カンボジアの衣料品工場労働者たちは、昨年年12月(訳注:元記事は2014年09月21日に掲載)に全国でストライキを起こしたのに続いて、今度は月額177米ドル(以下ドル)の最低賃金を要求して再びストライキに出た。
昨年のストライキは、政府に圧力をかけて、当時月額80ドルであった最低賃金を引き上げさせる目的で行われた。労働者側は最低賃金を2倍にするよう要求したが、政府側は15から20ドルの賃上げしか認めなかった。ストライキは全国で何万人もの労働者を動員したが、今年1月に警察と軍によって暴力的に解散させられ 、労働者側に5人の死者が出た。
カンボジアの衣料品工場で働く労働者の月額最低賃金は現在100ドルである。衣料品部門の輸出額は、昨年の同国国内総生産152.5億ドルの約3分の1を占めていた。同部門で働く労働者は60万人を超え、その多くは女性である。彼(女)らは低賃金に加え、劣悪な労働条件で働いており、特に条件が悪い工場のいくつかでは、労働者が 集団失神する事故がたびたび起きている。
今週、衣料品工場労働者たちは再び賃上げ要求を行ったが、今回は、カンボジア企業と下請け契約を結んだりカンボジア企業から買い付けをしている、世界的なアパレルブランド各社に対して、要求の矛先を向けた。 賃上げ闘争のスローガンである「買い付け企業は、177ドルの最低賃金を保障せよ」は、H&M, ウォルマート、Levi’s(リーバイス)、GAP(ギャップ)、Puma(プーマ)、C&A(シー&エー)、Adidas(アディダス)、Zara(ザラ)など世界的なアパレルブランド各社に向けたものだ。これらの企業に圧力をかけ、カンボジアの仕入れ先企業と直接交渉させ、労働者の最低賃金を引き上げさせるよう狙ったものだ。
#WeNeed177 Post the green logo to all brands sourcing from Cambodia demanding they raise the minimum wage to 177$ pic.twitter.com/7CnJSRIXmb
— CNV Internationaal (@CNV_Internat) September 17, 2014
#WeNeed177カンボジアから仕入れているすべてのアパレルブランドにその緑のロゴを貼って、177ドルの最低賃金を要求せよ。
500人を超す衣料品工場労働者たちが、カンボジアの首都プノンペンのカナディア工業団地に結集して、賃上げを要求するデモを行った。衣料労働組合によると、全国の約300に上る衣料品工場で、労働者たちがこれに呼応してストライキを行った。
このビデオでは、カンボジアの衣料品工場労働者を飢え死にさせないように世界的アパレルブランドに訴える横断幕を掲げながら、労働者たちがデモ行進してる。
労働組合のリーダーたちによると、177ドルの最低賃金要求というのは、衣料品工場労働者の平均的な月額生活費に基づいて計算したものだという。デモに参加した労働者の一人は、同僚たちの心情に 同調して、地元の英字新聞The Cambodia Dailyに対して次のように語った。
We want a higher wage because today we don’t have enough money to support ourselves because everything is very expensive, like rent, electricity, water and food.
賃上げはぜひとも必要なんです。家賃、電気、水道代、食費をはじめ何でも高くて、今の給料じゃとてもやっていけません。
カンボジアの人権NGO、地域法律教育センター(CLEC)はこの賃上げ闘争を支持している。それはこの闘争が、世界的アパレルブランドとその仕入れ先のカンボジア企業に対して、「自分たちの責任に見合う行動をとって、雇っている衣料品工場労働者に人間的な生活を保証する」ように促しているからだ。
これに対する政府の対応は、警察と軍の一部隊をストライキの現場に配備するというものだった。その一方で、議会内の反対派は、労働者たちに対して、賃上げ闘争を議会にかけることを 約束した。
A soldier films protesting #garment workers in #phnompenh as they continue to demand a wage increase. #cambodia. pic.twitter.com/YxiuWZzLku
— Luc Forsyth (@LucForsyth) September 17, 2014
賃上げを求めストライキをするプノンペンの衣料品工場労働者を撮影する兵士
このカンボジアの賃上げ闘争は、世界各国で労働組合の支持を得ている。たとえばカナダでは、「搾取と抑圧で汚れた」服を消費者が買わないように呼びかける オンライの嘆願書が設けられた。
この一連の抗議行動が平和裏に行われること、また、労働者が生活の向上、労働環境の改善を要求する権利をカンボジア政府が尊重するすることを願いたい。またこれは、世界的なアパレルブランド各社にとっても、カンボジアの衣料品工場で働く労働者の福祉改善に本気で取り組んでいるということを示す良い機会である。