インタビュー:公正、中立なミャンマー報道をめざして

Mizzima satellite

2021年のクーデター後、軍の弾圧を逃れるためミッジーマニュースは拠点を僻地に移した。ミッジーマテレビの動画「Mizzima fights for media freedom in Myanmar(ミャンマーで報道の自由のために闘うミッジーマ)」より 公正使用

ミッジーマニュースの歩みは、ミャンマー民衆の民主主義回復への闘いを歴史に刻みつける、独立系報道機関の歩みでもある。

ミッジーマニュースはミャンマーからの難民が1998年にインドで設立した独立系メディアで、何十年も続く軍政下で苦しみもがくミャンマー市民社会の有様を、公平、正確に報道することを目的としている。民主化移行後は、2012年に海外に活動拠点を置く独立系報道機関としては最初にミャンマー国内に事務所を開設した。2021年2月のクーデタ後は運営体制の変更を余儀なくされ、僻地にニュースセンターを移している。

軍が政権を奪取して4年になり、ミャンマー内外で働く独立系報道機関は軍の弾圧、検閲、ネットの遮断、運営資金の獲得など困難に直面しているが、ミッジーマニュースは記事や番組を送り続けてきた。

グローバル・ボイスはミッジーマニュースの創設者ソーミィンにオンラインでインタビューを行った。ミャンマーで何が起きているのか、信頼できる情報を読者や世界中の視聴者に提供するために、クーデター前後にミッジーマニュースがとった行動を語ってくれた。なおインタビューは簡潔に読めるように編集してある。

ソーミィンによると、ミッジーマニュースはクーデター勃発の可能性も予測し、軍による政権奪取が発生しても報道を続ける決心を再度確認し、準備を進めてきた。

What shall we do in case of a military coup? We have two options. [First], we stop our work, which is what the military regime wanted us [to do]. Second option is we continue our work. Both has its own consequences. We can stop our operations [which some Burmese media outlets did]. But we were very clear from the start [with our position]: We will continue and prepare ourselves for this decision.

クーデターが起こったらどうする?選択肢は二つ。軍の要望に従って報道を停止するのか、それともニュースを送り続けるのか?何れにしても困難な結末が待っている。他のビルマの報道機関のように報道を停止することも可能だ。だが我々の使命は創設当初から決まっている。ミッジーマはこの決断に従い、不測の事態に備えることとした。

ミッジーマニュースは衛星放送への切り替えや、ニュースセンターの僻地への移転も進めた。

We needed to have an alternative broadcasting system if we wanted to continue. Even if the government stopped our television channel, we can continue through satellite.

Another adjustment was to relocate our operations. We knew that we cannot hold for long in our head office in Yangon and in our other office in Mandalay, so we immediately had to relocate to different places and we chose the liberated areas controlled by the minorities with whom we have been in closely in touch with for many years. One week after the coup, we already set up a temporary headquarters in Karen State. Despite the coup, there was no single day of disruption in our broadcasts.

ミッジーマの番組を視聴者に届けるには、今までとは異なる放送設備が必要でした。もし政府がミッジーマの地上波テレビ放送を停止しても、私たちは衛星経由で放送を続けられます。

もう一つの課題はニュースセンターの移設でした。ヤンゴンにあるミッジーマの本部やマンダレー事務所が使えなくなることは分かっていたので、大至急ニュースセンターを別の場所に移す必要があり、私たちと何年も前から密接に取り合ってきた少数民族の解放区に移ることにしました。クーデターから1週間後にはカレン州で仮設本部がスタートできました。クーデター後もミッジーマは1日も中断せずに放送を続けています。

ミャンマーのクーデター発生初日である2月1日から、ミッジーマニュースをはじめローカルメディアは怯むことなくニュースを伝えている。ミッジーマは非公開の場所に設置された仮設スタジオから報道を続けている。軍は報道機関5社を急襲し、活動禁止としたがミッジーマもその1社だ。

ソーミィンによると報道を継続した結果、軍による逮捕拘束、収入の消失などミッジーマは大きな被害を被っている。危険下での報道に関するミッジーマニュースの特集によると、2021年のクーデタ発生から2024年12月までの間に、209人の記者、各報道機関職員が逮捕され、およそ55人が拘束、服役中だ。

Many people had to resign but we also relied on new recruits whom we trained, plus some supporters who offered their support from outside the country. We didn't have enough resources. We were dependent on funds from TV advertisements [which we lost] after the coup. We had to adjust in order to continue.

多くの職員が退職せざるを得ない一方で、私たちが急ごしらえで教育した新メンバーと、国外から援助してくれる支援者が頼りでした。資金も人手も足りません。ミッジーマはテレビの広告収入を活動資金にしていましたが、クーデター後はそれも途絶えました。報道を続けるために、私たち自身が変わらねばなりませんでした。

ソーミィンによると、絶対に報道を続けるというメンバーの固い決意の結果、ミッジーマニュースはフェイスブックでも、ユーチューブでも非常に多くのフォロワーやチャンネル登録者数を獲得した。この4年間試行錯誤しながら注力してきた、二つの大きな課題について話してくれた。

Safety is the main challenge because anyone who is working for Mizzima News or who is known to work for Mizzima News will be punished, arrested, and imprisoned by the junta.

The second challenge is financial. After the coup, we lost all our revenues. We became dependent on the international community, and it was encouraging to receive international support, but this source was also limited. After 2023, we tried to diversify our funding sources. That is again quite a big challenge because we have to do too many things at the same time.

まず安全の確保は最大の課題です。ミッジーマニュースのために働いていたことが知れると、軍による処罰、逮捕、投獄が待っているからです。

第二の課題は運営資金の獲得です。クーデター後ミッジーマの収入は完全に途絶えました。国際社会からの支援を頼りにやってこれたのは私たちの励みですが、支援にはやはり限度があります。2023年以降は収入源を増やすための、新たな試みを開始しました。その結果、非常に多くのことを同時に行わなければならず、私たちにはとても大きな挑戦となっています。

ミッジーマニュースは軍による長期のインターネット遮断や情報規制の中で闘わねばならなかった。当初はスタッフの発案で、インターネット接続に国際SIMカードを利用していた。ネットの中断が頻発する中で人々にニュースを確実に伝えるため、FMラジオの電波も使うようになった。

We have to think of how people will receive [our content] apart from social media. That's why we have a show on radio and television. We set up FM stations as well in different places so that even those who don’t have internet access can listen to the the stories and hear the news.

ネットなしで、人々にニュースが届くようにするには、どうすれば良いか考えねばなりません。その結果私たちはラジオやテレビの番組を放送するようになりました。ネットが使えなくても、誰もが番組やニュースを聴けるように、私たちはいくつもの場所にFM局を設置しました。

Mizzima TV

タイ、バンコクで宣伝活動中のミッジーマニュース 写真提供はソーミィン 掲載許可取得済

ミッジーマでは安全対策としてニュースセンターを数ヶ所に分け、ある地域でインターネットが遮断されても放送を継続可能だ。

We have a functioning newsroom; not one newsroom but two to three newsrooms which we use everyday. For safety reasons, one set of personnel are in one group and those who are safer are in another group and they don't know each other.

私たちのニュースセンターは機動的で、1か所に集中せず、毎日2~3か所のセンターを切り替えて使っています。安全確保のためメンバーはグループ単位に別れ、比較的安全なメンバーは別のグループに分け、お互い他のグループに誰がいるかは分からないようにしています。

ミッジーマニュースがミャンマーの人々の民主化獲得への戦いを記録、伝達する役割をこれからも担い続けること、その任務を若い世代が引き継いでくれることをソーミィンは確信している。

Mizzima News has been doing two things: As an independent media, it conducts its professional work by reporting about Myanmar. But its other major mission is its contribution to nation building. We work with different stakeholders. The only organization in the country that we don't work with is the military.

There is already a new generation doing this work. They are continuing the mission and they are very smart, hardworking, and committed to fulfilling the mission of Mizzima News.

ミッジーマニュースには二つの役割があります。独立系メディアとしてミャンマー報道を深く追究すること。もう一つの大事な役割は国家形成に貢献することで、私たちはいくつもの当事者と協力しています。この国で私たちが協力しない組織はただ一つ、軍だけです。
新しい世代はすでにこの仕事に取り組んでいます。彼らは賢く、働き者で、ミッジーマニュースの使命を理解し、達成に向けて献身的に取り組んでいます。

ミッジーマニュースの報道紹介動画

校正:Asato Komatsu

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