(訳注:原文はロシアのウクライナ侵攻が始まって半年後に書かれたものです。下記の掲載記事に関しては、順次公開されていきます)
ロシアによる2回目のウクライナ侵攻は、2022年2 月24日に始まり、多くの人命が失われ、重要なインフラが損傷し、800万人を超える難民と何万人もの国内避難民が故郷を追われた。西側諸国はこれに対抗して、前例の無い制裁を課し、ロシア経済を著しく弱体化させた。同時に、ロシア政府は国内の批判者を取り締まり、独立系メディアを遮断し、戦争に反対する個人に厳罰を課している。
侵攻から半年足らずで、ウクライナは、ロシアとは軍隊と装備に大きな差があるにもかかわらず、西側からの軍事支援の増強により、大都市中心部を首尾よく防御してきた。 一方、ロシアは、世界でも最強の軍隊を保有しているとの主張にもかかわらず、準備と内部コミュニケーションの不足、士気の低さ、および補給ルートの失敗によって行き詰まっている。 そうはいってもロシアは、ウクライナ東部、ドンバス州の大部分、時にはヘルソン州の支配に成功してきた。
前線は日々変化し、 たびたび双方が領土を奪ったり失ったりしている。ほぼ毎日、 何十人ものウクライナとロシアの兵士、およびウクライナの民間人が死んでおり、犠牲者の数は依然として非常に多い。
日々絶えることないウクライナの治安に対する脅威は、ウクライナの社会や組織にも影響を与えている。 現在、焦点となる国家的課題は、改革を加速する必要性、女性の役割、メディアの多様性、ロシア文化へのアプローチ、戦時下での新たなアイデンティティ、そしてより重要となるデジタル化の役割が挙げられる。
ロシアとウクライナの両方に国境を接するベラルーシも、ロシア軍と装備の基地として機能しているため、紛争に巻き込まれている。そんな中、ロシアと親ロシアのルカシェンコ政権と戦うためにウクライナ国防軍に加わるベラルーシ人もいる。
外交的にはロシアはますます孤立している。 中国とインドは当初、侵略について戦略的に曖昧に対処してきたが、プーチン政権から距離を置き始めた。 国連加盟国の大多数がロシアの行動を非難している状況で、NATO と EU はウクライナに政治的支援、軍事装備、人道支援を提供している。 ウクライナの再建に関する議論は始まったばかりだが、必要とされる推定 7,500 億米ドルを誰が支払うのか、どのように援助を分配するのか、誰がウクライナの都市とインフラを再建するのかという重要な問題は未解決のままである。
同時に、この戦争は経済戦争に変貌しつつある。ヨーロッパは解決不能のガスの問題に陥っている。多くの国がロシアからの供給に依存しているからだ。迫り来る2022年から2023年の冬のシーズンに対応するための備蓄はほとんどない。
同様に、多くの国がロシアとウクライナ両国からの穀物と肥料の輸入に大きく依存しているため、貿易戦争に巻き込まれている。物資の輸送船の航路がロシアの攻撃によってブロックされたり、ロシアに対する制裁の影響を受けているのだ。
グローバル・ボイスは、この戦争の経過を政治的および経済的観点から取材し続けます。ウクライナ、ロシア、ベラルーシの人々の実体験を描き出す一方で、アフリカ、アジア、中東、ラテンアメリカ、中央および東ヨーロッパにも焦点を当てていきます。
下記は信頼できる情報源(英語、ウクライナ語、ロシア語)の一覧です。頻繁にアップデートされます。
- The Kyiv-based English-language newspaper Kyiv Independent.
- The Riga-based independent russophone and anglophone media outlet Meduza.
- The Vilnius-based independent media outlet Media Zona
- The Insider
- Bellingcat
- Zaborona
- Holod Media
- Ukrainian: The Kyiv-based Ukrainska Pravda
- Ukrainian: The Kyiv-based Espresso.TV
- Ukrainian: The Lviv-based Zahid
記事 ロシアのウクライナ侵攻
ロシア語を話すウクライナ人の話は聞きたいですか?
ロシア語を話すウクライナ人は、自分たちの状況をロシアの戦争支持者に伝えようとしたが、その努力は2022年初頭の数か月間でついえた。ウクライナ人ロシア語話者の考えを強く否定し、全く理解しようとしないロシアの戦争支持者と、自分自身がロシア語話者であると言う現実が、苦しみをさらに深くする。
ウクライナ戦争で言葉を見失いかける話
2022年2月24日から始まったロシアの第二次ウクライナ侵攻により、私の脳のロシア語部分はなす術を失った。
身の危険も顧みずベラルーシで抵抗する人々
ベラルーシ人のハンナ・リウバコワは大西洋評議会の会員であり、ジャーナリストまたメディアトレーナーでもある。リウバコワは最近ベラルーシで起こった、政治犯に関する最も衝撃的な事件をTwitterへ投稿した。
戦地の動物を救え! 東ウクライナから300匹の犬や猫を救出
紛争地域に住む動物がとても友好的で愛情に飢えていることに、動物救護のボランティアたちは気付いている。動物たちは怯えており、助け出されるのを待っているのだ。
オーストラリアの看護師がウクライナで見たものは?
「ウクライナ側にもロシア側にも同じように家族や友人がいますし、戦争という間違ったゲームでコマのように使い捨てられている罪のない人々がいるのです」
白狼、クリミア・タタール人の物語
あるクリミアタタール人の家族3代の歩いてきた道のりで知る民族運動の歴史
オデーサの街の壁に巨大猫 戦争だけでなく多彩なテーマのストリートアート
オデーサの街のあちこちに出現する巨大猫。LBWSという名で活動するストリートアーティストは、巨大猫を通してウクライナの思いを紡いでいく。
ロシアのウクライナ侵攻に対する日本の煮え切らない反応
今回のロシアのウクライナ侵攻は、日本が難民を歓迎しない国ということを再認識させ、また、核兵器を拒否する日本の国是を揺るがせた。
ロシアのウクライナ侵攻はロシア文学の解釈に影響を与えうるか
ロシアのウクライナ侵攻という事態に直面した私たちは、トルストイやドストエフスキーに対して異なる読み方をするべきなのだろうか。文学作品を一種の武器とする人もいるし、それらを排除しようとする人もいる。
私たちは自分で作るバブルの中で生きているのだろうか?
私たちは、多言語のニュースをフォローし、結論を出し、シェアするものを選び、誤情報として分類するものを選ぶことができる。