トルコ:レイハンル爆破事件、報道禁止令と狙われるシリア難民

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2013年5月11日、シリアとの国境に位置するトルコの小さな町レイハンルテロ事件が発生した。これはトルコ共和国90年の歴史の中でも最悪のテロ事件である。この爆発の後、治安部隊は9人を拘束したトルコ政府の発表によると、爆破には2台の車が使われ、50人以上が死亡、少なくとも100人が負傷したという。しかしソーシャルメディアでは、犠牲者の本当の数は100人以上にのぼると噂されていた。

Twitterユーザーのshiny(@Idauk)は、こうツイートしている[Tr]。

@Idauk Simdi Antakya'dan arkadasimla konustum.Olu sayisi 100'un uzerinde diyor.Reyhanli'da fiili sokaga cikma yasagi varmis.Hastahaneler perisan.

さっき、アンタキヤの友人から話を聞いた。友人によると、犠牲者の数は100人を超えるらしい。夜間外出禁止令も出ている。病院はどこも大変なことになっているそうだ。

爆発の直後、トルコ政府はレイハンルの爆破事件について報道禁止令を出した。これに対してソーシャルメディアは大きな反応を示した。Twitterユーザーのdenizatam (@denizatam)は次のように記している。

@denizatam AKP çareyi buldu, Reyhanlı için yayın yasağı başladı! Ana akım medya yetmedi yerel basını sustur şimdi. http://haber.sol.org.tr/devlet-ve-siyaset/akp-careyi-buldu-reyhanli-icin-yayin-yasagi-basladi-haberi-72848 …

AKP(公正発展党)が解決策を見つけたぞ。レイハンル爆破事件に対し報道禁止令が発令された! 主要メディアだけでなく、今度は地元メディアをも黙らせるつもりだ。

ジャーナリストたちは報道禁止令に抗議をした。テレビのTürkmaxチャンネルは、お笑い番組「Heberler」(訳注:トルコ語でニュースを意味する「Haberler」をもじった語)で報道禁止令に対し皮肉たっぷりに反対の意思を表明した。番組では、ニュースキャスターがレイハンル爆破事件のニュースを読み始めようとしている。しかし報道禁止令のせいで話すことができない。動画はこちら[tr]。

報道禁止された爆破事件についてのグラフィックアート(bobiler.org)

報道禁止された爆破事件についてのグラフィックアート(bobiler.org)


トルコのグラフィックアートとデザインの口コミサイト、bobiler.org[tr]は、報道禁止令に関する画像を掲載した。トルコのマスコミは通常の番組を続けるばかりで、レイハンル爆破事件について触れようとしなかったため、ユーザーのbrewolve[tr]はレイハンル爆破事件に対するトルコ・メディアの反応をグラフィックアートにした。画像はここで見られる。

トルコの裁判所によって報道禁止令は解除されたが、5月16日、禁止令は目的を達成したと主張するビデオがYouTubeに投稿された。このビデオ[tr]では、あるジャーナリストが「レイハンルをどう思いますか?」と何人かの人々に街頭インタビューをしている。それに対する答えは衝撃的だ。ビデオが撮影されたのは爆破事件のわずか5日後だというのに、爆破事件を知っていたのはたった1人、どこにある町か分かった人が2~3人、残りの人たちはレイハンルがどこにあるかも、何があったかも知らなかった。これがそのビデオ映像だ。

シリア難民に対して人種差別的な攻撃が行われているという報告[tr]もある。シリア騒乱が起きて、シリア難民と過激派はシリアとトルコの国境の都市アンタキヤ[ja]や、同じく国境の町レイハンルへと逃れた。アンタキヤに難民と過激派が流入してからというもの、地元民とシリア人との間で緊張感が高まっている。報告内容には次のように記されている。

“Suriyelilerin yaşadığı binalara topluca gidilmiş birçok ev yakılmaya çalışılmış, ele geçirilen kişiler darp edilmişlerdir. Aşırı milliyetçi/ulusalcı eğilimlere sahip partilere mensup fanatiklerinden olduğu söylenen ve her geçen gün sayıları artmakta olan bu gurup, yaşanan gelişmelerden Suriyelileri sorumlu tutmakta, Reyhanlı ilçe merkezinde devriye gezerek sıklıkla yol kesmekte, Suriyeli veya Suriye vatandaşı olduğunu zannettikleri kişileri linç etmeye çalışmaktadırlar”

ある集団がシリア人の住んでいる建物へ向かい、住人たちを捕まえて殴打した。前述したように、この集団は超国粋主義政党のメンバーで、その数は増加傾向にある。爆破事件はシリア人のしわざだと言って、レイハンルの中心街をパトロールし、シリア人やシリア人に見える人たちを襲撃している。

レイハンルにおけるシリア人への攻撃に対して、トルコ人はソーシャルメディアで様々な反応を見せている。

TwitterユーザーのT.C. Zehra Aydogan (@TurkKizi1919)はアンタキヤのシリア人に憤る。

@TurkKizi1919 Turkiye'ye yerlestirilmeye calistiklari Suriyeli Multeci dedikleri terorsitlerdir.

トルコに住みたがってるシリア難民ってやつらは、実はテロリストなんだ。

別のTwitterユーザーT.C.Devrim #ATATÜRK (@saadet_karakus)は、地元民を助けずにシリア難民を援助している政府に対して怒りを感じている。

@saadet_karakus Suriyeli multeci icin milyar dolar harcayanlar,Reyhanlı esnafının vergi, sigorta borçlarını 1 yıl erteliyor.Silsene o borcu buyuk devlet!

シリア難民に何十億ドルと費やしてるっていうのに、レイハンルの商店主の借金返済延長は1年間。借金なんて帳消しにしてやりなよ、お偉い役人さん!

Sami Pelitli (@SamiPelitli)もTwitterでつぶやいた。

@SamiPelitli Reyhanli'da patlayan bomba yuzunden multecileri suclamak, onlara saldirmak nasil bir vicdansizliktir? Bir de irkci degiliz dersiniz.

なんてひどいことを。レイハンルの爆破事件を難民のせいにして攻撃するなんて。それでも人種差別はしていないと言うのですか。

ジャーナリストのHayko Bağdat (@haykobagdat)は以下のようにツイートした。

@haykobagdat ÖSO, cemaat, AKP'li filanlı olmaktan değil, tehcirin ne olduğunu bildiğimden Suriyeli mültecilere toz kondurmuyorum ben.

私がシリア難民を擁護するのは、移住してきた理由を知っているからだ。FSA(自由シリア軍)やAKP(公正発展党)など特定の団体を私が支持しているからではない。

何十人もの人が亡くなり、たくさんの建物が倒壊した国境の町。しかし、その後もレイハンルでは生活が続いている。TwitterユーザーのBünyamin Salmanyan (@bunyms)は、レイハンル爆破事件で殺されたMustafa Ayaz[tr]のことが忘れられない。

@bunyms Reyhanlı'daki saldırıda hayatını kaybeden 25 yaşındaki Mustafa Ayaz'ın eşi bugün doğum yapmış, adını Mustafa koymuşlar..

25歳のMustafa Ayazはあの爆発で殺された。今日、彼の妻が息子を出産した。子どもはMustafaと名付けられた……。

校正:Takuya Oshige

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