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もったいない! 廃棄食材で料理を作る、パリのレストラン「フリーガン・ポニー」の戦い

From trash to haute cuisine — the ingredients of these servings of white bean and lentil salad with oranges and mint had been headed to the dumpster at a wholesale market before they were salvaged by the staff of Paris' Freegan Pony restaurant. Credit: Adeline Sire

ゴミがなんとコース料理へ。この「オレンジとミントを添えた白インゲン豆とレンズ豆のサラダ」に使われている食材は、パリにあるレストラン、フリーガン・ポニーで使われるまでは、市場で廃棄処分されてきたものである。 写真提供:アデリン・シール

この記事はアデリン・シール により、2016年4月8日に PRIのサイト上で 初めて公開されたものである。コンテンツ共有の合意のもとグローバル・ボイスに再掲されている。

パリ19区の北東方面を目指して地下鉄7号線に乗る。がらんとして薄汚れた広場を抜け、高架下にある背の高い鉄の扉を探す。鮮やかな緑色で描かれたポニーを見つけたら、レストラン、フリーガン・ポニーに到着だ。

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そのレストランは、どう考えても普段パリの人たちが食事をしているような場所ではない。それどころか、洞窟のように暗い場所にあり、使用許可も得ていないのだ。これ以上ないというくらい都会の塵にまみれた場所だが、長い木のテーブルやソファ、クッションが置かれ、かすかな明かりの中、時々騒々しい音楽が流れている。

昨年11月の開店以来、このレストランでは、一晩に80食を週4日、代金は言い値価格を基本にして料理を提供してきた。レストランで提供される料理は、古くなって店頭には出せないものの、まだおいしく食べられる食材を基本的に使用している。

この発想はレストランの名前に隠されている。フリーガニズムとは、まだ十分においしく食べられるのに廃棄処分されてしまう食材を無償で再利用する活動なのだ。

Not Your Average Joseph's: Freegan Pony serves up salvaged food in a squat in an abandoned space under a highway. Credit: Adeline Sire

尋常じゃない! フリーガン・ポニーは、高架下のうらぶれた場所を無断で使用し、廃棄処分されてしまうはずの食材を店で提供している。写真提供:アデリン・シール

「私自身、何年もこのような食事をしています」とアラダン・シャルニは言う。彼は、ボランティアと有給のシェフたちから成る非営利のレストランの責任者である。「別にやらなくてはならないからやっているのではなく、これは私の政治的信念なのです。私たちの消費と食糧を廃棄する習慣がどれだけ不合理であるかということに気づいたのです。あたかも何の価値もないかのように廃棄されているものがあるのです」

実際、研究者たちは、私たちが生産しているすべての食糧のおよそ1/3が、食べられることなく廃棄されていると考えている。これは資源とエネルギーの膨大な浪費であり、それらの食材を廃棄するときに出る排気ガスは、気象に大きな影響 を与えているのだ。

シャルニは、レストランで使う食材の多くをパリ郊外の巨大なランジス公益市場から調達している。市場での販売期限が迫っている大量の食物が、そこでは毎日廃棄されているのだ。肉、乳製品、魚介類それに農作物。シャルニは、主に農作物に着目している。なぜならフリーガン・ポニーは菜食主義を貫いており、完全菜食主義者が来ることもあるからだ。

Freegan Pony guest Chef Santiago Rosero explains to a volunteer how to prepare a recent evening's dish of lentil risotto, with pickled and roasted vegetables. Credit: Adeline Sire

フリーガン・ポニーのゲストシェフであるサンティアゴ・ロセロが、夜の新作メニュー「レンズ豆のリゾット、ピクルスとロースト野菜添え」の下ごしらえについてボランティアに説明しているところ。写真提供:アデリン・シール

先日の夕方、フリーガン・ポニーの厨房では、シェフのサンティアゴ・ロセロがその日の食材の処理にとりかかっていた。まずはジャガイモから。

「濃厚なジャガイモのスープを作ろうと思っています。これは私の国エクアドルの料理で、ロクロ・デ・パパスというのですよ」とロセロは言う。「それからレンズ豆をリゾット風にし、ピクルスとローストした野菜を添えようと思っています。あと、デザートにはリンゴとバナナがあったので、それで何か作ってみようと思っています」  

ロセロの隣では、パティシエのフランシス・リーチがフードプロセッサーを使って、バターたっぷりのデザートを作っていた。

Freegan Pony's menu on a recent night included lentil salad, curried eggplant and banana and orange crumble. Credit: Adeline Sire

先日の夜のフリーガン・ポニーのメニュー表。レンズ豆のサラダ、カレー風味のナス、それにバナナとオレンジのクランブルが加わる。
写真提供:アデリン・シール

ショートブレッドを作っているところなの」とリーチは話す。「サブレよ。ほんのりオレンジの皮とコショウの風味がするの。ここにあるリンゴの甘煮とよく合うのよ」

このレストランにエスニック風味の料理が多いのは、常連客の中で家のない移民労働者たちに提供するためである。フリーガン・ポニーは彼らを定期的に店に招き、食事と寝る場所を提供しているのだ。その多くは、スルタン・アリー・タワクリのようなアフガニスタン人である。彼は夕食に、香り豊かなアフガニスタン風シチューを食べていた。スパイスの香りが漂っているのが感じられるだろう。

「ごはんにジャガイモ、エンドウ豆も入ってるんだ」と彼は言う。「うまいんだよ」

フリーガン・ポニーはパリのレストランの中で、これまでにない分野を切り開いてきたが、食材廃棄の問題に取り組んでいるのは彼らだけではない。フランスでは、スーパーマーケットで売れ残った食材を寄付しなければならないという新たな法律が施行されたのだ。

しかし、創設者であるシャルニによれば、廃棄される食材のほとんどは卸売業者から出されたものであり、この法律の対象外だという。だからフリーガン・ポニーのスタッフは卸売市場へ行き、廃棄されてしまう食品を回収して再利用するのだ。

確かに、何が手に入るかわからないので面白い挑戦にはなる。シェフの1人でアメリカから移住したマルディ・ハーツォグに聞いた。

「以前ここに来たときは、キャベツとパースニップ50キロ、それに山ほどのオレンジしかなかったわ」と言ってハーツォグは笑った。「そういう時は創造力を研ぎ澄ませることから始めるしかないの。結局はほとんどスープにしちゃったけど、それ以外にも熟れすぎた柿を使って、とてもおいしいソースを作ったわ。こんな風に思いもしなかったことから着想を得ることがあるものなのよ」

Freegan Pony pastry chef Frances Leech shows off shortbread cookies, in process. Credit: Adeline Sire

フリーガン・ポニーのパティシエであるフランシス・リーチは、作成中のショートブレッドを見せてくれた。写真提供:アデリン・シール

制約があると創造力は増すのだとハーツォグは言う。しかし、ときには十分な食材が手に入り、本当に素晴らしい料理が作れることもある。例えば、最新メニューである「白インゲン豆とレンズ豆のサラダ、フレッシュオレンジ添え」のように。

「すごくおいしかったわ」とハーツォグは言う。

各テーブルからあがる満足の声から、その日のメニューが80人ばかりいたお得意様に大好評だったことが分かる。そして夜が深まるにつれ、音楽が大音量で流れ、パーティーのような雰囲気だった。

言うまでもなく、フリーガン・ポニーの活動はすべて善意で行われているのだが、いまだ違法とみなされており、レストラン閉鎖に向けて地方裁判所が動き出している。しかしアラダン・シャルニは、フリーガン・ポニーで活動する人たちが、なんとか市と折り合いをつけられればと期待している。

それでもシャルニは言う。レストランを支持する団体は、たとえどんなことがあったとしても、廃棄食材を回収して素晴らしい料理に変える方法を模索し続けるだろうと。

校正:Maki Ikawa