フランス人がルーマニアへの偏見から自由になるための研究プロジェクト

NewsRoum

Neusroumウェブサイトのバナー(許可を得て掲載)

ほとんどのリンクはフランス語ページ。

ルーマニアのことに関していえばフランスには誤った情報があふれている。そこで、従来ルーマニアについてフランスの主要メディアが語ってきたこととは違う見方を提供するNewsroumの研究プロジェクトでは、この現状に一石を投じたいと考えている。

実際、フランスでは東欧諸国、特にロマコミュニティに関する陳腐な考えに満ちている。以前グローバルボイスで報じられたように、フランス国内のロマコミュニティは、盗人とか社会のルールに従おうとしない輩との汚名を着せられてきた。誤解のないように言うと、ルーマニアとヨーロッパ全域に偏在するロマコミュニティは同じではない。しかし混同されることは日常茶飯事で、偏見により、多くのロマの人々とルーマニア国民が傷ついている。

NewsroumはCELSA(パリ=ソルボンヌ大学の高等情報通信科学学校)が推進する研究プロジェクトである。フランス人がルーマニアをより深く知るための援助を目的としている。5月30日までの11日間、22名のジャーナリズムを専攻する学生がルーマニアの調査を実施した。欧州議会選挙を背景としてルーマニア理解を進めるためである。

この研究プロジェクトでは4つの主要テーマについて、マルチメディアコンテンツと長大な論考から成る研究成果が発表された。テーマはルーマニア市民の日常生活、ルーマニアの経済事情、国土と国境、そして文化遺産と思想の4つである。22人の学生たち全員は首都のブカレストを本拠にルーマニア全土を東から西へと調査した。以下は調査で分かったことの主なポイントである。

Craica村の子供たち(許可を得て掲載)

トランスニストリア(訳注:沿ドニエストル共和国のルーマニア語での呼称)の首都ティラスポリに入ったソフィー・ゴーティエは、ルーマニア系住民と他のコミュニティの間に横たわる潜在的な壁について調査した。さらに、ルーマニア国内に戻りバイア・マーレ市とロマコミュニティとの複雑な関係を調べた。

Les communautés roms ne parlent pas d’une même voix. À Craica, les habitants tiennent à leur campement de fortune, synonyme pour eux de liberté. Dans les logements sociaux d’Horea, certaines familles Roms ne pensent qu’à une chose : réunir l’argent nécessaire pour rejoindre la France.

この地域の人々の人生観について言えば、ロマコミュニティも一枚岩ではない。ルーマニア北部のCraicaには、何があろうとキャンプを離れたくないという人たちがいた。ここはロマの自由の象徴だからだ。北西部Horeaの公営住宅には違う考えの家族もいて、金を貯めてフランスに渡ることを大きな目標にしている。 

別の学生たちは絶大な力を有し、厳然と存在するルーマニア正教会の役割を理解したいと考えた。クレメンス・ルルーは、こうレポートしている。: 

ルーマニア人の救い大聖堂 撮影:クレメンス・ルルー

L’Eglise intervient aussi sur les questions d’éducation. En 2006, elle a notamment réussi à faire supprimer la théorie évolutionniste des manuels de biologie. Sa capacité d’influence s’étend aussi à la politique.

教会は教育問題に発言権を持っていて、2006年には生物の教科書から進化論を外させたこともある。その影響力は政治にも及んでいる。  

一方、ルーマニアメディアの腐敗など、市民社会が日々闘っている問題を取り上げた学生たちがいる。たとえばキャロル・ブランチャードはPungesti村のフラッキングプロジェクト反対闘争についてレポートした。      

Les conséquences écologiques liées à la fracturation hydraulique inquiètent les habitants. La méthode consiste à injecter à haute pression de l’eau et des produits chimiques pour libérer le gaz.

住民が重大な関心を持っているのは、プロジェクトの水圧破砕法が環境にもたらす影響である。この方法が憂慮されるのは、シェールガスを放出するために高圧水と化学物質を注入する工法が含まれているからである。

81歳のGheorghe Munteanu氏は付け加える

Je suis né ici et je mourrai ici. Je veux juste que l’eau reste claire et la terre pure pour mes enfants.

私はこの地で生まれてここで死ぬ。私は水と大地をきれいなまま子供たちに残したいだけなんだ。

「フラッキングはいらない!」 (撮影:キャロル・ブランチャード)

このプロジェクトを知ってもらう機会を増やすため、学生たちはRFIルーマニアなどのラジオ放送に出演したほか、フランスではティミショアラの演劇クルジュ県のアートデザインファクトリーに関する文化イベントを企画した。

校正:Fumio Takeuchi、Yuko Aoyagi
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