ガザのジェノサイドに抗議―ピカソの『ゲルニカ』を新たなイメージで描くスペインの芸術家たち

モレノ・ミューラルの作品（@morenomural）をグローバル・ボイスがデザインソフトCanvaで加工。許可を得て使用。

（記事は原文が公開された2025年6月の状況を反映しています）
ピカソの『ゲルニカ』は戦争の痛みや不条理を描き出した稀有な作品だ。1937年に完成したこの傑作は、高さ3.47メートル、幅7.76メートル。スペイン内戦で命を落とした数十万人の人々が受けた暴力や混乱を、絵の中に閉じ込めている。ゲルニカはバスク地方にある町の名前で、1937年にナチスドイツやイタリアのファシスト勢力により爆撃を受けた。

このシュールレアリスムの作品の最も心を引きつけられるところは、構図の左下にある「死んだ子どもを抱く母」だろう。母親は深い悲しみと苦しみに泣き叫びながら、その腕に死んだ子どもを抱いている。ピカソは後の作品にもこの母子のモチーフを描いた。

パブロ・ピカソの『ゲルニカ』（1937）ウィキメディア・コモンズ低解像度、公正使用。

ゲルニカ爆撃から80年以上が経過した現在、パレスチナでの虐殺がさらに広がっている。イスラエル政府による無差別攻撃と手をこまねいている諸外国政府により、子どもたちは殺戮から逃れることができない。子どもたちまでもが爆弾や暴力や飢えの犠牲になっているのだ。国連によると、2023年にイスラエル・ガザ戦争が始まって以来、5万人を超えるパレスチナ人の子どもたちが傷つけられ殺されている。その多くが母親の腕の中で息を引き取った。

ガザの戦争停止を要求するスペインの8人のアーティストが、ピカソの『ゲルニカ』から新たなイメージを創作した。スペインの痛ましい歴史と肩を並べるようなガザの状況を描くことで、スペイン人共通の深層の意識に訴えかけようとしているのだ。

写真：PararLaGuerra（スペインの反戦団体）のメンバー、サラ・モンテロが2025年3月の最初の展示期間に撮影。許可を得て掲載。

『Madre del Guernika 』（ゲルニカの母）と銘打ったこの展示は、2025年3月マドリッドのソフィア王妃芸術センターの前で最初に行われた。約3か月後の６月14日には数十の組織からなるスペインの反戦団体パラル・ラ・ゲラがこの巨大な作品群を再び公共の場で公開した。パレスチナのジェノサイドに反対しスペイン各地で行われるデモに先立ちスペイン国会議事堂前で展示されたものだ。

映画監督ペドロ・アルモドバルら著名な文化人が人々に反戦デモへの参加を呼びかけ、数千人がデモに参加した。パラル・ラ・ゲラの代表はデモの最中このように語った。

Tras la ruptura del precario alto el fuego el 18 de marzo, la violencia ha escalado. Estamos ante uno de los momentos mas crueles y mortiferos de la matanza que el gobierno israeli lleva veinte meses perpetrando contra una poblacion civil inocente, desarmada e indefensa.