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金採掘がマケドニアの農業地帯に突きつける脅威

2017年12月にマケドニアのヴァランドヴォ地区で行われた抗議活動。横断幕には「カザンドル地区採掘をやめろ」と書かれている。「ヴァランドヴォに救済を(Spaz za Valandovo)」運動撮影。使用許諾に基づき掲載。

ウクライナ人経営者が率いる鉱山会社、コッパーインベストメントJSC(COPIN)はマケドニアの鉱山会社サルディックMCと提携した。マケドニアで最も肥沃な農業の中心地で金と銅を採掘する計画のためだというのだ。採掘現場から住民がいるもっとも近隣の村まではたった1キロメートル、一番近い町からは4キロメートルしかない。市民は、その採掘が住民生活全体を一変させ、マケドニア南東部の地域社会の健康と福祉に深刻な環境的リスクを突きつけるのではないかと心配する。

この記事で言及された場所を含む、マケドニア共和国の南東部に位置する新しい採掘場の地図。NordNordWest によってウィキペディアに掲載されたマケドニアの地図(CC BY-SA 3.0)と「ゲブゲリヤに救済を(Spas za Gevgelija)」運動提供のデータに基づく。クリックして拡大。

2012年のある日、COPINはサルディックMCを通じて、前政権がサインした86か所の採掘権のうち3か所を確保した。当時の政権は、マケドニア革命組織・マケドニア国家統一民主党(VMRO-DPMNE、以下国家統一民主党)という右翼政党の下にあった。国家統一民主党は2006年の8月から2017年の5月まで政権を握っていたが、信ぴょう性の高い筋から大規模な汚職の訴えがあり、それが主な原因となって権力を失った。

86か所の採掘権は全てマケドニアの南東部に位置している。南東部は肥沃な土地の要で、人が住む村や町がある。住民は農業で生計を立て、この国の果物や野菜の主要な供給源となっている。

提示された採掘施設の場所とその地域の居住地。首都スコピエのコンサルティング会社エンピリアEMSがサルディックMCスコピエ向けに用意した、カザンドル採掘施設に対して実施された環境影響評価より。これはオーフス条約下での公的な文書。

3か所の採掘権のうち、カザンドル銅・金採掘場は現在建設の最終段階にあり、採掘開始の準備が進んでいる。採掘作業の影響を受ける地域が実施した住民投票がこれまでに6回あり、地元住民は採掘に「賛成」あるいは「反対」の票を投じた。住民投票は採掘作業によって影響を受ける自治体によって実施された。

圧倒的多数が採掘に反対票を投じた一方、投票率が低かったり、必要投票数に届かなかった地域があった。ゲブゲリヤ地区の小さな町は住民投票で初めての成功例となった。1万3千人が採掘に反対票を投じ、賛成はわずか154票だった。多くの人が採掘に反対していたヴァランドヴォ地区の小さな町では300の無効票があり、住民投票が最終的には有効票数に届かなかった。

採掘は環境的、社会的な脅威をもたらす可能性がある

主な活動の外観。スコピエのコンサルティング会社エンプリリア イーエムエスによるカザンドル採掘施設に対して実施された環境影響評価より。これはオーフス条約下での公的な文書。

カザンドル採掘施設の土地は287ヘクタールに広がる予定で、現在は森林や藪に覆われている。鉱石の採掘は露天掘りで行う予定である。掘削には発破を用い、銅や金を岩石と分離するのに現地の硫酸プールを用いる予定だ。「環境影響評価の調査:マケドニア・ヴァランドヴォ地区のカザンドル採掘施設」では明確に述べている。

The heap leaching of the raw mineral shall be carried out in a dump of the excavated copper ore. The technology that shall be used for obtaining the final product – electrolytic (cathode) copper, is based on the use of low concentration (0.5%) solution of sulfuric acid-heap leaching solution, which shall be sprinkled (sprayed) on the surface of the dump. Crossing through the deposited raw mineral on the dump, the solution dilutes a part of the copper from the ore and runs from its lower part.

原鉱のヒープリーチングは、採掘した銅鉱石を野積みして行う。最終生産物として電気銅(陰極銅)を取り出すために用いるこの手法は、低濃度(0.5%)の希硫酸、ヒープリーチング溶液の作用を基にしていて、野積みした鉱石の表面に溶液を散布(噴霧)するものだ。溶液が原鉱の堆積物の間を通り抜けるにつれ、鉱石から銅の一部が溶解し、堆積物の下部から流れ出てくる。

敷地内には硫酸プールが3槽、それぞれ270立方メートル大になる予定で、ほかに有機希釈剤の槽もある。前述の調査結果は、酸性煙による環境汚染や採掘活動による粉塵の放出、施設に出入りするトラックや車の排気ガスの放出などの有害性を提示している。以下はサルディックMCがカザンドルの採掘施設で発破実験を実施した2017年12月13日にツイートされたものである。

ツイート: ここれは1回目の爆発の様子を表している。カザンドルやブライコヴチの村で最寄りの家々から、たった数メートルの場所に見える。#StopforKazandol
動画字幕: カザンドル鉱山の1回目の爆破。今後15年間にわたり4、5回の爆発が毎日計画されている。直ちに建設をやめるべきだ!死の採掘をやめろ!

「ゲブゲリヤに救済を」運動のアンゲル・ナコフはこう述べている。

We have given out mining concessions on top of water springs to dig out an insignificantly small amount of gold. Someone has decided to poison us with arsenic, sulfuric acid and cyanide. Ten to twenty tons of cyanide will be used in these mines. Hitler used only seven tons of cyanide for killing people with fumigation in Aushwitz.

我々はごく少量の金を採掘するために水源の上に採掘権を認めたのだ。誰かがヒ素、硫酸、青酸化合物で我々を毒殺しようと決めてしまった。10〜20トンの青酸化合物がこの鉱山で使用されるだろう。ヒトラーでさえ、アウシュビッツのガス室で7トンしか使用しなかったのに。

活動家はマケドニアの最も肥沃な土地での採掘に対して反対の声をあげる

カザンドロスカ川とアンスカ川が交差するところにカザンドル鉱山施設はあり、その地域はザクロ、リンゴ、モモ、サクランボ、イチジク、珍しい日本のリンゴなど地中海性の有機栽培果物を育てていることで有名だ。カザンドル鉱山の敷地から45キロ離れた別の鉱山予定地、イロヴィッツァ・プロジェクト はストルミツァ・ポレ高原の頂上にあり、やはりマケドニアの果物と野菜の名産地である。

ヴァランドヴォで撮影。ヴァランドヴォに救済を」運動による写真。使用許諾に基づき掲載。

「環境影響評価の調査:マケドニアのヴァランドヴォ・カザンドル採掘施設」では以下のように述べられている。

Insulated type of risk in this context represents any accidental spills of chemicals or contaminated waste water related to the construction. A disconnection of the hydraulic connection of the surface water flows with the groundwater is expected in the alluvial aquifer of the River Anska in the area of the construction of the dump for the heap leaching of the raw mineral…

建設段階での、遮断壁を設ける方式のリスクとは、建設関連の化学物質や汚染された廃水が偶発的に流出することを指している。[略]ヒープリーチングのため原鉱の山が建設される区域では、アンスカ川流域の帯水層における地下水と表層水との合流が滞ることが予想される。

採掘施設から4キロのところに位置する町、ヴァランドヴォの活動家によって設立された市民団体「ヴァランドヴォに救済を」運動は採掘活動に声高に反対した。彼らは2度にわたる道路封鎖や何度ものイベントを組織し、自分たちの家庭や生活の破壊につながる採掘は許さない、と当局に示した。

「ヴァランドヴォに救済を」運動 が帰ってきた。カザンドル鉱山の事実上の即時停止を求めるためだ。 先月来、COPINは私のコミュニティに大混乱を引き起こしている。マケドニア政府ゾラン・ザエフ首相 --我々はあなた方にきちんと仕事をしてもらいたい。

写真1: 「採掘をやめろ」
写真2: カザンドル採掘をただちに止めるためのデモ行進! 12月8日金曜日午後12時、プロヴォマイカ通りからヴァランドヴォのバス停前まで。
採掘に反対し南東部ヴァランドヴォ地区を救おう

採掘権にサインした前与党の国家統一民主党は、2017年の終わりにヴァランドヴォで会議を開いた。住民は彼らに、硫酸で作られた清涼飲料を勧めるという抗議行動を行った。

殺人犯は常に犯行現場に帰ってくるという。まさにヴァランドヴォでも同じことが起こった。死の鉱山をもたらした人々が今日訪れたのだ。我々はこの機会を利用して環境に優しい硫酸入りの飲み物を提供する。#StopforKazandol

2017年に、大手環境NGOの 環境調査情報センター・エコスベストは、マケドニアの新しい首相ゾラン・ザエフと面会した。86個全ての採掘権について、重ねて環境アセスメントを要求した。

昨年行われた地方選挙の間、ザエフ首相は鉱山の工事を中止すると公約 していた。ザエフ首相自身が鉱山の影響をもっとも受ける地域、ストルミカに住んでいる。しかし、彼は工事の中止はすぐにはできないとも述べた。なぜなら政府は、採掘権の撤回により、違約金発生のため国に巨額の財政的なダメージを引き起こさないことをまずは確認する必要があるのだという。

カザンドル鉱山の建設。「ヴァランドヴォに救済を」運動による写真。使用許諾に基づき掲載。

抵抗運動も虚しく、カザンドル鉱山施設の建設は続く。 そして今や採掘開始の準備の最終段階にある。

校正:Yuko Aoyagi

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