
2019年9月28日、フェミニスト・グループはメキシコシティにて、同意なき性的コンテンツ拡散に対して懲役・禁固および罰金を科すオリンピア法の承認を求めるデモを開催した。写真は記事執筆者撮影。 CC-BY 3.0
2014年、当時18歳だったオリンピア・コーラル・メロ・クルスは、その当時付き合っていた男性と性的動画を撮った。後日、その動画は彼女の同意なくインターネット上に公開され、 近隣住民、知り合い、親戚、友人など、メキシコのプエブラ州ワウチナンゴにおける彼女のコミュニティの人々に閲覧された。
ある活動家は、英国放送協会(BBC:British Broadcasting Corporation)スペイン語放送で、オリンピアのコミュニティの誰もが彼女とその動画について噂をしたと話す。また、ウェブサイトの記事には、「オリンピアは、8か月の間自宅に引きこもり、3度自殺を試みた」とある。
深い絶望を経験した後、オリンピアは、性を自由に楽しむ権利を守るために立ち上がる強さを取り戻した。しかし、彼女がこの出来事を訴えると決めたとき、警察、裁判所、自治体などから、女性に対するデジタル暴力を罰する法律や条例はなく、起訴に値する罪とはならないと言われた。
過去5年間、彼女は性的または親密な関係を示すコンテンツの同意なき拡散を処罰可能な犯罪とする改革を促すために、フェミニスト・グループや支援団体のサポートを受けながら活動を続けている。
この取り組みは#LeyOlimpia (#OlimpiaLaw:オリンピア法)として知られるようになり、既にメキシコ32州のうちプエブラ州を含む12州で承認されている。 プエブラ州の刑法では、「部分的または完全に裸の人物の性的で性欲をかきたてるコンテンツを使用して、画像の印刷、記録、デジタルのいずれであっても、同意なしに開示、配布、公開、または要求することは罰せられる」としている。刑罰は3年から6年の懲役・禁錮および罰金となる。

ナショナル・ソロリティ・フロントのFacebookページでは、女性がネットでどのようにして身の安全を守るかの情報提供活動を行っている。
同様の法律は、メキシコシティではまだ承認されていないが、法案は地方議会に提出されており、立法に向けた手続きが始まっている。9月28日、活動家と様々な団体は、その法律を支持する署名を集めるため、首都でデモを行った。また、過去数か月間、活動家らはハッシュタグ #LoVirtualEsReal(「バーチャルは現実」)を使って、性差に基づくデジタル暴力について議論を重ねていた。
彼女はナショナル・ソロリティ・フロント(National Sorority Front)のスポークスパーソンとして国内各地を訪れ、女性が仮想空間で経験した暴力を犯罪とする法制化を訴えている。最近参加したメキシコシティのソカロ広場での中絶合法化を求める行進の際、彼女は「デジタル空間でのレイプ(性的動画や画像の公開)は、実際のレイプと同様に精神的・肉体的苦痛を与えます」と語った。(訳注:「デジタル空間」とはデジタル情報を伝達・交換・共有するためのネットワークのことである)
「オンラインで性的動画や画像を公開された女性や少女の誰も、このように晒されたかったのではない」と彼女は話した。
Mensaje de @OlimpiaCMujer durante marcha por #AbortoLegalParaTodoMexico pic.twitter.com/HXXtTiwjov
— Mrcds (@abraxas_m) September 29, 2019
Message from @OlimpiaCWoman during the #LegalAbortionForEveryoneMexico march
#LegalAbortionForEveryoneMexico行進中の@OlimpiaCWomanからのメッセージ

ナショナル・ソロリティ・フロントのFacebookページでは、女性がネットでどのようにして身の安全を守るかの情報提供活動を行っている。許可を得て掲載
多くの被害者は性的動画や画像が拡散された後、デジタル空間を離れるが、学校、家族、仕事などの実生活にも影響が及んでいる。
最後に、Luchadoras.mxによるメキシコの女性に対するオンライン暴力に関する報告書は、18歳から30歳の若い女性がデジタル空間で最も被害に遭いやすいと警告している。しかしながら、デジタル暴力の規模と特徴に関しては、詳細な統計記録がさらに必要であることも記している。