パンダは香港の経済を救えるか?

オーシャンパークのパンダ・ホール 写真:inmediahk.net CC BY-NC-SA 2.0

最近香港を訪れた人は、街なかや主な観光地にパンダのディスプレイがあることに気がつくだろう。これは、政府がいわゆる「パンダ経済」と銘打って、この街の観光業回復のために行っている取り組みの一環である。

香港の経済は、新型コロナ感染症のパンデミック以来低迷している。また2019年の民主化運動への当局の弾圧国家安全維持法といった議論の的となる多くの法案導入など政治的な混乱を受け、香港の観光業は十分な回復を見せていない。

この経済的な落ち込みを回復させようと、2024年のクリスマスや新年の観光シーズンが近づいた頃、2500体以上のパンダのディスプレイが設置されることになった。

来週の月曜から、「PANDA GO! FEST HK(パンダ・ゴー! 香港フェス)」が始まります。香港中に8種のユニークなデザインの2500体のパンダが展示されます。4か所での公開展示があり、主催者はアート、展示、観光を融合させた人々を夢中にさせる祭典を目指しています。

「パンダ経済」とは、香港の政府系報道機関が使い始めた言葉だ。2024年7月1日、香港特別行政区行政長官ジョン・リーが、1997年に香港がイギリスから中国へ返還された記念日にちなんで、パンダのペア2頭が中国から贈られることを発表したことに端を発する。そして、更なるニュースが届いた。オーシャンパークに古くからいるジャイアントパンダのカップル、リーリー(オス)とインイン(メス)の間に、パークに来て18年が経った2024年8月、2頭の子どもが自然分娩で生まれた。繁殖率の低さで知られている絶滅が危惧されるパンダには画期的な出来事だった。

9月、中国から2頭のパンダが到着すると、香港は合計6頭のパンダがいる都市になった。

中央政府から贈られたジャイアントパンダのインインから生まれた双子の赤ちゃんは土曜日に生後100日を迎えた。オーシャンパーク香港は土曜日にこれを記念した祝賀イベントを開催した。香港流に子どもの誕生を祝って、来場者には赤い卵とポークジンジャーシチューが振舞われた。

しかしパンダを育てるにはお金がかかる。2007年の試算では、リーリーとインインの飼育には年間約200万米ドルかかるという。現在、オーシャンパークはさらに4頭のパンダが生活する施設を建設し、パンダが食べるための竹も輸入する必要がある。2015年以来、オーシャンパークは来場者の減少による財政的な課題に直面していて、香港政府は2021年苦境を救うために20億香港ドルをつぎ込んだ。

オーシャン・パークは2023年、1億1850万香港ドル(約150万米ドル)の収益黒字であったものの、さらにかかる費用を埋め合わせるには十分ではない。

世界中をみても、動物園は多大なコストがかかることや「動物の権利」への意識向上により、飼育動物を増やすことにさらに慎重になってきている。最近では、フィンランドがこれ以上自国の動物園で飼育し続けることはできないとして、2頭のパンダの中国への返還を決めた。

フィンランドは予定より8年以上早く、2頭のジャイアントパンダを11月に中国へ返還することになった。2頭を飼育している動物園としてはこれ以上維持費を出すのが困難であると、動物園理事会長は木曜日にロイターに語った。

親中派の政治家やメディアは、香港市民に対しパンダはより多くの観光客を引きつけ、停滞する経済に活気をもたらすと言っている。

中国国営の報道機関チャイナデイリーは、2024年9月26日の特集記事で、パンダを「オーシャンパークが栄光を取り戻す希望の光」と称した。オーシャンパークは91.5ヘクタールにおよぶ巨大なテーマ・パークと動物園で、パンダはそこで飼育される。

オーシャンパーク園長パウロ・ポン氏、同紙に対し、パンダとそれによる注目は「天からの贈り物」だと語った。パンダをテーマとした知的財産やライブ配信、ソーシャルメディアによるマーケティングや関連商品などにより、収益を上げることを計画しているという。

2500体のパンダ像を制作する香港のデザイン事務所Allrightsreserved社は、パンダを題材とした知的財産権の活用拡大を目指している。同社は香港政府とオーシャンパークに、パンダのデザインを使用するための知的財産権を提供する予定だ。また第3者から受けるデザイン使用料はパンダの飼育管理のためにオーシャンパークに寄付すると約束している。

経済的な効果に加えて、中国政府系の政治家たちは、パンダがこの都市の国家教育の役割を担うことも期待している。香港教育局は、中国国慶節のお祝いに合わせて、8月に全ての学校に送ったお知らせの中でパンダを「香港と中国本土との愛の結晶」と表現した。同時に香港教育局長官はチャイナデイリーの記事で次のように詳しく述べている。

One crucial benefit to be derived from the panda gifts is that the national treasures will serve to tie a stronger emotional knot between the mainland and the SAR. Given their status as national treasures and high publicity, the new pandas will be in a most effective position to create a strong sense of national identity and kinship among the younger generation with the homeland. This has also become a vital goal in our school education.

パンダという贈り物から受ける大事な恩恵の一つは、この中国の国宝が、本土と特別行政区との間を取り持つ気持ちの上での強い絆になることです。パンダが国宝であり注目度も高いということから、新しいパンダたちによって最も効果的に、若い世代は強い民族意識を形作り、本国と同じ民族であるという気持ちを抱くでしょう。これは私たちの学校教育におけるいちばん重要な目的とも言えるでしょう。

この2頭の新しく生まれたパンダが多くのファンを引きつけている一方で、パンダにあやかったビジネスが実際に利益を生むかについて懐疑的な声もある。これはフェイスブックで広く拡散されているジョークである。

熊貓經濟係掂嘅,成都一早做咗金融中心啦。

もしパンダ経済がうまくいくとしたら、成都は金融の中心になっているはずだ。

(訳注:中国の成都はパンダの保護、育成、研究の中心地として知られている)

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