この記事は、ベトナム革新党 によるベトナム独立系ニュースサイト兼ポッドキャスト、ロアのドン・リーにより投稿されたものである。記事共有の合意のもと、GVに再掲されている。
2017年4月の第1週に、ベトナム中部の数々の都市で何千というベトナム市民が海岸及び漁船上に集まり、台湾系製鉄工場に対して抗議活動を行った。同時にソーシャルメディアでも訴えを行った。同製鉄工場から有害廃棄物が流出し多くの魚が死亡した事故から約1年が経った今もなお、産業や人々の生活は被害を被っている。
抗議者たちは、ベトナム政府だけでなくフォルモサ・ハティン 製鉄工場にも、このベトナム史上 最悪とも言える環境災害に対する責任を負わせるべきだと主張している。
有害廃棄物の流出により 70トンもの魚や鯨が死亡し、死骸がベトナム中部の海岸に打ち上げられた。その範囲はハティン省、クアンビン省、クアンチ省およびトゥアティエン=フエ省の4省に及んだ。クアンチ省の地方環境局副局長は、省内だけでも3000もの漁船が被害を被り、多くの漁師が漁業を諦めざるを得なくなっている、とロイターに伝えた。
製鉄工場に責任があるということを国民にきちんと説明しようともせず処理を放置したままの政府の態度に、怒りと苛立ちが国中に広がり、昨年から抗議運動が続いている。フォルモサとベトナム政府の間ですでに5億米ドルでの示談が成立しているが、賠償額は不十分であり実際に被害を受けた当人たちの助けになっていない、と漁師たちは強く主張している。
フォルモサの製鉄工場があるキーアンの住民は、魚の骨が描かれた白いシャツを着て、事故からちょうど1周年の節目の日に海岸に集まった。そして、フォルモサはベトナム国内での操業を停止すべしとする横断幕を振りかざした。
抗議活動を率いるカトリック神父チョラン・ズィン・ライ師は下記のように語っている。
Formosa must accept full responsibility and make efforts in returning the clean environment to our country, our people and central Vietnam before leaving Vietnam.
フォルモサは全面的に責任を認めるべきだ。そして、ベトナムを去る前に、我が国および我が国民そしてベトナム中部にきれいな海を取り戻す努力をすべきである。
近隣のゲアン省では、住民が海に繰り出し、海上に集まった漁船群の船上で、黒の背景に魚の骨を描いた旗や先祖伝来の五色旗を振り回して抗議を行った。
またその頃、ハティン省のロック・ハ地域では8000人を超える人々が人民委員会の建物前に集結した。
今週の初めには、漁師たちが魚網を持ってハティン省を通る国道1Aの道を塞ぐなどし、さらなる賠償を要求した。
#Vietnam Fishermen bring fishing nets on road 1A to protest against #Formosa & demanding payouts. See banner of children. #ichoosefish pic.twitter.com/BTZK5M16LS
— Paul Minh Nhật (@PaulMinhNhat) April 2, 2017
#Vietnam 魚網を持った漁師たちが1A道路にてフォルモサに対し抗議、賠償金を要求。子供達のチラシに注目。#Ichoosefish(#魚の味方だ)
また、ベトナムのネット市民(訳注:インターネットなどのコンピューターネットワーク上で活動する人々)はインターネット上で署名運動を開始するとともに、国際社会に向かってフォルモサが引き起こした環境災害を声高に非難するよう訴えた。この署名運動には、今回の災害を適切に解決するよう要求している著名な宗教家や活動家が名を連ねている。運動の開始から2週間も経たないうちに、10万もの署名が集まっている。
下記は今回の署名運動の際に、国際社会に支援を訴えた請願文の引用である。
We hope the United Nations, EU, World Bank, Asian Development Bank and international environmental organizations urge the Vietnamese government to take up responsibility to rebuild our environment and the lives of the victims.
我々は、国際連合、欧州連合、世界銀行、アジア開発銀行や国際的環境機関等が、環境や被害者の生活の復興のために、ベトナム政府が責任を果たしてくれるように、働きかけてくれることを願います。
全国から集まった人たちが、水辺で自分たちの集合写真を写しfacebook上に投稿した。こうすることで、環境災害被害者たちとの結束をを訴えたのだ。
ハノイに拠点を持つ弁護士のルアン・レは facebookに下記のように記している。
Power at the wrong time, in the hands of the wrong people can ignite waves of rage. (Officials must) become a responsible government, professional, and brave when confronted with the people’s resentment.
時を誤り、不適切な者が権力を握れば、大衆の怒りを買う。国家を背負う者は、国民の怒りに直面したときは、専門知識を生かし勇気を持って政府の責任を全うしなければならない。