ミャンマーのアウンサンスーチーの拘束解除やタイの赤シャツデモ活動は、東南アジアの中で、おそらく2010年のトップ政治ニュースであった。しかしグローバスボイスで特集された重要なニュースは他にもある。2010年を振り返った:
ソーシャルメディア
2010年はフィリピンとミャンマーで選挙年だった。フィリピンでは選挙結果をチェックするために、ミャンマーでは選挙ボイコット運動を広めるために、ソーシャルメディアが効率的に使用された。
ツイッターを通して、フィリピンの人々は9月から「メリークリスマス」の挨拶をし始めた。ブルネイでは自殺未遂がツイッターで中継された。#slashingや#369などのハッシュタグは、シンガポールの非難攻撃で引用された。
マレーシアではブログが国の結束を高めるために使われた。Borneo Coloursは、世界三大島であるボルネオ島中のブログをまとめている。BruneiTweetはブルネイの公的なツイッターアカウントである。シンガポールで設立され、今やインドネシア、フィリピン、インドで活動しているsexxie.tvはインタラクティブな性教育ウェブサイトである。グローバルボイス記者のKeta Haluhaは、フェイスブックで活躍したティモール人達を取り上げた。
東ティモールでは、警官の残虐行為を撮影した映像が、インターネット上にアップロードされた。フィリピン人の家政婦は、在香港フィリピン労働担当大使館員が助けを求めた労働者に対しどのような対応したかを録音した。インドネシアのソニーという名前のブロガーは、 商標権侵害をめぐりソニー社から告訴された。タイのフェイスブックユーザーは、自国の文化省を非難するページを作った。ベトナムのある父親は、行方不明になった自分の娘の救助をネット上で求めた。
グローバルボイスは以下市民メディアにイベントについて報告した:
シンガポールでのTwestival、プノンペンでのBarcamp、ミャンマー初のヤンゴンでのBarcamp、サイゴンでのBarcampとEducamp。
検閲制度
ウェブやメディアの検閲制度は、地域で強化されてきている。報道の自由や表現の自由は、マレーシア、シンガポール、カンボジアのブロガーが積極的に記事にしているトピックである。
インターネットの自由は、カンボジアのインターネットファイアーウォールやタイのサイバースカウトプログラム等、様々な法的措置で規制されている。ネット上では、グローバルボイスを含む、多くのウェブサイトやブログがミャンマーで閲覧不可となっていることが批判されている。どこの政府も若者のモラルを守るために、ウェブ上の有害な内容をブロックしていると言い訳をしている。
メディアの自由を向上させるために、フィリピンでは市民グループが、情報公開法案の設立を推し進めている。一方、インドネシアのネット上では、政府によって作成された抑圧的なインターネット法案が反対されている。
災害
2010年は災害の年でもあった。一番被害がひどかったのは、カンボジアの水祭りでの殺到事故である。
インドネシアは、48時間の間に地震、津波、火山噴火が起きた。洪水被害はインドネシアの西パプア州、シンガポール、タイ、ベトナム、マレーシア北部で発生した。洪水のシンガポールのショッピングエリアを想像してほしい。バンコクでは何週間も水浸しとなった。フィリピンでは7月に水不足が起きた。
シンガポールの人々は、シンガポール、マレーシア、インドネシアで発生したもやに一番悩まされた。また、原油流出はシンガポールの海岸地域を破壊した。
ネット上では、4月に起きたインドネシア、スマトラでの地震の影響が取り上げられた。市民ジャーナリスト達は、火山噴火によって家を追いやられたフィリピン、アルバイ州の避難民の状況を伝えた。
政治
前にも述べたように、二ヶ月政府を停滞させたタイの赤シャツデモが、2010年のトップ政治事件であろう。
何千もの反政府抗議者が首都に押し寄せ、政府の建物を封鎖し、首相の辞任を要求した。抗議者が建物や政府の役員の家に血を撒いたので、まさに血なまぐさい抗議となった。機関が課した検閲があるにも関わらず、抗議者と軍隊のバンコクでの衝突はブロガー達によって書かれた。
東南アジアのもう一つ重大な政治的事件は、スーチーの拘束解除である。今のところ世界の注目は浴びていないようだが、ミャンマーの票を占めているのは、未だ軍を後ろ盾にした党である。ちなみにミャンマーには新しい国旗と名前がある。
カンボジアのクメール・ルージュ政権が消滅し30年以上立った今、初めての有罪判決が、クメール・ルージュの法廷で渡された。カン・ケク・イウ、通称ダック、の非人道的犯罪に対する有罪判決は、国際的に重大ニュースとなった。
またラオスではクラスター弾に関する条約が開かれ、ラオスは最も被害にあった国であるという事実が強調された。
インドネシアでのオバマ大統領の帰郷スピーチは、多くのインドネシアの人々を感動させた。ネット上で活発に取り上げられたもう一つのスピーチは、インドネシアの大統領の独立記念日でのスピーチであった。
マレーシア−インドネシア間の領海問題は、この地域の数ある国境争いの一つである。フィリピンは香港に対し、9人の香港の観光客がバスの人質事件で殺されたことを謝罪した。
ウィキリークスは、この地域の政治について面白いゴシップを提供した。シンガポールのリー・クアンユーは北朝鮮人を肥満男に独裁された精神病人間だと言った。シンガポールの別の上級外交官も隣国のリーダー達のことをあからさまな悪い言葉で言っている。思った通り、シンガポールはウィキリークスの暴露を、単なるカクテルトークだと一蹴した。
マレーシアは、もともとイランのためだったミサイル技術を中国から購入したことを否定した。タイから漏れた情報は、Viktor Bout事件に関する国際的圧力を暴いた。Boutは世界トップレベルの武器密輸業者との理由で告発されている。
ウィキリークスをまねたThaileaks、Indoleaks、Pinoyleaksなどが出現した。
経済
マレーシアは2010年に、新しい経済モデルを立ち上げた。2011年の国の予算、特に新しいメガタワーを建設する計画について首相が発表すると、ブロガー達は強く反発した。
シンガポールでは、最低賃金法を課すべきかをめぐり、熱い議論がされている。インドネシアの銀行救済は、政治的に議論を巻き起こしている。ラオスとフィリピンでは新しい紙幣が発行されたが、一部の評論家は不満を持っている。
スポーツ
この地域のサッカーのブログはグローバルボイスで何度か取り上げられた。ASEANサッカー選手権、特に決勝のマレーシア対インドネシア戦は話題となった。カンボジアとミャンマーのブロガーは、ワールドカップについていろいろと面白いコメントを書いた。
宗教
マレーシアとインドネシアではキリスト教会が攻撃された。教会のリーダー達も攻撃された。カンボジアでは僧侶の品行方正が疑問視された。シンガポールのある牧師は、道教や仏教の教えを嘲笑した。また、ブルネイのイスラム教徒のラマダンの祝い方が取り上げられた。タイでは、バンコクの仏教寺院で二千体以上の胎児の遺体が見つかるというショッキングな事件があった。
教育
教育予算の削減で、フィリピンの学生達は公立大学でストライキを打った。性教育を学校のカリキュラムに含めるという提案が、インターネット上で議論の的となった。
マレーシアでは、初等教育で二つの試験を廃止する等、教育改革が施行された。また、医者と研修医の定員過剰により、医大プログラムは一時休止となった。
ジェンダー
フィリピンの政治グループは更新制結婚法を提案した。また、マレーシアでは幼な妻問題が取り上げられた。
カンボジアで初めて作られた女性のためのウェブポータルはオンラインコミュニティーで温かく受け入れられた。インドネシアの女性起業家への援助はますます増えている。ブルネイのブロガー達は乳癌に対する意識を高めた。
LGBTコミュニティーと連携したシンガポールのPink Dotのイベントは成功をおさめた。カンボジアのブロガー達はLGBTの問題についてオープンに議論した。
マレーシアの三人の女性は、不純な性行為によりむち打ちの刑を受けた。フィリピンのフライトアテンダントの踊りが性差別的だと非難された。
その他のグローバルボイスでの話題
フィリピンの2007年の踊る囚人達は、今年は変わって踊る収税官となった。東南アジアで人気のドリアンは、フルーツの王様である。シンガポールの食べ物ブロガーは食べ物を無料でもらうべきか?
このブルネイの「アイムソーリー」のビデオは多くの人によって視聴された。インドネシアの選挙ラリーでは水牛が禁止された。公共物破壊の罪により、スイス人がシンガポールでむち打ちの刑を受けた。
マレーシアのやし油製造は、エネルギー問題だけではない。マレーシアでは歴史的な刑務所が解体された。カンボジアでの抗議活動は自由公園でのみ許可された。ハノイでは建国1000年記念が祝われた。
グローバルボイスの東南アジアチームを代表して、2010年を支えてくれた私達の読者に感謝します。これからもこの地域に関した素晴らしい市民メディアの話題を取り上げて行きたいと思います。2011年も良い年になりますように。