イスラエルがガザ地区に攻撃を開始して以来、病院8軒と医院9軒、救急車14台が爆撃を受けた。全長40キロの狭い沿岸地帯に人口が密集するガザ地区。180万人のパレスチナ人が住むそこを、英国のキャメロン首相は「天井のない監獄」と呼んだ。
ガザの保健省によると、この20日間の(原文掲載日は2014年7月27日)死者千人のうち4人が、また負傷者6千人のうち14人が医療従事者である。
イスラエルの軍用機や戦車は住宅地や学校、避難所なども攻撃している。国連の推測では、死者のうち74%以上が民間人と見られている。
爆撃の脅威のもと、バセル・アブワード(Bassel Abuward)やベラル(Belal)、サイード・カナファーニー(Saeed Kanafany)やマッズ・ギルバート(Mads Gilbert)といった医師らは、ガザ最大のアル・シファ病院で奇跡の治療を行い続けている。
Just Now in Gaza, a baby born from dead mother who has been killed by Israeli army A LIFE FROM DEATH #GazaUnderAttack pic.twitter.com/0bAEKynrd4
— Dr.Bassel Abuwarda (@DrBasselAbuward) July 25, 2014
たった今、ガザで、イスラエル軍に殺害された妊婦の遺体から赤ちゃんが誕生した。死より出ずる命。
何百人もの民間人がアル・シファ病院に助けを求めている。国連の6月20日のガザ報告書にはこう説明されている。
The situation could not be more dire for the collapsed health sector in Gaza, with this latest conflict only adding to the burden on overwhelmed doctors and medical staff.
This is the third war in five and a half years endured by the people of Gaza. As with previous conflicts, there is nowhere for women, men and children to escape to. The Strip is densely populated and the seven-year Israeli-imposed blockade means that people’s movement to and from Gaza remains virtually banned.
ガザの医療体制の崩壊により、状況はこの上なく切迫している。今回の戦闘により、激務に圧倒される医師や医療スタッフは、さらに重荷を負うことになる。
ガザの人々が戦争に耐えるのは、この5年半で今回が3回目になる。これまでの戦争と同様、男も女も子どもも逃げる場所はない。ガザの細い地帯には人口が密集しているが、イスラエルにより7年にわたり強制的に封鎖されている。つまり人々は事実上、ガザ地区から出ることも入ることも禁じられた状態にある。
アル・シファ病院は過密状態で、医師らは途方もない悲劇を目の当たりにしている。緊急救命室では、一つのベッドに何人も寝かされ処置を受ける。ハイリスクな新生児が専門的治療を受けられず死んでいく。
Israel is trying to destroy #Gaza future by killing most of our children & making the rest disabled #GazaUnderAttack pic.twitter.com/KlP3BPJMBJ
— Dr.Bassel Abuwarda (@DrBasselAbuward) July 24, 2014
イスラエルはガザの未来を打ち砕こうとしている。我らの子どもたちをほとんど殺し、生き残った子に障害を負わせて。
ガザで一番人口の密集した住宅地、シェジャイヤ地区が狙われた攻撃で、流血の惨事が起きたある日、NBCの特派員がアル・シファ病院からこうツイートした。
In 13 years, I have never seen or smelt death the way I have seen and smelt it on bodies dragged from Shejaiya into the Shifa morgue today
— Ayman Mohyeldin (@AymanM) July 26, 2014
13年間、人の死もその臭いも経験してきたが。シェジャイヤ地区から今日アル・シファの安置所に運び込まれた遺体のような悲惨な死は、見たこともないし臭いを嗅いだこともない。
医師らは人命救助するだけでなく、ガザの悲劇の規模を世界に伝えている。シフトの合い間に緊急救命室で起きたことをツイートしたり、職場と家の往復の間に目にした破壊の光景をツイートしている。
ベラル医師(@BelalMd12)
ブロガーでもあるベラル医師は@Belalmd12というアカウントで、シフトの合い間に、爆撃の下でツイッター投稿してきた。また米国の独立TV放送の番組Democracy Now(民主主義は今)にも出演しており、さらにエレクトロニック・インティファーダ(電子版の蜂起)というサイトにも胸の痛む話を投稿している。これはパレスチナとその人民に注目するオンラインニュースサイトである。
Dozens of people arrived to Gaza City’s al-Shifa hospital, where I was on shift that night. Some arrived torn to pieces, some beheaded, some disfigured beyond recognition, although still alive and breathing […] The medical staff were lucky to get a break of less than half an hour. Some spent it watching the flares and bombs Israel was raining on the eastern neighborhoods of Gaza City, while others refueled with coffee or lay down for a few moments.
私が夜勤についていたガザ市街のアル・シファ病院に、数十人が運び込まれた。バラバラに引き裂かれた人、頭部のない人、人の原形をとどめないけれどもまだ息のある人もいる。[…]医療スタッフは30分も休憩できればいいほうだ。コーヒーで栄養補給したり、ほんの少し横になるスタッフもいるが、イスラエル軍の閃光と爆撃がガザ市東部の居住区に降り注いでいるのを、眺めて過ごす者もいる。
以下は彼のツイートより。
My shift ended as of 9 am and I am free to tweet as much as I desire, as long as I am still alive of course.
— Belal – Gaza (@Belalmd12) July 24, 2014
朝9時に勤務終了したから、好きなだけ際限なくツイートできる。命があればの話だけど、もちろん。
A casualty arrives at the hospital. The doctor discovers it's his martyred son. He takes one last photo. #Gaza pic.twitter.com/naBiWJhrzx
— Belal – Gaza (@Belalmd12) July 25, 2014
犠牲者が一人、病院に運び込まれる。医師が見ると、それは殉死した我が子だった。写真を1枚、最後に撮る。
They tell them to evacuate, and they target them when they do. Israel has just targeted a UNRWA school where people were taking shelter.
— Belal – Gaza (@Belalmd12) July 24, 2014
避難しろと言っておいて避難先を狙うのか。イスラエルはUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)の学校を狙った。人々の避難所に使われていたところだ。
IDF spokesperson brags, says 120 bombs fell on Alshujaeya, each one of them weighing 1 ton of ezplosives. Save that tweet for ICC.
— Belal – Gaza (@Belalmd12) July 23, 2014
IDF(イスラエル国防軍)の広報官が、アルシュジャイヤに落とされた120発の爆弾は1発あたり1トンの爆薬だったと自慢げに言う。その発言はICC(国際刑事裁判所)のために取っておくがいい。
Red Cross bailed on people and stopped responding to their phone numbers. What are you here for then? Organizing picnics? #GazaUnderAttack
— Belal – Gaza (@Belalmd12) July 20, 2014
赤十字は人々を見捨て、電話対応を打ち切った。それなら何のためにここに居るんだ? ピクニックを計画するためか?
パレスチナ人の少年4人が海岸で遊んでいて、イスラエルの高性能ミサイルで撃ち殺された。その際のツイート。
8 of their few years on this earth were lived under siege. They never had a chance to see the world; the world never cared or waited.
— Belal – Gaza (@Belalmd12) July 16, 2014
彼らがこの地上に生きていた数少ない年月のうち、8年は包囲攻撃下にあった。彼らには世界を見る機会が一度もなかった。世界は気にもかけず、彼らを待ってやることもなかった。
This is Beit Hanoun hospital, it had the same fate as European Gaza hospital, Al-Aqsa hospital and Al-Durra hospital. pic.twitter.com/5prKX22ezf
— Belal – Gaza (@Belalmd12) July 26, 2014
これはベイト・ハヌーン病院。ヨーロピアン・ガザ病院、アル・アクサ病院、アル・ドゥッラ病院と同じ運命をたどった。
バセル・アブワード医師(@DrBasselAbuward)
バセル・アブワード医師は、病院やガザ周辺の荒廃ぶりの写真をツイートし、また、世界中の連帯や支援のメッセージをリツイートしてきた。
Thousands of people demonstrated for #Gaza on the streets of Chicago today Thank u #GazaUnderAttack #ICC4Israel pic.twitter.com/OoX8lt5F0w
— Dr.Bassel Abuwarda (@DrBasselAbuward) July 27, 2014
シカゴで今日、何千人もがガザのために街頭デモをしてくれた。ありがとう。#ガザ攻撃 #イスラエルを国際刑事裁判所に
I remember being shocked by Syria's devastation. What I saw today in Gaza was virtually indistinguishable #ICC4Israel pic.twitter.com/rUHCETbGsh
— Dr.Bassel Abuwarda (@DrBasselAbuward) July 26, 2014
以前、シリアの荒廃ぶりにショックを受けたことがある。現在のガザの光景は、実際それと見分けがつかない。
A father & his son went to check their house and found this!!!! This picture worths a thousand words #GazaUnderAttack pic.twitter.com/75kTd458tU
— Dr.Bassel Abuwarda (@DrBasselAbuward) July 26, 2014
父と子が家の様子を見に戻ってみたら、こんなことに! この写真は言葉を費やすより多くを語る。
The WORST experience in my life was: to tell a mother looking for her children that they r all DEAD #GazaUnderAttack pic.twitter.com/Djvhogbn2w
— Dr.Bassel Abuwarda (@DrBasselAbuward) July 25, 2014
私の人生で最悪の体験。子どもたちを探しに来た母親に、全員亡くなったと伝えねばならなかった。
AlDurrah Children's Hospital in #Gaza severely damaged by nearby airstrike Yesterday 30injured,1dead #GazaUnderAttack pic.twitter.com/llCtCsFHva
— Dr.Bassel Abuwarda (@DrBasselAbuward) July 25, 2014
ひどい被害を受けたガザのアル・ドゥッラこども病院。昨日すぐ近くに空爆があり、30人が負傷、1人が死亡した。
Due to the high numbers of injuries, more than one patients r treated on the same bed CHILDREN again #GazaUnderAttack pic.twitter.com/26XV6TCHZJ
— Dr.Bassel Abuwarda (@DrBasselAbuward) July 25, 2014
負傷者が多過ぎるため、ひとつのベッドで複数の患者が手当てを受ける。またもや子どもたちが。
サイード・カナファーニー医師(@DrSaeedKanafany)
サイード・カナファーニー医師は、医療専門家が耐え忍んでいる悲劇や現実についてツイッター投稿してきた。
Paramedic martyr Mohammed Al Abadlah now between God hands :( As i said all red lines are crossed #GazaUnderAttack pic.twitter.com/RiMo7hRzTg
— saeed (@drsaeedkanafany) July 25, 2014
殉職した救急医療隊員Mohammed Al Abadlahは今、神の御手に(-_-)。言ったとおりだ、完全に人道上の一線を越えている。
Beit Hanoun Hospital under attack now. Israel cross all red lines even the Hospitals #SupportGaza #AJAGAZA
— saeed (@drsaeedkanafany) July 25, 2014
今、ベイト・ハヌーン病院が攻撃されている。病院まで狙うとは、イスラエルは完全に、人としての道を踏み外した。
This is how doctors in Gaza drink water #GazaUnderAttack #SupportGaza pic.twitter.com/Aqv5HcDIxk
— saeed (@drsaeedkanafany) July 25, 2014
これが、ガザの医者の水の飲み方だ。
米国は毎年イスラエルに、約31億ドルの軍事援助を行っている。イスラエル軍がガザ地区で破壊的致死的な攻撃を始めるたびに(今回のは6年間で3度目)、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)という米国出資の人道機関が後始末をしている。
マッズ・フレデリック・ギルバート医師
ノルウェー人のマッズ・フレデリック・ギルバート医師は、バセルやベラル、サイード医師と共にアル・シファ病院で働いている。彼は7月17日、オバマ大統領に公開状を出した。それはその後バイラル化し、多くのサイトに転載された。
‘Mr. Obama – do you have a heart?
I invite you – spend one night – just one night – with us in Shifa. Disguised as a cleaner, maybe.
I am convinced, 100%, it would change history.
Nobody with a heart AND power could ever walk away from a night in Shifa without being determined to end the slaughter of the Palestinian people.
オバマ大統領殿 あなたに心はありますか?
あなたを一晩ご招待しましょう。たった一晩でいいですから、私たちとシファ病院でお過ごし下さい。清掃作業員にでも変装して。
100%間違いなく、それで歴史が変わるでしょう。
心を持ち、かつ権力もある人が、もしシファ病院で一晩過ごしたなら、このパレスチナ人の大虐殺に終止符を打つ決意をせずには、歩み去ることはできないでしょうから。