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閉鎖的な社会に風穴 エジプトサルサ事情

Aasim Rady and Rasha Sadek. Social Salsa Dancing in Egypt, January 2015. Image: YouTube

サルサを踊るアーシム・ラディとラシャ・サデック エジプトにて 2015年1月 YouTubeより

ラテンアメリカとエジプトには古代文明やピラミッドの他にもつながりがあるなんて、誰もが意外に思うだろう。人々の興味は南米の料理や音楽をかじるだけでは満たされない。カイロのカルチャーシーンは今まさに「サルサブーム到来」といった様子だ。どうやらサルサはこの地に市民権を得たようだ。

カイロ・オペラハウスは、「マンスリー・ラテンアメリカン・ナイト」を年間プログラムの1つにしようと検討を進めている。これは今年1月に開催し、好評を得た「ジャズ・アンド・ラテンアメリカン・フレア」に続くものだ。さらに「ラテン・ラブ・ダンススクール」をはじめとするプロのダンススクールや、熱心に活動を展開しているフェイスブック「ラティノ・ダンス・コミュニティ-・エジプト」の協力の甲斐もあって、タンゴやサルサを踊る夢は現実に変わろうとしている。

この数年間でカイロのサルサブームは拍車がかかるばかりだ。最近のYouTubeで話題になった2010年のニュースレポートによると、エジプトの首都に住む若者はとりわけダンスにのめり込んでいるという。5年前には、「カイロのサルサブームは一体いつまで続くのやら」とメディア関係者はこの熱狂ぶりに首をかしげるばかりだった。ところが当時にもまして、この市の盛り上がりもオンラインの反響も空前の人気を博している。

とはいえ、この地でサルサが浸透するのは紆余曲折があってのことだ。サラ・レダ監督の短編オーディオ・ドキュメント『サルサ・エジプト革命:文化の抵抗、サルサの主張』(原題 Salsa Egyptian Revolution: Culture Resist and Salsa Persist)ではサルサをめぐる挑戦を描いている。同ドキュメントでは、エジプトの若き男女がサルサを踊る喜びや自信を手に入れる様子にカメラが迫る。その一方で彼らを取り巻く社会への葛藤も取り上げている。

ドキュメンタリーではサルサダンサーのヌール(24歳)がインタビューに答えている。彼女の話では、とりわけ女性はサルサを踊ることで矛盾を感じ、いわれのない「レッテル貼り」の対象となることを指摘する。

In Egypt, many men would claim to be open minded and not conservative. I don’t think this way, but you know how men are. They judge you. [But] It’s not just about men. It’s about everyone. Some women actually would judge you for dancing and being veiled. […] I think the problem is with the entire culture. Some men would dance with you and respect you for doing what you do and following your passion in life, no matter what your conditions are, being veiled or not, but others would disrespect you.

エジプトでは大抵の男性が、自身が寛容で進歩的だっていうでしょうけど、私はそうは思わない。男ってそんなものでしょ?女性に口うるさいの。だけど男性だけじゃなくて、みんながそう。ベールを被った女性が踊ろうものなら、同性からも批判されるわ。[中略]問題はこの文化全体にあると思う。男性の中にはベールの有無にかかわらず、どんな立場の女性でも、踊ることにも自分の気持ちのままに生きることにも理解を示す人もいる。だけど女性に無理解な人もいる。

「ベールを被った女性がサルサを踊れば非難の的になる」とヌールは強調する。

People automatically assume that veiled girls are religious and culturally reserved. So, they expect them to act very conservatively. They label them. Thus, when a veiled woman does anything that they believe to be “indecent” she is directly labeled as loose and, you know, forsaking religion. They have no idea that not all veiled women are religious. Veiled women became more of traditional trend. It’s not related to religion anymore. At least not as it used to be before. Egyptians have a problem of not accepting diversity in personalities and beliefs. They tend more to label people. They need to have a price tag on you.

ここではベールを被る女性が信仰深いものだと決めつけるのが当たり前の文化なの。しきたり通りの振る舞いを女性に求めるのよ。そんな風に女性にレッテルを貼るの。だからベールを被った女性が、「世間体の悪いこと」を何かすれば、そんな女性を頭ごなしに「だらしない奴」って決めてかかるし、その人が信仰を捨ててるって言われるの。女性なら誰もが信仰深いという思い込みがあるのよね。女性がベールを被るのは伝統的なファッションに倣っているだけのこと。今ではベールは信仰とは別のものと捉えられているんだから。時代の変化を汲んでほしいわ。個性や信仰が多様性に富むものだって認めようとしないのがエジプト人の欠点ね。ここでは人にレッテルを貼ろうとするし、人に値札をつけずにはいられないようね。

Poster of the 2nd Edition of the International Salsa Congress in Egypt.

エジプトにて開催、第2回インターナショナル・サルサ・コングレスのポスター 画像:インターナショナル・サルサ・コングレス/ Facebook

しかしサルサを踊るとなると、世間の風当たりが強いのは女性だけではない。ドキュメンタリーでは、サルサコミュニティに仲間入りをすることで複雑な立場に置かれる男性が多いことにも切り込む。「貧困家庭で育った男性の多くは、自然体で踊れない。ダンスを取り巻く世間の目が事を難しくしている」とインタビューに応じたダンサーの一人、モハメドは語っている。

Salsa nights in Egypt are totally different than anywhere else. They are mainly for young people. For young men of course. That’s because in religion, dancing is a taboo and in the Egyptian culture dancing is inappropriate and unrespectable. For example, old people are expected not to dance because they have to respect their age […] for [younger] men, dancing is considered girly and for women, dancing is unrespectable. This makes dancing problematic for all social strata.

エジプトのサルサナイトは本当に変わっているんだ。イベントに集まるのは若い世代の男性ばっかりなんだから。これっていうのもダンスはタブーだという宗教的な考えや、ダンスに対する偏見がエジプト文化にあるからだろうね。年配者が「年相応に振る舞う」という考えに邪魔されて踊ろうとしないこともいい例だね。[中略]若い男性は踊ることが女々しいと思っているし、女性だって踊ることが下品だと思っている。エジプト社会のどんな層の人々にもダンスは厄介な問題なんだ。

「エジプトの男性は自由ってものをわかっていない」とモハメドがこの流れのカギとなる指摘をしている。

Poor Egyptian men are in a big problem. They were taught that dancing is sissy. Thus, they grow up having no connection with their bodies, no sense of freedom at all. What is even worse, is that not only are men socially prohibited from dancing, women also are but definitely for different reasons and not to mention that dancing is attached with a low public image.

貧しい家庭で育ったエジプトの男達はホントに厄介な立場にあるんだ。彼らはダンスは女々しいものと刷り込まれて育てられるんだ。だから、自由って何だかわからずに大人になる。エジプト社会では男性が踊ることを疎んじているなんてまだましだよ。もっとうんざりなのが、女性が踊ると世間体に関わるからと言って男性とは全く違った理由で禁じているんだから。

こうしたしきたりへのこだわりや社会的価値観に抗いながら、エジプト人はサルサを踊る。サルサを楽しむ人々の輪は他の都市へと、またグループやクラスを通じて広がっている。閉鎖的な社会への挑戦は続く。しかし、この国の人々に希望や喜びを与えるダンス文化が、エジプトで広く受け入れられていくこともインタビューの話からうかがえる。ドキュメンタリーの中でラシャはこう語っている。

Yeah, I think salsa is spreading in a fast pace everywhere in Egypt now. It started in Cairo, moved to [Alexandria] and Hurghada and everywhere else. […] Although it still faces challenges and limitations and some misconceptions due to the restraints and the cultural aspect of things. Uhh.. but otherwise it’s still spreading.

そうね、こうしていてもサルサはエジプト全土で瞬く間に広まっていってるようね。カイロでブームに火がついて、アレキサンドリアやフルガダ、そして全土に飛び火していったわ。[中略]世間の締めつけや文化の違いがあるから、目の前にはいまだに課題の山、規制の壁、気持ちのすれ違い……まあ、そうは言っても人気は上々よ。

エジプトのサルサシーンを実際に肌で感じることができないと嘆くあなたへ。サルサナイトやダンスクラスの様子を伝えるYouTubeをチェックしよう。身も心も踊るエジプシャンサルセーロ・チャンネルがこちら。(訳注:1月13日現在、リンク先は閲覧できない状態になっている)

https://www.youtube.com/watch?v=flZfZ7I-WWs

こちらも必見、アーシム・ラディ・チャンネル。盛り上がる様子をご紹介。サルサナイト カイロのビアンカフェにて

 

校正:Yasuhisa Miyata, Etsumi Itai

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