昔の人物や場所の様子を伝える画像のおかげで、私たちは世の中がどれほど変化したかに気づく。古写真を見ると、今よりも質素に暮らしていたであろう日々に逆戻りした気分になる。そして、次から次へと現れる色あせた建物の外観や見慣れない服装から、往時の人々の暮らしぶりに思いをはせる。
2016年1月初旬、ニューヨーク公共図書館が18万枚を超えるデジタル資料をパブリックドメインで公開した。利用者はこれらの所蔵資料を無料で閲覧したりダウンロードでき、しかも編集して付加価値をつけたり新たな資料として公開することも可能だ。
アジアや南太平洋地域の写真やスケッチなどのデジタル資料からは、当時植民地だった国々の人々の暮らしぶりが見えてくる。分離独立以前のインド亜大陸の建物や人々の服装を垣間見ることができる貴重な資料なのだ。
インド全土でみられる壮麗で美しい数々の宮殿は、さまざまな時代にその地域を治めていた皇帝が建てたものだ。宮殿なら写真で見たことがあるという人も、写真が普及する前は宮殿がどんな姿をしていたのか気になったことはないだろうか? とにかく見てみよう。
アーグラ城砦(さい)内にあるジャハーンギール宮殿は、ヒンズー建築と中央アジア建築が融合した姿をしている。この宮殿は、ムガル帝国の皇帝アクバルが築いたもので、主にラージプート出身の妻たちの館だった。
デリー市の中心にある赤い城(デリー城)には、1857年までの約200年間ムガル帝国の皇帝が住んでいた。長い年月をかけて増築された城だ。
当時の人々はどのように暮らしていたのだろう。ここに王族とお付きの人たちを描いたスケッチや絵画がある。
また、当時の一般の人々を描いたものもある。
現存する世界初のカメラ写真は1827年のものだ。そのしばらく後に、インドでも写真が撮られるようになった。19世紀に撮られた珍しいインドの写真を紹介しよう。
こちらは当時の儀式や祝い事の様子だ。