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8月26日、イスラエルとパレスチナ武装勢力は無期限の停戦に合意し、7週間にわたる最悪の破壊行為と命の犠牲に終止符が打たれた。
7月8日、縦40kmの細長い沿岸地域に対して、イスラエルが境界防衛作戦と称する大規模攻撃を開始してから、パレスチナ人の少なくとも2100人が死亡、1万500人以上が負傷、52万人が家を追われた。
イスラエルによるガザ攻撃は、この6年で今回が3度目である。パレスチナ自治区のガザ地区とヨルダン川西岸地区はイスラエルから過度の規制を受けているが、一部の地域ではそれがさらに重くなっている。世界のほとんどの国と国連はこれをイスラエルによる占領であると見なしている。
ある推計によると、ガザの都市部の40%が瓦礫(がれき)と化したという。7月28日、イスラエルはガザ唯一の発電所を攻撃し、180万人が暮らす人口過密地域を暗やみに陥れ、限られた水資源と下水処理施設に大打撃を与えた。
イスラエル、ハマスとイスラム聖戦機構(ガザ地区の主な武装勢力)、パレスチナ自治政府(もう一方のパレスチナ自治区であるヨルダン川西岸地区を統治)は、ガザでの無期限停戦に合意し、停戦は8月26日午後7時(訳注:日本時間27日午前1時)に発効した。
停戦を受けてイスラエルは検問所を開放し、ガザへの人道的援助と建築資材の搬入が可能となる。また、漁業水域をガザの沿岸から10kmの地点まで拡大することが許可される。ガザとエジプトの国境にあるラファ検問所も開放される。
この無期限停戦の前にも短時間の人道的停戦が6回あったが、そのうち3回は数時間で崩壊した。最後の短期停戦は8月13日に開始されたが、19日、パレスチナの過激派がロケット弾攻撃を再開したのを受けて、イスラエルもガザ地区へ相次いで空爆を行い、停戦は終了した。
(以下、英文タイトルの記事は未翻訳です)
- Neighbours Tweet the Terrifying Moment Israeli Forces Destroy a 12-Storey Gaza City Apartment Tower
- ‘We Are All Numb': Gazan Woman Recalls Israeli Attack That Made Dozens of Her Neighbours Homeless
- Another Ceasefire Collapses in Gaza, Death Toll Rises Above 2000
国連によると、今回の攻撃で殺害されたパレスチナ人の72%は一般市民だという。これには、イスラエル側の戦略と標的設定に対し、疑問の声が上がった。イスラエルの爆撃は、住宅地や学校、公園、病院、避難所、難民キャンプにも及んだ。
この紛争の特集ページを作った理由の一つは、主要メディアがイスラエルの巧みな宣伝機関になってしまい、あまりにも偏った報道をしているためである。
- Indian Broadcaster NDTV's Report on Gaza Rocket Launch Becomes Fodder for Propaganda
- Jewish-American Journalist Max Blumenthal Visits Gaza and Tweets Images of a Devastated City
- Palestinians Tweet Tips to Ferguson Protesters Dodging Tear Gas, Rubber Bullets & Police Aggression in Missouri, USA
- VIDEO: Is the IDF Glorifying Its Air Bombings of Gaza?
- On the First Day of Gaza's Ceasefire, a Visit to a Shelter Under a Supermoon
- 20-year-old Dalia Alnajjar is Blogging About Life and Death in #Gaza
ガザの地上とイスラエルの空で戦いが繰り広げられているそのとき、ソーシャルネットワークでは総力を挙げての情報戦が行われていた。
- How a Jewish-American Author's Facebook Page Became a Hub for Citizen Reporting on Gaza
- イスラエル vs ガザ:意図せず作られるプロパガンダの罠
- A Sick Game: Bomb Gaza on Google Play Removed After Complaints
8月2日、ウィキリークスで公開された資料によると、イスラエルはガザに対して故意に「民間居住地域を標的にした過度な武力行使」を展開し、「ガザを人道の危機に追い込もうと」しているという。
- Israeli Army Whistle-blower Gets Arrested After Posting ‘Israeli Troops Killed Gaza Civilians in Revenge’ on Facebook
- [Warning: Graphic] Video From Gaza Documents the Killing of Journalist Ramy Ryan by Israeli Missiles
- Gaza Student Recalls the Death and Devastation He Witnessed During the Attack on Khuza'a
- Palestinians Accuse Israel of War Crimes, Push for ICC Trial Gets Support Online
- Gaza Survivor's Twitter Timeline Reveals the Slow Horror of the Massacre at Khuza'a
一時停戦
8月13日から、イスラエルとパレスチナ武装勢力はカイロで交渉に入った。イスラエルの要求は、ロケット弾攻撃の中止、ガザの非武装化、ハマスの武装解除などである。イスラム原理主義組織ハマスは2007年からガザを支配し、同地区は7年に渡りイスラエルの封鎖下にある。ハマス側の要求は、イスラエルがこの7年続いた封鎖を解除することである。また、イスラエルの軍事刑務所に収容されている、重要政治犯およそ125人の釈放も求めている。
イスラエルがガザ地区への攻撃を始めてから1か月、イスラエルとハマスは6回の停戦を行った。しかし、最初の3回は数時間で崩壊した。
8月8日、最後の72時間の人道的停戦が終わり、長さ40kmの細長い沿岸地区へ向けてイスラエルの空爆が再開された。
- Following a Ceasefire in Gaza, Infographics Show the Scale of 30 Days of Death and Damage
- Israel's Protective Edge Has Killed More Palestinians in Gaza Than Operation Cast Lead Did in 2008
攻撃から避難したり、爆撃で家を破壊されたりしたガザの市民25万人以上を受け入れるため、国連の避難所は奮闘している。6か所の国連避難所が、イスラエル軍から攻撃を受けた。
- As Another School and Shelter in Gaza is Bombed, a UN Spokesman Breaks Down in Tears in a Video Interview
- 爆撃下のガザで医師たちが人命救助の合い間にツイートした痛ましい話
- Shelling of a School Where Gazans Had Taken Shelter Kills Women, Children and UN Staff
- パレスチナの戦いと悲劇を超えて「生」を映す写真
イスラエルによるとこの攻撃は、境界線を超えて何百発ものロケット弾を打ちこんでくるハマスを標的にしたものだという。攻撃が開始されてから、イスラエル側はロケット弾によって3人の市民が死亡、ガザ地区における戦闘で64人の兵士が死亡した。
ガザから放たれたロケット弾はローテク兵器で、その大半はイスラエルのアイアンドーム防空システムにより迎撃された。ハマスはガザの「緩やかな死」に対抗して戦い続けると宣言し、イスラエルによるガザ封鎖の解除を要求している。この封鎖によって、ガザの経済や民間のインフラ、給水設備は大きなダメージを受けた。今年(2014年)に入ってから国連は、2020年までにガザ地区は人が住めない場所になるだろう、と警告を出した。この攻撃が始まる前、ガザの失業率は40%で、人口の80%が人道的支援に頼っていた。2012年11月に発効された最後の停戦では封鎖を緩和することになっていたが、イスラエルは逆に強化した。イスラエルのジャーナリスト、ギデオン・レヴィの見解によれば、この先の停戦がどうなるかは、米国や他の国々がガザ封鎖を終わらせるようイスラエルへ圧力をかけるかどうかによるという。
8月1日、イスラエルとハマスは72時間の人道的停戦に同意し、ガザ地区の住民は遺体の埋葬や、負傷者の手当、食糧の補充を行うことができた。しかし90分後、ラファ市で停戦協定が破られた。ラファ市への爆撃で、何十人ものパレスチナ人が殺害され、負傷者は数百人に上った。病院や国連の学校もイスラエル軍の標的となった。
イスラエルと米国は、ハマスが停戦後に兵士1人を拘束し、協定を破ったと非難した。しかしガザに何十発もの爆弾が降り注ぎ数百人が死亡した48時間後、イスラエルは先の兵士について、拘束されたのではなく戦闘中に死亡したと発表した。ハマスの過激派は、ラファでイスラエル兵と交戦したのは停戦前だったと主張した。
8月4日にも短い人道的停戦が発効したが、これもすぐに破綻し、双方とも相手に非があるとしている。
ガザでは4人に1人の子どもが犠牲に
国連によると、パレスチナ市民の死亡者数は増え続けている。イスラエルの高性能ミサイルによって、海岸で遊んでいたパレスチナ人の少年4人が殺害されたときの動画には、世界が衝撃を受けた。
ハマスのロケット弾はほとんどが手製爆弾で、以前より飛距離は伸びたものの、大半はイスラエルのミサイル防衛システム「アイアンドーム」により迎撃されてしまい、被害を与えることは滅多にない。イスラエルではミサイルが飛んでくるとサイレンが鳴り、国内にたくさんあるシェルターに避難する。ガザにはサイレンもシェルターもない。イスラエル国防軍は今回の攻撃で、爆撃1分前の警告ミサイルを住宅に対して使用してきた。
イスラエル軍は、ガザの住宅地や避難所を爆撃した。多くの女性や子供が犠牲になり、薬や医療器具が供給不足となったガザ地区では、負傷者の手当ても困難になっている。
This strike was several blocks from me but felt like it was at my doorstep. I can't imagine the horror children feel pic.twitter.com/p3zESAvV8e
— Tamer El-Ghobashy (@TamerELG) July 25, 2014
今回の空爆は我が家から数ブロックの離れたところだったが、うちの真ん前に爆弾が落ちたかと思った。子どもたちはどんなに恐ろしい思いをしていることか。
行き場もなく
イスラエル軍は、標的地域のガザ地区住民には避難するよう警告を出したと主張するが、パレスチナ人には避難できる場所がない。
- Timeline of Israeli Air Attacks on Gaza in 2014
- Day of Horror in Gaza as Israel Bombs Residential Neighbourhood, Death Toll Crosses 450
- Nobody Should Be a Number: Names of Those Killed in Gaza
- 住宅やインフラが破壊されたガザ地区に厳しすぎる冬が来る
ガザ市民の大半は、ガザを出ることができない。長さ40kmの細長い沿岸地域は、イスラエルと接する北東側とエジプトに接する南側をフェンスやコンクリートの壁で囲われている。2010年、イギリスのデーヴィッド・キャメロン首相はガザを「天井のない監獄」と呼んだ。
誘拐
爆撃の開始は、6月に西岸地区でイスラエルの少年3人が誘拐され、殺害されたことが原因だった。少年たちが行方不明になった後、もう殺されてしまったのではないかと疑う国民に対し、イスラエル政府は重大な証拠の公開を差し控えた。表向きにはイスラエル政府は、西岸地区で少年たちを誘拐したことについて、ハマスを非難し続けた。しかしハマスは関与を否定した。
一方で少年たちの行方は依然として知れず、イスラエルの国民はソーシャルメディアで大規模な#BringBackOurBoys(少年たちを返せ)運動を始め、政府は少年たちを捜索する作戦を開始した。その間に、何百人ものパレスチナ人が拘束され、幾人かが殺害された。この行方不明事件が引き金となり、復讐のために16歳のパレスチナ人ムハンマド・アブ・クデールは焼き殺された。攻撃が始まって2週間経った頃、数人のイスラエル当局者が、この誘拐殺人事件にハマスは関与していないと認めた。
続きを読む:Need a Primer on What's Happening in Israel and Gaza Right Now? These 5 Videos Can Help
報復として、ハマスはイスラエルに向けたロケット弾攻撃を強化し、イスラエルはガザ空爆作戦を開始した。1週間後にはガザで、イスラエルによる地上作戦も始まった。
紛争を公正な戦いとして描写し、パレスチナ人の死を軽く扱っているとして、主要メディアは批判を浴びた。
マスコミ報道
ニューヨーク・タイムズ紙は、見出しを変更したことで耳目を集めた。海岸への砲撃で、サッカーをして遊んでいたガザの子どもたち4人が死亡したとする「ガザの海岸で遊んでいた少年4人が殺害される」を、「少年たちはガザの海岸へ向かった――中東紛争のさなかへ」に差し替えたのだ。変更後の見出しは、少年たちの死に対するイスラエルの責任を軽減した表現であるという意見もあった。
続きを読む:Twitter Users Call the NY Times Out On Shifting Coverage of Israeli Bombing On Gazan Children
殺りくと破壊の情景がネット上を駆け巡り、イスラエルはプロパガンダの強化に乗り出した。YouTubeの動画や、フェイスブック、ツイッターの公式アカウントから、自国のソフトな面を世界へアピールするという手法だ。
続きを読む:パレスチナ自治区ガザ:国際世論を味方につけようと、国をあげてメディア戦略に取り組むイスラエル
最近のメディア戦略では、インフォグラフィックスやビジュアリゼーションがふんだんに使われ、イスラエル側の論拠を図形など分かりやすい手法を用いて表現している。このスタイルは、数々の賞を受賞したプロジェクトVisualizing Palestine(パレスチナ可視化)が採用しているものと似ている。Visualizing Palestineは、ガザ包囲によってパレスチナ人が受ける影響を視覚化することに重点を置いている。
とうていイスラエルの主張を正当化できるものではないが、ネット上には、パレスチナ人に対する憎しみに満ちた心ない言葉があふれている。ガザの空爆を見て喜んでいるイスラエル人たちの写真が、ツイッターで広まった。イスラエルの少年たちが誘拐されたすぐ後には、フェイスブックのあるページに「少年たちが戻るまで、1時間おきにテロリストを殺す」という書き込みがアップされた。ユダヤ人がパレスチナ人やアラブ人に対する暴力行為を呼び掛けるときは、マルチポストが常套(じょうとう)手段だ。フェイスブックユーザーが正式に違反の報告をたくさん送っても、2万1000弱の「いいね!」をもらったそのページは削除されなかった。
- Theater of War: Photo Captures Israelis ‘Watching’ Gaza Being Bombed
- As Rockets Rain on Gaza, Facebook Does Nothing to Stop Hate Speech Against Palestinians
- Israelis React to Renewed Conflict with Gaza
ユダヤ系の人々すべてがガザへの攻撃を支持しているわけではない。しかし、この暴力行為によって、ヨーロッパなどで反ユダヤ主義による事件が誘発されている。
世界各地では
トルコでは、あらゆる階層の人々が以前からパレスチナ人へ深い同情を寄せてきた。しかし今では、ガザ攻撃が反ユダヤ主義を大っぴらに信奉するための口実に使われてしまっている。
世界中で、この破壊的攻撃を終わらせるよう求める声が上がった。停戦は何度も行われては破られ、イスラエルとパレスチナの関係は修復不能だという見解もあるが、希望を捨てていない人々は和平のために力を尽くしている。
- #GazaNames: Celebrities and Activists Remember Gaza's Dead
- The World Stands With Palestine: Protests On Every Continent
- Jews and Arabs in Chile, Home to One of the Largest Palestinian Communities, Call for Peace in Israel and Gaza
- ‘Syria Is With You, Gaza’
- The Death and Gloom of Donetsk and Gaza
- Indonesians Light a Thousand Candles for Peace in Palestine
- ガザ地区:バンクシーが見た、描いた現実
- パレスチナ:昨夏の犠牲者を哀悼するアート・プロジェクト
イスラエル・パレスチナ問題に話が及ぶと、双方から白熱した議論が起こる。この争いは66年以上続いている。
参考資料
英語版リンク集は原文ページの後半をご覧ください
Tweets from https://twitter.com/globalvoices/lists/gaza-2014