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ミャンマー軍事政権が抗議運動取材中の日本人ジャーナリストを拘束

カテゴリー: 東アジア, ミャンマー (ビルマ), 日本, 人権, 市民メディア, GV アドボカシー

(訳注:この記事の原文は2022年8月20日に公開されました)

Release Toru Kubota screenshot

東京で行われたデモで、久保田徹さんの釈放を要求するプラカードを掲げる参加者。MizzimaTV YouTube channel [1]からのスクリーンショット。

7月30日、ミャンマーのヤンゴンで、日本のドキュメンタリー制作者でジャーナリストの久保田徹さん [2]が、軍事政権に対する抗議デモを取材中に逮捕された [3]

ミャンマーの軍事独裁政権は、久保田さんを扇動罪とビザおよび入国管理法違反で起訴した [4]。8月16日に裁判 [5]が開始された後、当局は、電子通信に関する法律に違反したとして追加の起訴 [6]を検討していると述べた。

伝えられるところによると、現在久保田さんはミャンマーの悪名高いインセイン [7]刑務所に拘留されている。彼のTwitterアカウント [8]は、拘留以降停止したままだ。これまで、さまざまな団体や個人が久保田さんの即時釈放 [9]を求めてきた。

久保田さんは、以前にYahoo! News Japan、Vice Japan、 Al Jazeera Englishなどの国際メディアで仕事をしてきた [10]。ミャンマーで認められず、迫害されている少数民族ロヒンギャの状況に関するいくつかの [11]ドキュメンタリー作品 [2]も制作している。

2021年2月のクーデター [12]で権力を掌握した後、ミャンマー軍は国内でのニュース報道を規制 [13]した。 これまでに、民主化運動を支持したとして多数のジャーナリストが逮捕されている。久保田さんは軍事政権に逮捕された外国人ジャーナリストとしては5人目。もう一人の日本人ジャーナリストである北角裕樹さん [14]は、2021年5月に釈放されるまで25日間勾留 [15]された。

2021年のミャンマーでの軍事クーデターとその後の弾圧の後、日本政府はミャンマーとの関係を断つことを公表 [16]した。しかし、深いつながりは断ち切れない。 日本企業はミャンマーへの投資 [17]続けて [18]おり、日本はミャンマー軍への訓練を提供し続けている [19]

東京に拠点を置く日本ミャンマー協会 [20]は、軍事独裁政権への投資をし続けている一方で、久保田氏の拘留やその他の人権侵害についてコメントを控えている [16]

国会議員の渡辺博道は8月12日にミャンマーを訪問し [21]軍のトップのミン・アウン・フライン [22]総司令官を初め、国を支配する軍閥のメンバーと会談した。ミン・アウン・フライン [22]は、選挙で選ばれたわけでは無く、政府のトップに座っている。

Facebookの投稿 [23]で、渡辺議員は久保田さんがすぐに釈放されるだろうと楽観視して次のように述べた。

[中略] 今回の訪問の最大の目的は、ミャンマーで拘束されている久保田徹さんの即時解放に向けてミンアウンフライン暫定首相に直談判するためです。
ミャンマーとは、二十数年らいの関わりのある私にとってはじめての大仕事です。暫定首相からは、「近いうちに解放する」「その日時について後日連絡する」とのことでありました。
速やかに解放されることを信じています。
なお、ミャンマーのヤンゴン、ネピドーの現況は平穏な生活を送っているようでした。

しかし、久保田さんに対する起訴の取り下げを求める世論の声が通るかどうかは不明である。 渡辺議員の訪問の後、ミャンマーの軍事政権は再び久保田さんに対する追加の起訴 [6]を検討していると述べた。

久保田さんの制作仲間である内山直樹は、久保田さんの即時釈放を実現するよう日本政府に要請するオンライン請願を開始した [24]。彼はまた、久保田さんのドキュメンタリーが「あるビルマ人の孤独」に焦点を当てていることを明らかにし、それが「政治的扇動」のためということを否定している. 内山の請願 [24]は次のとおりである。

今回の渡航目的は、長年撮影を続けてきたヒューマン・ドキュメンタリーの取材であり、政治的扇動などではありません。久保田は、これまで十数回のミャンマーへの渡航歴・取材経験があり、事前に綿密な計画を立て取材に向かいました。

国際ペンクラブ [25]各国支部の多くは日本の活動に加わり、ミャンマー政府に対し、仕事を遂行しただけで拘束されている久保田氏や他のジャーナリストを釈放するよう要求している。国際ペンクラブの日本センターである日本ペンクラブ [26]会長桐野夏生氏は次のように述べた

私たちは、表現の自由と、ミャンマーの国内外のジャーナリストの保護を求めます。
そして、日本政府及び国際社会に対し、久保田氏の安全を確保するために直ちに行動をとるように強く求めるものであります。

日本では、ミャンマーの軍事独裁政権に対し、久保田さんを支援、釈放を要求するデモが行われている。

 

2022年7月31日に東京の外務省前で行われた集会で、抗議デモの参加者がプラカードを掲げ、ミャンマーで拘束されている日本人、久保田徹さんの釈放を求めている。Philip FONG / AFP
#ToruKubota [27]
#Myanmar [28]

拘束されたジャーナリストへの支持を表明するため、駐日ミャンマー大使館の前で抗議集会 [31]が開かれた。 集会には、久保田さんの友人とジャーナリストの釈放を要求するミャンマー国民が参加した。

独立系メディア グループ Mizzimaによるこのビデオ [32]は、抗議集会のハイライト部分を伝えている。

校正:Moegi Tanaka [33]