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トリニダード・トバゴのカーニバル女王:路上授乳姿の有無を言わせぬ美しさ

首都ポートオブスペインの南端にて、カーニバル最終日のサウスキー判定地点をパレード隊が通過する待ち時間に、2019年トリニダード・トバゴ・カーニバル女王のシャイナル・ブリザンさんは息子プリンス君に授乳する。撮影:ショーン・ランバラン、許可を得て使用

美しいふれあいの瞬間を世界中が目撃した。トリニダード・トバゴのカーニバル最終日(カーニバル・チューズデー)、新カーニバル女王 の栄冠に輝いたシャイナル・ブリザンさんが、首都ポートオブスペインにあるラペルーズ墓地の外塀にそっと腰掛け、一歳の息子プリンス君に授乳する瞬間である。

2019年カーニバル女王のシャイナル・ブリザンさんはカーニバル最終日、ラペルーズ墓地の外塀の上に座り息子プリンス君に授乳する。撮影:ジリアン・フルニエ、許可を得て使用

この写真を撮影した友人のジリアン・フルニエさんは、パレード隊に付き添ってプリンス君の子守をしていた。というのはブリザンさんもその夫も、他の足長パフォーマー(トリニダード・トバゴでの呼称は「モコ・ジャンビー」)らと共にパレード隊「孔雀の宮殿」を組んで、大股に通りを練り歩いていたからだ。フルニエさんはこの子がおっぱいを欲しがっているのに気づいた。「すぐ休憩にするね」とブリザンさんは言い、タイミングを見計らった。墓地に面した道路沿いは人通りが少なめだった。ブリザンさんは塀の上に腰かけ、そこへフルニエさんがプリンス君を抱え上げた。おっぱいを飲ませたのは10分間ほどだった。

あのひとときの静けさが、フルニエさんには忘れられない。カーニバル・チューズデーといえば、大音量の音楽と人々の熱気に満ちているものなのに。グローバル・ボイスの電話インタビューで彼女はこう語った。「プリンスにはほとんど一日中、大っきな耳当てを着けさせてたんだけど、その時は外すことができて、ママとぴったりくっつかせてあげたの。あの子すっかり満足して、あの後長いこと飲ませなくて平気だった」

穏やかさをたたえた写真からも赤ちゃんの安心感が伝わるためか、その後写真はSNS上で何度もシェアされてきた。トリニダード・トバゴ母乳協会ラ・レーチェ・リーグUSAも写真をシェアしている。

フルニエさんの記憶によれば他のカメラマンはほとんどが男性だった。皆がその光景を撮るのをしり込みする中、ショーン・ランバランさんだけは、授乳姿も含めその日のブリザンさんの写真を何枚も撮っていた。ランバランさんはグローバル・ボイスのメール取材に対し、物おじせずに撮れたのはたぶん自分の母が産科助手だったせいだと説明した。「あんなにも開けっぴろげに人体の知識に接してきたせいだと思うけど、僕はものの見方がちょっと人と変わってるんだ。人間に対してとか、ヌードや性、健康管理に対しての見方も変わってるし、生き方そのものも変わってるんだよね」

『モコ・ソモコウ』隊がビクトリア広場判定地点のあるパーク・ストリート入り口で待機している間、プリンス君は隊の先頭で機嫌よく座っている。2019年3月5日、撮影:ショーン・ランバラン、許可を得て使用

Moko – Mother – Marvel(モコ・母・すごい)」と題したブログ記事の中で、ブリザンさんは筆者シータル・ダスワニさんにこう語った。「モコを演じるとき私と竹馬は一体になる。そしておっぱいをあげるとき我が子ともまた一体になるの。スピリチュアルっぽい体験よ」。ダスワニさんはブリザンさんの授乳姿について「容認できる派とできない派、隠れて授乳派と人前OK派、孤立派と社交派に意見が分かれがちだが、そんな聞き飽きた会話を黙らせてくれる」写真だと記している。

ママトト出産支援センターの授乳コンサルタント、マリリン・ストールメイヤーさんも同意する。彼女はブリザンさんの写真の影響度に勇気づけられ、これほど話題になったのは母乳育児の効用に関する知識がトリニダード・トバゴの母親に浸透してきた兆候だと見ている。公共の場での授乳が世間一般にどう受け止められるかについて、彼女はグローバル・ボイスに電話でこう語った。「それは宗教というより文化に根ざしていると思います。特にカーニバルの時期、私たちの社会は露出度の高い衣装を着、胸を見せることを良しとしています。ところが女性の授乳となると、多くの場合胸を隠すかどこか余所でやれと言われるのです」

竹馬をつけたまま塀の上に腰かけたシャイナル・ブリザンさんが、息子プリンス君に授乳するひととき。撮影:ショーン・ランバラン、許可を得て使用

または、ダスワニさんの表現を借りると、「シャイナルの姿は、ひと前で堂々と授乳してもいいのだと主張している。見る人は彼女の身体の露出を容認し、当たり前のことだと思う。カーニバル踊り手の女性が皆、どんな露出度でも当たり前なのと同様に。これらの写真は図らずも美的な手法をとって、全ての女性のために厳かな声明を発している。--私たちの身体は私たち自身のものである。公共の場で食事するのは、それが皿やバナナの葉からであろうと母の胸からであろうと、真っ当で自然なことなのだ、と」

そうだとしても、ストールメイヤーさんいわく、「赤ちゃんと哺乳瓶の文化」とでも言うべきものを克服するにはまだ課題が残る。最低限、働く母親が搾乳して清潔に保存するための適切な設備を、雇用者は確保する必要がある。「お母さんたちの負担軽減にはならないので」とストールメイヤーさんは言う。「妊婦さん向けの母乳育児準備や、本人とパートナー・子育てに欠かせない『周囲の人たち』が健康にいい育児法を選べるようなサポートに、我々は全力で取り組まねばなりません」

ランバランさんは写真家としての視点から、変化はもう始まっていると楽観視している。「甘い思い込みかもしれないけど、例えば米国なんかじゃ公共の場の授乳はとんでもない無作法とされてるけど、『カリビアン魂』の骨の髄からしみついた僕らが、あんな小うるさい考え方に進むなんてありえないよね。だから、今回の写真を公開できてこの上なく嬉しいんだ。僕ららしさ、僕らの考え方を守る後押しになるからね」

校正:Eiko Iwama

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