ゲームが明かす深海採掘の危険性

Game Over

「GAME OVER (ゲームオーバー)」
GAME OVERで深海生物のゲームオーバーを防げ!
深海には、我々の想像を超える宝が存在する。生命体をはじめ、独自の生態系や構造体と、地球にも、そこに生きるヒトにも必要不可欠なものばかりだ。しかし海底には工業生産に使用し、売ればカネになる鉱物資源も埋まっている。営利企業はこれを掘り出して一儲けしたいと狙っている。けれども代償無しに採取することはできない。採掘の代償は深海の破滅だ。より大切なものは何か、我々は選択を迫られている。
(深海保全連合のウェブサイトより。許可を得て掲載)

深海の鉱物資源採掘が地球の生態系に及ぼす悪影響、そして深海の生き物のことを紹介するために、あるオンラインゲームが活躍中だ。

そのゲームは深海保全連合(DSCC)のウェブサイトでプレイ可能だ。深海保全連合とは、海洋生物を守るために活動している非政府組織だ。

深海採掘とは、海底鉱床の鉱物資源を、深海採掘器材を使って採掘する新技術だが反対意見も多い。生物多様性センター(CBD)の報告によると、深海採掘では海底をならすため、海底地形やそこに生息する生物が破壊される。

積極的に深海採掘を行っている国はまだないが、多国籍に活動する鉱山会社16社に海底発掘の許可が下りており、早ければ2023年から資源の採掘が始まる恐れがある。

深海採掘の賛同者は、海底での採掘は陸上よりも問題が生じにくいと主張している。さらに環境対応をうたった電気自動車やソーラーパネルなどの製品は、ニッケル、コバルト、マンガンなどの希少鉱物を大量に使用しているので、今日のようにグリーンテクノロジーを促進するには、深海底に豊富な存在する希少鉱物資源の採掘が必要になると主張している。 

環境保護活動家たちは、この主張は間違っており、深海採掘は不適当な選択だと述べる。

深海保全連合や環境問題専門家は、深海採掘が行われると国境には関係なく深海環境が取り返しがつかないほど破壊され、海洋生物の生息地を壊滅に追い込むと警告している。
また自然保護報道グループのグリスト(Grist)によると、脆弱な深海の環境は一度でも損傷を受けると、もし可能だとしても、深海の生態系の回復には数百年を要すると述べている。保護慈善団体ファウナ・アンド・フローラ・インターナショナルの報告書には次のようある。

深海採掘は、大規模な生息地の消失をもたらす。採掘によって、沈殿した堆積物がかき回されて水が濁ると、深海に生息する種は生態系の連鎖を乱され、環境に適応した行動が取れなくなる。広大な地域で生態系を支える環境が窒息してしまうのだ。

何か国かはすでに深海採掘への反対を表明している。世界各国の指導者や国会議員が、深海採掘への反対を確約する声明や嘆願書に署名した。また、海洋や環境への関心が集まる6月8日の世界海洋デー、6月27日の国連海洋会議、12月の生物多様性条約締約国会議(COP15)を利用して、深海採掘を広く知ってもらう活動も進行中だ。

太平洋諸国やそのコミュニティは、深海採掘が人類にもたらす長期的な悪影響について、一貫して関心を払ってきた。

反対の声が上がっているにも関わらず、国際海底機構は深海鉱物探査に必要なライセンスを31件も発行した。いったん採掘のルールを定めるガイドラインが発表されると、大規模な商業深海採掘が2023年7月から始まる可能性がある。

一方で、自然保護団体やその支援者たちは、12月5日を#DeepDay (#ディープデー) と定めて深海採掘の危険性を知らせようと活動している。

#DeepDay (#ディープデー)を祝おう 。絵を左右にスライドして海底の魅力を探ろう!
そして、これらの美しい生物を守るために、手遅れになる前に行動を起こそうではないか。下のリンクにある深海採掘に反対する公開状への署名に参加しよう。
on.only.one/deepday

このキャンペーンの重要な使命は、深海採掘に反対する理由をより多くの人に知ってもらうことだ。深海保全連合がウェブで始めたこのゲームは、若いインターネットユーザーの関心を引き、深海採掘に反対してもらうための、今までにない試みだ。ゲームは差し迫った訴えから始まる

深海採掘は、いま深海を侵略し、生命を絶滅させようとしている。ある一匹のタコが、深海のハルマゲドンを防ぐために立ち上がった。

深海の住人たちの住処を守るのを助けよう。GAME OVER をプレイして、深海採掘が深海の生態系を破壊して、本当にゲームオーバーになってしまう危険を知るのだ。

ゲーム中、プレイヤーはタコとなり、鉱山機械が落としてくる命取りになる物体を回避しつづねばならない。

DeepSea Game

イメージは深海保全連合のウェブサイトより

ゲームでは深海生物の紹介や、鉱業活動が海洋生物に与える混乱についても教えてくれる。

Casper Octopus

(上)キャスパー・オクトパス(正式名称未定)
発見 2016年
体長 6-12cm
乳白色
海底の多金属団塊に生息する種を常食
団塊から突き出た、海綿の茎に産卵
雌は卵に体を巻きつけ、孵化するまで卵を守る
(下)深海のヒーロー「キャスパー」の紹介
静かな場所を好み、かなりの心配性
多金属団塊上で多くの時間を過ごす
(深海採掘がどれほどキャスパー・オクトパスに影響を与えるだろうか。イメージは深海保全連合のウェブサイトより)

Dumbo Octopus

(上)ダンボ・オクトパス(ジュウモンジダコ属 )
発見 1884年
体長 20cm-1.8m
タコの仲間でとしては一番深海に生息する
海底からの甲殻類や多毛類を吸い込み捕食
耳のような2枚のヒレを動かし泳ぐ
(下)深海のディフェンダー ダンボの紹介
好奇心旺盛で怖いもの知らず。
海底火山を覗き込むのが好き
誰が何を言おうがかわいい!
(深海採掘がどれほどダンボ・オクトパスに影響を与えるだろうか。イメージは深海保全連合のウェブサイトより)

Deep sea mining will disrupt marine habitats.

(左上)いつもよりずっと不安に感じるんだ。なぜだかわからないけれど。奇妙な音が聞こえる。大切な卵に何かあったらと心配でたまらないよ。
(下・真ん中)多金属団塊地帯は私たち何百万もの生物の住処となっている。
(下・右手)心配しすぎだよ
(深海採掘は海洋生物の住む環境を破壊する。イメージは深海保全連合のウェブサイトより)

ゲームでは、人間こそが海の生物や生態系を脅かす『海のモンスター』だと指摘している。

Deep Sea Destroyer

なんてことだ!海のモンスターが現れた!どうすればいいのだろう?
(深海に現れた『モンスター』。イメージは深海保全連合のウェブサイトより)

このゲームをプレイして『深海の住人たち』たちのことをもっと知ろう。

校正:Mitsuo Sugano

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