(原文掲載日は2016年1月20日です)
今日発表されたニュースによると、イラク最古のキリスト教修道院デイル・マル・エリヤはISISにより破壊された。聖エリヤ修道院として知られるこの修道院は595年に建設され、イラク過激派グループの拠点があるモスルのちょうど南、ニナワに位置する。
廃墟となっても、キリスト教巡礼者は石造りの修道院を訪れつづけた。かつてそこはチャペルやサンクチュアリ(聖壇)、近くには貯水池や天然鉱泉水の泉もあったところだ。このニュースを伝えたAP通信は、建造物がかつて建っていた丘の上の瓦礫を写した衛星写真を公開している。
カイロに拠点を置く中東向けのAP通信フォトエディター、マヤ・アレルゾ氏は、彼女が撮影した破壊される前のデイル・マル・エリヤの日付のない写真をツイッターで公開した。マヤ・アレルゾ氏はこうつぶやいた。
I can't describe the feeling of standing in a place that is no longer there https://t.co/coZAGeGfzc pic.twitter.com/Y4ndF3q4f2
? Maya Alleruzzo ???? (@mayaalleruzzo) January 20, 2016
その場所にあったものが、もはやそこにはないという気持ちを表現することなんてできない。
ほかのたくさんのツイートでも怒りと不信の声が寄せられている。
イラクから、ファウジ・シンガリ氏のツイート。
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? Fawzi Shingali (@FawziShingali) January 20, 2016
ISISはイラク最古の修道院デイル・マル・エリヤを爆破した。それはイスラム教の起源よりも前に建てられたものだ。ISISは人々を殺し、建物を破壊し、この国を混乱させてきたのである。
イラク、シリアの帯状の土地を支配して以来、ISISは彼らが目にする「背教」とみなすものすべてに対し、凶暴な攻撃を繰り返している。彼らは古代遺跡を破壊していて、その中にはニネヴェ、ニムルド、ハトラがある。いずれもユネスコ世界遺産に指定されたり、推薦されたりしている遺跡である。ISISは聖者の崇敬を背教とみなし、自分たちが定義する狭義のイスラム教以外のすべてを、異端者としている。
ISISにより破壊された10の歴史的建造物とその重要性
(こちらのサイトからご覧ください)
イギリスからジェームス・ノイス氏は、国際社会にそのような重要な文化的歴史的遺跡を守るための戦略を再考すべきだと訴える。とりわけ、適切な国際協定でも遺跡の安全を守ることができない時は。
ノイス氏は一連のツイートで、その見解を説明する。
Once again, events like the razing of Deir Mar Elia demonstrate the ineffectiveness of the international response to heritage destruction.
? James Noyes (@JRANoyes) January 20, 2016
改めて、デイル・マル・エリヤを攻撃するような出来事は、世界遺産の破壊に対する国際的な反応がいかに無力かを証明している。
UNESCO conventions don't help places like Deir Mar Elia. They are treaties which depend on peace, and are often ignored by signatories.
? James Noyes (@JRANoyes) January 20, 2016
ユネスコの国際協定はデイル・マル・エリアのような場所を守れない。平和であればこその協定であり、加盟国に守られないことが多々見受けられる。
The use of a heritage site by a state's or an occupier's troops is a technical violation of the Hague Convention: an act of non-compliance.
? James Noyes (@JRANoyes) January 20, 2016
国家や支配者の軍隊が世界遺産を利用することは、厳密な法解釈によるとハーグ条約の侵害であり、つまり不遵守行為である。
And then we have the issue of groups operating today (like IS) who denounce the very premise of cultural heritage and universal value.
? James Noyes (@JRANoyes) January 20, 2016
そして今、文化遺産や世界的価値というまさにその既述事項の廃棄を通告する、ISのような支配集団の問題を抱えている。
And so we might ask: faced with both non-compliance and non-recognition, how can Hague conventions really save places like Deir Mar Elia?
? James Noyes (@JRANoyes) January 20, 2016
だからこそ私は問いたい。法令を順守しない、また認識されていないという両方に直面して、ハーグ条約は本当にデイル・マル・エリアのような建造物を守れるのだろうか?
Surely there needs to be rethinking about how, in today's climate, the international community protects important cultural heritage sites.
? James Noyes (@JRANoyes) January 20, 2016
今日の状況から、国際社会が大切な文化遺産をどう守っていくかを再考することが明らかに必要だ。
昨年2月、ISISはモスル図書館を焼き払い、何十万もの書物、写本が失われた。その中には800年前の古書もあった。
イラク第2の都市モスルは、2014年6月、武装勢力に掌握され、シリアで暴動を繰り返す悪名高いアルカイダ一派の支配下となってしまった。