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タジキスタン:憲法改正は大統領一族のため?

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エマムアリ・ラフモンとその一族(画像:ウィキペディア)

エマムアリ・ラフモン大統領とその一族(画像:ウィキペディア)

来たる5月22日、タジキスタンではラフモン家に対する国民投票が行われる。ラフモン一族の統治は、20年以上に及ぶ。その間、タジキスタンの経済は機能不全に陥り、汚職が拡大し、政治的抑圧も行われた。

そして今回の国民投票に関しても、ラフモン家の望み通りに運ぶことがほぼ確実とみられている。

1991年のソ連崩壊によって分離・独立した15カ国の中で、タジキスタンは最貧国である。

独立直後、同国は5年間の内戦に陥った。その中で決定的な政治勢力として台頭したのが、エマムアリ・ラフモンを中心とする現大統領一派である。

国の指導者

現在63歳のラフモン大統領は、国民から、1979年のイラン革命で倒されたイラン国王に例えられることがある。タジキスタンで90%を超える人々が信仰するイスラム教に対して、厳しい視線を向けているためだ。

5月に投票が予定されている憲法の改正案は、宗教を基盤とする政党の設立を禁止するほか、「和平と国民統一を成し遂げた国家指導者」は何度でも大統領に立候補できるという条項も含んでいる。

昨年12月、ラフモン大統領は「国家指導者」の称号を議会から与えられた。

その議場では、シュクルジョン・ズフロフ下院議員が次のような演説を行った

“Этот закон не нужен президенту Эмомали Рахмону, он нужен нам, народу, чтобы закрепить взятый им курс, нацеленный на мир и процветание. Принятый документ – это дань уважения трудам и заслугам великого сына страны. Эмомали Рахмон – спаситель нации, объединивший таджикский народ после тысячелетнего разобщения. Он спас и возродил таджикскую нацию. История услышала боль народа и подарила ему смелого, заботливого, честного, любящего и миролюбивого руководителя, лидера”

この法は、エマムアリ・ラフモン大統領のためのものではない。平和と繁栄を目指す大統領の針路を確固たるものにするため、我々国民が必要としているのだ。承認された改正案は、数々の偉業を成し遂げた、我が国の英雄への賛辞である。国家の救世主、エマムアリ・ラフモンは、千年前から分断されてきたタジキスタンの国民を統一した。彼がタジキスタンを救い、復興させたのだ。我々の苦悩は歳月に報われ、勇敢で慈悲深く、誠実で慈愛に満ちた、平和を愛する指導者が授けられたのだ。

事実、「国家指導者」という地位によって、ラフモン大統領とその一族は刑事免責を与えられた。特筆すべきは、財産の不可侵が認められ、大統領退任後も保障されることである。

RFE/RL(ラジオ・フリー・ヨーロッパ)タジキスタン支局のページには、以下のようなコメントが寄せられた。

Готовит себе парашют.

引退の準備をしているんだろう。

現状では、それもありえるかもしれない。

経済的苦境

現在タジキスタンの経済は、かなり厳しい状況にある。国外出稼ぎ労働者からの送金への依存度が世界的にも高く、そこにロシアのルーブル暴落の影響を受けたためだ。

ロシアに移住したタジキスタン人からの送金は徐々に減少し、国の通貨ソモニには大きな圧力がかかっている。政府は、人為的にドルとの関係を安定させるため、外貨両替禁止の手段に出た。

前途に横たわる問題の重大性に気づいたのだろう、ラフモン大統領は有力な反対勢力の締め付けにかかった。

穏健派のタジキスタン・イスラム復興党(IRPT)は、9月に襲撃事件が起きた後、テロリスト集団と断定された。首都ドゥシャンベと近郊都市ヴァフダートで発生した政府軍への武装攻撃に関して、IPRTは無実を主張したが、政府は同党上層部の大半を逮捕した。

物議を醸した3月の選挙で共産党も議会を追われ、国民議会には大統領への同調者しか残っていない。

一族の問題

さらに問題なのは、ラフモン大統領は中央アジアの伝統にのっとり、政府の要職に自分の一族を配していることである。

2015年3月、大統領は息子のルスタム・エマムアリ前関税庁長官を、汚職防止庁長官に任命した。また、同年のそれ以前には、娘のオゾダ・ラフモン氏が事実上の首席補佐官に就任している。

オゾダ氏の夫であるジャモリディン・ヌラリエフ氏も政権内の実力者で、タジキスタン国立銀行の第一副総裁に就いている。

国民は、政府のあらゆるポストにはびこる縁故主義に慣れ切ってしまっていて、新たに誰かが登用されてもまったく驚きもしない。

また、もう一つの憲法改正案は、大統領に立候補できる最低年齢を35歳から30歳へ下げるというもので、多くの人々は世襲化を予測している。

この改正によって主に恩恵を受けるのは、38歳のオゾダ氏ではなく、現在28歳のルスタム氏の方であることは明らかだ。

若いルスタム氏は、良からぬうわさに取り巻かれている。中でも、2008年に銀行戦略に関する口論の末、叔父を射殺したという話は、国中に広まっている。

さしあたり、指導者の地位に就くのが息子であれ父親であれ、ラフモン一族による政権掌握は明らかなものに思われる。大統領の子どもは後7人おり、オゾダ氏とルスタム氏に続いて権力の中枢に加わろうとしている。必要となれば、一族は増援を送るだろう。

とはいえ、深刻な経済危機が、辛苦に耐え不満を募らせた国民を脅かす中、この国の行く末は全く不透明だ。

校正:Yuriko Odaka