グリーンピース活動家、スペイン海軍との対立により負傷

Playa de Corralejo, en Fuerteventura, con la silueta de Lanzarote al fondo, cerca de la zona de prospecciones. Foto de la autora.

カナリア諸島フエルテベントゥラ生物圏保護区にある調査場所付近のコラレホビーチ。遠方にはランサローテ島のシルエットが見える。撮影は筆者によるもの。 

イタリア人の活動家Matilde Brunettiは、スペイン海軍の船数隻に襲撃された後、スクリュープロペラにより重傷を負った。Brunettiとグリーンピースの活動家グループは、物議を醸している石油採掘計画が始まるのを防ごうと、小さな船に乗っていた。そこから60kmほど離れたカナリア諸島のランサローテ島とフエルテベントゥラ島は、生態学的価値があるとしてユネスコに公式に認定されている。他にも活動家のPaco del ToroとFrancesco Diplomaticoの二人も、争いの最中に怪我をした。

スペイン政府は、スペインの石油会社Repsolに採掘を実行するよう権限を与えた。対象となった地域はカナリア諸島近辺のサンディア、チリモヤ、サナオーリヤだ。石油会社の活動は、環境保護主義者、市民、地方政府から反感を買った。カナリア諸島の主な収入源である観光事業への深刻な脅威と捉えているのだ。現に地方政府は石油探査を阻止するために、激しい法廷論争を繰り広げた。本来の景観を守るほか、新鮮な水の確保に関する問題もある。島民が消費する水のほとんどが塩分除いた海水のため、石油流出の可能性のある計画はすべて深刻な結果を招くこととなる。

Repsolはウェブサイト上で「我々の環境保全基準は企業一高く、最も厳しい規準のノルウェーに匹敵する」と断言しているが、環境団体は懐疑的である

Las prospecciones petrolíferas afectan a la fauna marina, como cetáceos y tortugas y a los recursos pesqueros. Pero también es un riesgo grave por la posibilidad de vertidos (…).

Otro de las grandes claves de este caso es el Estudio de Impacto Ambiental, que ha estado lleno de irregularidades (…).

石油採掘はクジラやカメ、魚種資源などの海洋生物に影響を与えることになる。だがそれ以外に、石油流出という重大なリスクもある[…]

この場合、もう一つの鍵となる要素は、不正だらけの環境影響調査だ[…]

とりわけこの計画に関して、環境影響調査の欠点が欧州委員会の環境総局に報告された。それにより、「スペイン政府がRepsolに与えた権限に対して、徹底的に調査する」きっかけとなった。

Zonas de las prospecciones. Imagen de Wikimedia Commons con licencia CC BY-SA 3.0, modificada por la autora.

石油採掘エリア。CC BY-SA 3.0ライセンスのもと、筆者が編集した。

これを背景に、Repsolは自社のRowam Renaissance号を、採掘活動を将来行う予定の多島海に移動させた。11月15日の土曜日、グリーンピースの活動家が様々な抗議バナーを配置するためにその船に乗り込もうとした。しかし乗船を阻止しようと二隻の船を出動させたスペイン海軍による、暴力的な行為に圧倒されてしまった。後に急速に広まることとなる活動家による動画には、グリーンピースの船に何度も激突しているのがはっきりと映されている。その結果として、一人の活動家が海に転落し、スクリュープロペラで足を切り裂かれた。

このビデオは船員の一人が海に飛び込み、その活動家を救助しようとする場面も記録している。彼女は後に軍用ヘリコプターで病院へと搬送された。防衛省はこの事件に便乗し、以下のようなコメントをツイートした。

La @Armada_esp y el @EjercitoAire rescatan a una activista de @greenpeace herida al caer al agua cerca de #Canarias pic.twitter.com/t0cixq27ze

— Ministerio Defensa (@Defensagob) November 15, 2014

@Armada_esp(スペイン海軍)と@EjercitoAire(空軍)が#Canarias(カナリア諸島)近辺の海に落ち怪我をした@greenpeaceの活動家を救助。 pic.twitter.com/t0cixq27ze

このツイートはネチズンの間で怒りを買った。#CanariasDiceNo (カナリア諸島は反対します)、無敵艦隊、グリーンピースがスペインで話題を呼ぶトピックになった反面、海軍軍人を糾弾するものも数十人ほどいた。彼らを恥知らず、嘘つき、ひねくれている、操作している、偽善者ぶっている、さらに裏切り者、扇動政治家とさえ言っている。

@Defensagob @Armada_esp @EjercitoAire @Greenpeace Que manera más sutil de contar que casi la matais haciendo de matones para una empresa.

— iugatore (@iugatore) November 17, 2014

@Defensagob @Armada_esp @EjercitoAire @Greenpeace 彼女があなたがたの仲間のならず者に殺されかけたと伝えるにしては、いささか繊細な表現ですね。

@Defensagob @Armada_esp @EjercitoAire @Greenpeace Es mejor parecer tonto que hablar y confirmarlo. Punto para el CM de @Defensagob 

— Kikiño (@_kikelt) November 16, 2014

@Defensagob @Armada_esp @EjercitoAire @Greenpeace ばかげて見える方が、ちゃんと疑いを晴らすよりましなんだね。@Defensagob(防衛省)のCMに1点!

@Defensagob @SenoritaPuri @Armada_esp @EjercitoAire @Greenpeace Vaya cojones los vuestros. Vaya cojones…

— El Obtu (@elobturador) November 17, 2014

@Defensagob @Armada_esp @EjercitoAire @Greenpeace ずいぶんと良い度胸をしているな。たいしたもんだよ。

グリーンピースの船の一つを操縦していたブラジル人の活動家Ana Macielは、ロシア陸軍の企てにより捕まり、2013年にシベリアの刑務所に二ヶ月間拘束されていた。彼女は港に連れられた時の状況をコメントした

Ni en Rusia fueron tan violentos; nos amenazaban con cuchillos y armas pero nunca nos embistieron así. Podríamos haber salido heridas seis o siete personas

ロシア人でさえ、そこまで乱暴じゃなかったわ。ナイフや武器で脅されはしたけど、そんな襲われ方はしなかった。六、七人のけが人だって出たかもしれなかったのに。

代議院ではカナリア諸島の社会党員の一人Patricia Hernándezが、海軍のことでスペイン政府を非難した

El ejército no está para defender los intereses particulares de una multinacional del petróleo, mucho menos poniendo en riesgo la integridad de civiles desarmados.

国軍は特別関心のある石油の多国籍企業を守るために存在しているのではない。まして健全で無防備な市民を危険にさらすなどあってはならない。

防衛省のPedro Morenésは以下のように事件について弁明した

La armada estaba ahí cumpliendo órdenes en su condición legal de agente de la autoridad. (…)

En cuanto al incidente de la caída a la mar de la activista italiana, (…) fue rescatada, atendida y evacuada por la armada española, lo que agradeció expresamente el patrón de la embarcación de Greenpeace.

海軍は国家権力の行使として、法的に許される範囲で命令に従ったまでだ […] イタリア人の活動家が海に転落した事件については、[…] スペイン海軍が彼女の救助と手当てを行い、搬送してくれたとグリーンピース船の船長が感謝の意を表していた。

だが、グリーンピースのArtic Sunrise号の船長Joel Stewartは、襲撃の凶悪さを非難している

En 25 años con Greenpeace, nunca había tenido una acción con una persona herida grave (…). Ha sido una reacción agresiva, muy violenta. (…) ahora la protesta sigue en las calles, y si el Gobierno no escucha habrá que echar a este Gobierno.

グリーンピースでの25年間、これまで一切我々に重傷を負わせるようなことは起きなかった […] あれは攻撃的で、とても乱暴な反応だった […] こうなった以上、引き続き街頭抗議を行い、それでも政府が耳を貸さなければ、政府は追放されるべきだ。

スペイン政府のグリーンピースに対する盛んな反対運動は止まることなく、措置として起訴手続きを開始した。またArctic Sunrise号をランサローテのアレシフェ港で没収し、返却する前に5万ユーロ(訳注:約706万円)の保釈金を求めている。商船局はグリーンピースを「海上交通の規則に違反している」と非難し、最大30万ユーロ(訳注:約4237万円)の罰金に相当する重罪だと捉えている。

校正:Shoko Baba

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