(原文記事は2023年10月17日に掲載されました)
10月7日、イスラム抵抗運動(ハマス)がイスラエル領内に奇襲攻撃を仕掛け、1,400人を超える市民を殺害した。これをきっかけに始まったイスラエルのガザ軍事侵攻が続く中、先週末、インドネシアとマレーシアで数千人もの人々が集会を開き、パレスチナ人への支援を表明した。イスラエルはガザ地区を包囲し、230万人を超える地区住民への食料、医薬品、水や電気の供給を遮断。同地区を「前例のない規模の人道的大惨事」(国連ニュース)と言われるまでの状況に陥れている。イスラエル軍はガザで数限りない爆撃を繰り返し、亡くなった人の数は既に2,750人を上回っている。
インドネシアでは、スラカルタやジャカルタをはじめ国中で何千人もの人々が集会を開き、パレスチナの旗を振りながら「パレスチナに自由を」と声を上げた。マレーシアでも首都クアラルンプールで先週末、およそ1万5千人が国立モスクに結集した。この集会は、政治的立場の違いを越えてさまざまな階層から支持を集め、ムヒディン・ヤシン元首相をはじめ政治家も何人か参加した。「たとえ党派は違っても、パレスチナ支持の気持ちは同じだ」とヤシン氏は述べた。
マレーシアの統一政府の一翼を担う民主行動党の青年局長、ケルビン・イー氏もパレスチナ支持を表明した。「私は華人でクリスチャンです。今、私はパレスチナの人々と共にあります。それが人道的立場だからです。パレスチナの人々はイスラエル軍から残忍な仕打ちを受けています」
インドネシアでもマレーシアでもイマームたちは暴虐が一刻も早く終結するよう夜を徹してモスクで祈り続けている。
インドネシアのジョコ・ウィドド(ジョコウィ)大統領は、ガザへの攻撃を厳しく非難し、イスラエル政府に対し虐殺とパレスチナ占領をやめるよう求めた。彼は声明の中でこう述べている。
Indonesia menyerukan agar perang dan kekerasan segera dihentikan untuk menghindari jatuhnya korban jiwa lebih lanjut dan kerusakan harta benda karena eskalasi konflik dapat menimbulkan dampak kemanusiaan yang lebih besar. Akar penyebab konflik yaitu pendudukan tanah Palestina oleh Israel harus segera diselesaikan sesuai dengan parameter yang telah disepakati PBB.
この紛争が拡大すると、ますます大きな人道的危機をまねく恐れがある。インドネシアは、これ以上の人的被害と財物の損壊を回避するため、戦争と暴力を即時停止するよう求める。イスラエルによるパレスチナ占領というこの戦争の根本的な原因を、国連で合意をみている諸条件に従って直ちに解決しなければならない。
また、何百人ものイスラム宗教指導者と支持者もジャカルタの米国大使館の外に集まり、攻撃が続く中でイスラエルをかたくなに擁護し続けるバイデン米大統領を非難し、彼とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相こそ「本当のテロリスト」だと断じた。
インドネシアやマレーシアをはじめ、イスラム人口の多い東南アジア諸国は歴史的にパレスチナを支持してきた。とりわけインドネシアはパレスチナとの友好関係が深く、イスラエルとは歴史的に緊張関係が続いている。インドネシアは、イスラエルとパレスチナ間の和平合意が成立するまではイスラエルを国家として承認しないとしており、イスラエルとの国交関係はない。しかしパレスチナは1945年のインドネシア独立を最初に支持した国のひとつで、30年近くジャカルタに大使館を置いている。
イスラエルとの外交関係がないことから、インドネシアは今、ちょっとした課題に直面している。イスラエルとガザから自国民をいかにして安全に退避させるかという問題だ。報道によると、現時点でインドネシア人はパレスチナに45人いて、そのうち10人はガザ地区にいる。また、聖地巡礼や訪問のためにイスラエル国内各地に230人が滞在している。インドネシア外務省は「安全が確認され次第」その人たちを退避させるよう、フィリピン、アンマン、ベイルート、カイロに置かれたインドネシア大使館と連携をとっていると発表した。
抗議活動はインドネシアとマレーシアだけにとどまらない。ワシントンDCからケープタウン、インドのカシミール地域、パキスタン、アフガニスタン、エジプトまで世界各地で先週、数百もの集会が開催され、何万人もの人々がパレスチナへの支援を訴えた。
Yasuhisa Miyata