ネパール: カミ・リタがエベレスト登頂22回を達成! 世界新記録を更新

カミ・リタ・シェルパ(48)が、史上初のエベレスト最多登頂を達成 写真:掲載許可済

シェルパの登山ガイド、カミ・リタ・シェルパが世界最高峰のエベレスト登頂22回目を達成し、アパ・シェルパとフルバ・タシ・シェルパの21回の記録を抜いた。これは世界新記録である。

ベテランガイドのカミ・リタは、2018年5月15日(火)の夜に9人の中国人登山家たちと頂上に向けアタックを開始し、5月16日(水)の朝、山頂に達した

カミ・リタがシェルパのガイドとして所属するエベレスト登山ツアー会社セブン・サミット・トレックス社が、彼の世界新記録を伝えた

This morning 8:30 AM Kami Rita Sherpa made 22 successful ascents of Mt. Everest as a part of Seven Summit Treks Everest Expedition!

Congratulations to Kami Rita Sherpa!

8:30AM on 16th May 2018(Nepal time), Kami Rita summited the highest peak Everest (8,848m) for 22 times and broke the world record titled “Most ascents of Everest – Male.”

今朝8時30分、カミ・リタ・シェルパは、セブン・サミット・トレックス社が企画したエベレスト・エクスペディションに携わり、22回目のエベレスト登頂に成功した。

カミ・リタ・シェルパおめでとう。

2018年5月16日午前8時30分(ネパール時間)に、カミ・リタは22回目のエベレスト最高地点(8,848m)登頂を達成し「男子エベレスト最多登頂」の世界記録を塗り替えた。

 

シェルパとはチベット系の一民族の名前である。この民族はネパールの険しい山岳地帯の先住民であり、優れた登山技術をもち登山経験も豊富である。しかし、シェルパという言葉は、ネパール人以外の人にとっては、通常、エベレストの山岳地域で山岳ガイドやポーターとして働く人を指す言葉として使われるようになった。

シェルパの仕事は、登山者のために登山ルートを工作すること、必要な場所にロープを固定すること、そして登山に必要なもの一式を担ぎ上げることである。この仕事は危険を伴うが、一シーズンに6000米ドルを稼ぐことができる。この額はネパール人の平均収入をはるかに超えている。ネパール政府は、外国からの登山者にガイドを雇うことを義務付けている

カミ・リタはソルクンブ郡ティーム村出身のシェルパ族である。1994年に初めてエベレスト登頂を果たした。山に取りつかれた登山家たちにとってさえ世界最高峰に登頂するのは、大概一生に一度の過酷な体験であるが、カミ・リタにとっては毎年行われる儀式のようなものとなった。

カミ・リタは、シアトルにあるアルパイン・アセント・インターナショナルという登山ツアー会社でプロの登山ガイドとして長年働いていたが、近年、セブン・サミット・トレックス社に転職した。同社は複数あるネパールの登山ツアー会社の一つであり、定期的にエベレストの登山ガイドを斡旋している。

彼はヒマラヤ山脈にある標高8000mを超える山々のほとんどを踏破している。その中には、K2、チョ・オユー、ローツェ、アンナプルナなどの山がある。

彼は、今回の登頂新記録を達成する前に私に語った。

Summiting Everest? It's just like another daily chore. These days we've technology and weather forecasting service which has made climbing Everest much easier.

エベレストの登頂ですか。毎日やっている仕事と同じようなものです。今は、登山に役立つ技術も普及しているし、気象情報サービスも提供されています。おかげで、エベレスト登山はずいぶんと容易になりました。

カミ・リタだけが注目を浴びているわけではない。同じくネパール人のラクパ・シェルパが、9回目の登頂に成功している。これは、女性のエベレスト登頂世界最多記録であり、自己の世界最多記録を更新している。

現在のところ2018年にエベレスト登頂に成功した他の著名な登山家は、史上初の117日間という記録で七大陸最高峰を踏破したオーストラリア人のスティーブ・プレインと両脚切断の中国人登山家シア・ボーユーである。

しかしながら、カミ・リタは自分の子どもたちにシェルパ・ガイドの職を継がせようとは考えていない。近年エベレストで起こった悲劇がその主な理由である。2014年と2015年にエベレストで起こった雪崩の犠牲になった者の多くは、そこで働くガイドやポーターたちであった。その中にはシェルパの人たちも多く含まれていた。

エベレスト登頂に成功した人は計4000人を超え、延べ登頂回数は7000回以上にも達している。そして、この堂々と聳(そび)える山は毎年、自分の限界に挑もうとする多くの意欲ある人たちを引き付けている。

校正:Mikako Kraviec
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