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ミャンマー: ヒスイ鉱山の地滑りにおびえながら生きる

カテゴリー: 東アジア, ミャンマー (ビルマ), 市民メディア, 環境, 経済・ビジネス, 開発
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多くの犠牲者を出したカチン州パカンのヒスイ鉱山地滑り事故現場周辺では、今なお数十名の人々が暮らしている 写真: ゾーゾー/イラワジ

ナンルインフニンプゥインとゾーゾーが執筆し、ミャンマーの独立系ニュースサイト、イラワジに掲載された本記事 [1]を、コンテンツ共有合意に基づいてグローバルボイスで編集、再掲載します。

(元の記事は2010年8月14日に公開されました)
カチン州パカンのヒスイ鉱山で発生した地滑り事故 [2]で200人近くの採掘者が死亡したことを受け、地元自治体は地滑りがあった鉱山周辺に住む全ての世帯に、一刻も早くここから移動するように警告した。

しかし、77世帯が警告を無視しそこに留まっている。住人たちの暮らすカジャン村は7月2日に地滑り事故のあった斜面を登った丘の上にあり、パカンのウェィカー村にあるそのヒスイ鉱山の近くに位置する。

目撃者によると、約30メートルの高さに積み上げられた残土の山が、廃鉱跡に水がたまってできた湖に崩れ落ちた。湖に流れ込んだ土砂が引き起こした巨大な波は、連続した滝のように湖の周辺斜面にあふれ落ちて、付近で残土からヒスイを探す非正規の採掘者らを飲み込んだ。イラワジ記者は、初回の地滑りが原因となって、ヒスイ鉱山で地滑りが何度も再発するのを目撃している。

10年前までカジャンとその周辺は丘陵の続く森林地帯だった。しかし現在、一帯には木々は全くなく、300メートルの高さのある斜面は、まるで何も生えなていない月面のように見える。

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さらなる地滑りの危険性を知りながらなお、多くの住民がカチン州パカンのヒスイ鉱山周辺で生活している。写真: ゾーゾー/イラワジ

災害の発生を受けて、パカン郡一般行政局員が調査を行い、カジャン村の77世帯に対して地滑りで家屋が倒壊する危険があるので、一刻も早く移転するよう要請した。

一夜にして200人もの隣人を亡くした住民たちは今、恐怖と不安の中で生きている。夜雨が降り、地滑りで流されてしまったら考えると、怖くなって夜も安心して眠れないと住人たちはイラワジの記者に語った。

しかし、彼らには他の地へ移住したり他の土地に家を買う余裕はない。住民たちは、政府と鉱山会社が責任をもって次の災害が起こる前に、地域住民を安全な場所に移すことを願っている。

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カチン州パカンのヒスイ鉱山周辺に住む住民の多くは、7月に起きた地滑り事故の惨状を知りながらも、他の地へ移住する余裕がないと語った。写真: ゾーゾー/イラワジ

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ヒスイの採掘が始まって以来、かつて森林に覆われていたカジャン村とその一帯は様変わりした。写真: ゾーゾー/イラワジ

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7月の地滑りの惨事によって、付近に住む200人近くの採掘者の命が失われた。写真: ゾーゾー/イラワジ

校正:Mitsuo Sugano [3]