インドネシア最高裁、スハルト一族に横領した奨学金400億円返還命令

(訳注:オリジナル記事の発行は2015年8月22日です)

Students in Karawang, Indonesia. Photo from Public Domain Images

インドネシア、カラワンの生徒たち (パブリックドメイン画像より)

インドネシア最高裁は、1976年から1988年にかけてスハルト元大統領率いる財団が政府基金を横領した罪で判決を下し、スハルト一族に対し米ドルで3億1千5百万ドル(約400億円)を国へ返還することを命じた。

スハルトは1967年から1998年、インドネシアを統治。その31年の間に、スハルトは、重大な人権侵害や巨額の汚職を行ったとして罪に問われていた。1998年、数週間に及ぶ街頭暴動や集会により、スハルトは退任へと追い込まれた。

1976年スハルトは国営銀行に、利益の2.5%をスーパースマール財団の奨学金プログラムへ流すよう命じていた 。しかし、2010年に最高裁は、かつてスハルトが長を務めた財団を公的資金の不正流用で有罪とし、実際に生徒へ支給されたのはスズメの涙ほどだったことにも言及していた。先月、最高裁はこの問題について最終判決を下した。

今月公開されたばかりのこの判決は、極めて重大である。スハルトの汚職について、地方裁判所が有罪判決を下したのは初めてだったからだ。インドネシア国民から大きな反響があったのは言うまでもない。
(訳注:今回の最高裁最終判決は2008年の南ジャカルタ地裁判決への控訴に対するもの)

インドネシアの主要な市民メディアサイト「コンパシアナ」がこの問題について様々な解釈を特集した。フィスヌ・アンダン・ジャヤは、一族は判決を尊重し、速やかに国民のお金を返還するよう強く訴えた。ファドリ・ゾントルは、この財団自体が謎であり、過去にいくつも疑わしい取引があったと書いている。インディラ・レフィは国営企業名義の「寄付金」、特にスハルト政権時代のものについて、監査すべきだと呼びかけた。

しかし、ハッタ・セレベスは、奨学金プログラムは実存したと証言している

I am proud to have received a scholarship from this foundation and this foundation had a positive role that many in this country are now ignoring.

この財団から奨学金を受けたことを誇りに思います。この財団はこの国の多くの人々が無視していることに前向きに取り組んでいるのです。

1998年に反スハルト集会に参加した学生活動家の1人、マシントン・パサリブは、政府は裁判所の判決を速やかに執行すべきだと訴えた

一方で、スハルトの三男トミー・スハルトはツイッター上で、最高裁の判決反抗している。(訳注:ツイッター引用元の文章のリンクは切れています)

Tidak ada kata mundur sebelum berperang untuk kebenaran, Malam ini saya nyatakan Banding demi Harga diri putra putri lulusan Terbaik NKRI..!
― Hutomo Mandala Putra (@Tommy_Soeharto1)
August 13, 2015

真実のために戦うのだから引き下がることはない。今夜、私は抗議を開始し、スーパースマール奨学金を受けた優秀な卒業生たちの尊厳を守るのだ!

校正:Naoko Mori

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