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ウイグルに残る家族の解放を求めて

カテゴリー: トルコ, 中国, デジタル・アクティビズム, 人権, 国際関係, 宗教, 市民メディア, 教育, 検閲, 移住と移民, 言論の自由, 難民

作:エルシャト・アブドゥルエへド 赤いドラゴンとして描かれた中国政府と、伝統的な中央アジアの帽子をかぶり東トルキスタンの独立 [1]運動を象徴する青色のシャツを身につける男性。許可を得て使用。

著者については安全上の理由から匿名としています。

2017年 [2]以降、中国に住むウイグル人コミュニティは、中国政府のさらなる標的となり、無差別に投獄されている。人種や宗教の選別を行う政策のために、ウイグル人の若者で出国が可能な者は中国を離れ、多くはエジプト、トルコ [3]、マレーシアなど他のイスラム教国に亡命している。

中国の西域、 新疆ウイグル自治区 [4]に住む1,100万人のウイグル人 [5]は、イスラム教のテュルク系国家を形成している。習近平国家主席が2012年に権力を握って以降、中国はより一貫して新疆ウイグル自治区に対する弾圧を強めてきた。政府の声明やメディアも含めた中国における主流の論考では、ウイグル人は「母国分離主義者 [6]」あるいは単に「テロリスト [7]」と称され、宗教や移動の自由、さらに母語の使用まで含む最も基本的な人権 [8]を奪われてきた。

ウイグル人への迫害は様々な形で行われてきた。その多くが10年を超す重い判決による投獄、最近では施設への強制収容など、証言や情報源によると、100万人以上のウイグル人 [8]や他のイスラム教徒の少数民族も同様に捕らえられている。収容所の秘密性により、中国政府が「職業訓練センター [9]」と主張する施設の状況は把握するのが困難であるが、数百人 [10]、おそらく数千人がそこで死亡したとされる。さらに詳しい情報については、新疆ウイグル自治区被害者データベース [11]で入手可能である。

グローバル・ボイスはホータン出身の22歳、エルシャト・アブドゥルエへド氏にインタビューを行った。ホータンは新疆ウイグル自治区のタクラマカン砂漠のそばに位置する都市だ。エルシャトは現在難民としてトルコに残ることを余儀なくされ、エルシャトの父と兄は中国にいて、それぞれ18年と10年の判決を受けている。エルシャトはエジプトに留学していたため、中国に戻ることはできないでいる。エジプトは中国当局が「要注意」と見なす26カ国のリスト [12]に入っている国で、幸運にもそれらの国々に旅行したり、そこでビジネスや勉強をすることができたウイグル人は、中国に戻ると尋問され [13]、多くは嫌がらせを受け、時には投獄されたり収容所送りになったりするのである。

インタビューは電話でウイグル語により行われ、短く編集されている。

グローバル・ボイス(以下GV):どうしてエジプトに行こうと決めたのですか?

Ershat Abdul'ehed (EA):?I just wanted to learn more about my religion, Islam. My plan was to study and then go back home. When I went to Egypt for studies in 2015, there was absolutely nothing illegal about doing such a thing. My father Abdul’ehed Jume, accompanied me to Egypt to get settled, and then returned home to Hotan, in Xinjiang, where he was running a successful business selling car parts. My older brother, Abubekir Abdul’ehed, was also working in the family business. In February 2016, Abubekir came to Egypt to visit me for two weeks.??

エルシャト・アブドゥルエヘド(以下EA):私は自分の宗教であるイスラム教について、もっと学びたかったのです。私は勉強して帰国しようと思っていました。エジプトに留学した2015年当時、そのようなことはまったく違法ではなかったのです。父のアブドゥルエヘド・ジュメは私を連れてエジプトに行き、落ち着くと新疆ウイグル自治区のホータンに戻りました。そこで父は車の部品を売る仕事をして成功を収めていました。私の兄アブベキル・アブドゥルエヘドも家の仕事を手伝っていました。2016年2月に兄はエジプトの私を訪ね2週間滞在しました。

GV:彼らに何があったのでしょうか?

EA:?Both got arrested in early 2017, but we never got any information about the reason for that arrest, so I just have my own theory. The only reason I can think of, is that my father is punished for sending me to study in Egypt. And for my brother – that he went to Egypt to visit me. Plus, the Chinese authorities have targeted many wealthy and successful Uyghurs [14] in recent years, and my father is one of them. All my family knows is that both are held in a prison in Urumqi [15] [the capital of Xinjiang region]. We have no news about their health status or about their charges, and I am particularly worried about my brother because just a month before his arrest, he went through kidney surgery.

EA:2人とも2017年の初めに逮捕されました。その理由は何ひとつ情報がないので、推測でしかありませんが、考えうる唯一の理由はこうです。父は私をエジプトに留学させたことで罰せられたのです。兄の場合は私を訪ねてきたことです。さらに、近年中国政府は、裕福で成功しているウイグル人 [14]に目をつけていて、父はそのひとりです。私の家族は皆、2人がウルムチ [16](新疆ウイグル自治区の首都)の拘置所で拘束されていることを知っています。私たちは彼らの健康状態や告訴された理由も何ら聞かされていません。特に兄のことは気がかりです。というのも、兄は逮捕の1か月前に腎臓の手術をしたばかりなのです。

GV:ウイグルに住む家族とはどのように連絡をとっていますか?

EA: I am completely cut off now. My relatives deleted us from their Wechat [17] accounts [the main social media app in China], and in the current situation I am also worried that they will get some kind of retaliation from the authorities if I try to contact them. In June 2017, I moved with my mother and sister, who had been visiting me, from Egypt to Turkey, This is the only family I am in touch with now.?

EA:現在は完全に連絡が取れなくなっています。親戚は彼らのWechat [17](中国の主なソーシャルメディアのアプリ)のアカウントから私たちを削除しました。現状では、もし私が彼らに連絡しようとしたら、彼らが当局から何らかの報復を受けるかもしれないということを心配しています。2017年6月に私を訪ねてきていた母や妹と一緒に、エジプトからトルコに移りました。母と妹だけが、今私が接している唯一の家族です。

GV:トルコでの新しい生活はどうですか?

EA:? Here I am studying sociology, but I find it very hard to perform. Many Uyghur students in Turkey face a similar situation: we are deeply affected by the fact we are being separated from our parents, and are not able to contact them. We are living in a nightmare. We are constantly worried and feel hopelessness. It’s really difficult to focus on our studies in a situation like this. To me, the future looks very dark, and it’s not possible for me to lead a normal life.

EA:ここで私は社会学を学んでいますが、大変困難な面があると感じています。多くのトルコ在住のウイグル人学生が同じような状況にあります。私たちは親から離れていること、さらに彼らと連絡が取れないことに深く影響を受けています。恐ろしい夢の中にいるようです。私たちは絶えず心配で、絶望を感じています。このような状況で勉学に集中するのは本当に難しいです。私にとって未来はとても暗く、あたりまえの日常を取り戻すことができないのです。

作:エルシャト・アブドゥルエへド 中国でのラマダンの祝い。許可を得て使用。

GV:どのような経緯で、ウイグル問題の活動家になろうと決めたのですか?

EA: Following the initial shock and despair after learning about the arrests of my father and my brother, I didn’t know what to do. I just hoped that what really had happened wasn’t true. After two years passed without any news from them, I wanted to make a video testimony for them. But my mother stopped me. She was afraid that I would make the situation worse for them. But by 2020, we still had no news, so she agreed to let me do it. I have since posted some videos. Besides I started drawing caricatures as another way to draw attention.

EA:父と兄の逮捕を知った最初のショックと失望のあと、どうしていいかわかりませんでした。これは現実ではないのではないかと、ただ望みを持っていました。2年が過ぎても彼らから何の知らせもなく、私は2人のために証言の動画を作りたいと思いました。しかし、母に止められました。母はそれによりさらに状況を悪くさせるのではないかと心配していました。しかし2020年になっても、まだ何の情報もなく、母は私のすることに同意してくれました。その後いくつかの動画を投稿しました。さらに注意を引く別の方法として風刺漫画を描き始めました。

YouTubeに投稿された、家族の解放を求めるエルシャトの嘆願動画 [18]のひとつ

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