セントルシア:バナナが再生可能エネルギー源?

2011年に、バイオ燃料の生成にバナナを使用するという一つの投稿がブログ上に載った。この投稿に刺激を受けたデーン・ギブソンは、カリブの小国セントルシアの再生可能エネルギーに関していくつかの質問をした。

「バナナの力」という投稿記事の中で、Laura Ecoはエネルギー事業計画の概要を明らかにした。

この事業はApplied Renewables Caribbeanが、実施することになっている。その事業目的は、セントルシアのバナナ取引で発生する廃棄物を利用し、環境にやさしいエネルギーを生産しようとするものである。同時に、 バナナの収穫で生じる廃棄物を売却できるので、地域のバナナ生産者の収入を補うことが可能になる。

Banana tree

再生可能エネルギー源となるバナナの木?

撮影: MrTopher Flickr (CC BY-NC-ND 2.0)

デーン・ギブソンは2012年10月13日、St Lucians Aiming for Progress(S.L.A.P セントルシアの向上を目指す)というフェイスブックに下記の質問を投稿した。

アンソニー首相が最近語ったところによると、多くの人が首相の下へ再生可能エネルギーに関する取り組みについてプレゼンにやって来たとのことです。その後、政府は、セントルシアの代替エネルギーを検討する際に、どのような段階を踏んで、フォローアプをし、また評価をしてきたのですか。また、政府はどのような段階を踏んで電気料金の不安定さを抑制し、海外の投資家にとって我が国が魅力的存在になるようにしようとしているのですか。ヘス製油所の閉鎖が計画されてますが、同製油所の一部をある種の再生可能エネルギー施設に変更することを検討する見通しはありますか。見たところ、セントルシアにとって、目新しいものはなにも示されていませんが。国家の命の血流を再び送り込む方策を探るために、ほんの少しだけでも何かお示しいただけませんか。

 

エネルギー科学技術大臣のジミー・フレッチャーはギブソンへの返信で、まず、ブログへの投稿の中で引き合いに出された会社、Applied Renewables Caribbeanの業務について言及した。

エネルギー科学技術省は、ケン・アルドンザ氏(Applied Renewables Caribbeanの責任者)と協力して、この素晴らしい構想を進めています。私は4か月ほど前、ビュー・フォートにある同氏のプラントを見学しました。それ以降、エネルギー科学技術省は、アルドンザ氏と協働で、このプロジェクトへの更なる追加予算の確保に努めてきました。また、エネルギー大臣としての私は、セントルシア開発公団(National Development Corporation:NDC) に手紙を送り、ケン・アルドンザが彼の事業所をもっと広く便利な場所に移行できるよう、同公団の空いている工場建屋の一つを彼に無料または安く貸し付けてもらうよう要請しました。

フレッチャー大臣は、政府が再生可能エネルギー分野の拡大に努めていることを断言し、また、その進捗状況を報告すると約束した。

いずれ近い将来、政府は、再生可能エネルギーの開発やエネルギー効率の高い設備装置の利用促進に向けて、どのような措置をとってきたか、更に詳細な情報をお示しします。ですから、ご安心ください、セントルシアでは、エネルギー源としての化石燃料への依存を減らし、最終的には電力料金を削減するために様々なことが進行中なのです。

Nadia Cauzabonはフェイスブックのコメントで、政府は農家がバイオガスを代替燃料として使えるよな方策を検討すべきだと提案した

豚糞力:2つのタイプの低価格バイオガス発生装置が、セントルシアのスフレ、デナリ―、ラボリー、ビュー・フォートおよび ミクッドに試験的に導入されました。発生したガスは農場で使う電気を発電するのに使われていますし、ガス配管網に移送されています。また、照明や調理用やバナナの熟成にさえ使われています。 ジミー・フレッチャー大臣様、既にガス発生装置を設置済の農家が、ガスを発電に利用できるよう、国は彼らに援助の手を差し伸べて頂きたいと思います。

彼女は、家庭でバイオガスを使う可能性についても触れている。

国は、家庭でガス発生装置を使用することも検討してみてはどうでしょうか。カリブ地域にはノウハウがあります。例えば、ジャマイカではCASE(アグリカルチャー・サイエンス・アンド・エデュケーション大学( College of Agriculture, Scince and Education)が男子校の浄化槽をガス発生装置に転換しました。そして、そこで発生したガスは調理に使われました。また、1990年代のGTZプロジェクトでは、鋼鉄製のドーム型ガス発生装置が試験的に導入されました。ボアドランジュに住んでいるある農家はそこで発生するガスを自宅で調理用に使っていました。この農家では,ここ2年,ガス発生装置を解体したので,15年ぶりに調理用のガスボンベを買うことになりました。

Cauzabonはまた政府に対し,農業が住民の健康に害をもたらさないよう,必要な措置を取って欲しいと要請した。

貴省および農業省はセントルシア内にある水路の浄化策として、全ての養豚/家畜農家に対して、消化装置やコンポスト施設の設置またはその他の何らかの廃棄物管理策を講ずるよう義務付けることをお願いいたします。いくつかの川では糞便性バクテリアの数が異常に多く、地域住民に著しい健康上の危険をもたらしています。ある地域では胃腸系の疾病といった現実の問題を抱えています。この問題は間違いなく、飲料水の水質の悪さと直接関連しているのです。

Cauzabonへの回答で、フレッチャー大臣は廃棄物管理の分野で大きな進捗が見られなかったことに遺憾の意を表した

Nadia様、バイオガス発生装置の分野で大きな進捗を見なかったことは残念なことです。1990年代に、私が農業省研究開発部に勤務していたころは、バイオガス発生装置及び太陽熱乾燥機の両分野に多くの関心が寄せられていました。そしてその技術を向上させようと、この分野でかなりの数の研究が進められていました。1990年代のGTZプロジェクトまた 西インド諸島大学 (University of the West Indies , UWI)の Clem Sankat教授その他による太陽熱乾燥機に関する研究を記憶しています。2年前、私は東カリブ海諸国機構(OECS)に勤務していましたが、その時国際連合工業開発機関(UNIDO)とセントルシア国内での太陽熱乾燥機製作支援に関する話し合いを始めました。つまり、あなたのおっしゃる通り、再生可能エネルギー/持続可能エネルギーに関して、あらゆる実用的な活用策を研究することが必要であり、また、これらの技術を取り入れるための支援を行うことも必要だということです。バイオガス発生装置については、全くあなたのおっしゃる通りです。この装置は、農場から発生する廃棄物の管理という厄介な問題の解消に向けて明確な効果をもたらしてくれました。

バイオ燃料の開発に関して明るい可能性が示されているものの、その一方でJana Augusteはその持続可能性について懸念を示している

私は、セントルシアに再生可能エネルギー構想があることに感激を覚える一方、持続可能事業として、食物をバイオ燃料の原料として使うことに対する懸念を払拭できません。その理由は明らかだと思いますが…、土地使用、費用などです。

元農業大臣Ignatius Jeanもまたこの構想の可能性に関して、何点かの疑問を呈している。

良い考えです。しかし、バナナはもう「金のなる木」ではなくなったのに、メタンを生産するからといって、どのような提案によって,元バナナ生産者をもう一度バナナ栽培に引き戻そうとしているのでしょうか。バナナやその付随物を利用したとしても、それを利用したエネルギー生産プラントからどれだけの利益を上げることができるのでしょうか。この構想は空想的なロマンチズムではありません。LUCELECの現有発電能力は66Kw以上です。この新しい構想による発電の目標見積り電力量はどのくらいなのでしょうか。

Jana Augusteとほぼ同じく、Jeanはバイオ燃料が持続的に生産される可能性に対して否定的見解を示し、他の再生可能エネルギー源の方が望ましいと見ている。

バナナ生産のコスト高、それに伴う必然的かつ付随的リスク、および「生産効率の低さ」を考慮すると、地熱発電、ソーラー発電および風力発電の方がもっと、もっと可能性があると信じています。

校正:Sadako Jin

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