの寄稿者の皆さんに深く感謝します。全てを取り上げることは出来ませんでしたが、美と霊感に溢れたものばかりだったと自信を持って言わせていただきます。







1 コメント
Thank you so very much for translating our article!
Emma Lewis